「芋煮」
主な伝承地域 県内全域
主な使用食材 里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎ、(きのこ類、ささがきごぼうなどを入れる場合もあり)
歴史・由来・関連行事
「芋煮」の発祥は古く、1600年代半ばともいわれている。当時、最上川舟運の終点だったといわれる中山町長崎付近は、上方から酒田経由で運ばれてきた荷物の引取がおこなわれる場所だった。しかし、当時は舟が到着したことを知らせる通信手段がなかったため、舟の船頭たちは荷受人が現れるまで何日も待たされることがあり、退屈をしのぐために河原で鍋を囲んで宴を開いていたという。船着場の近くに里芋の名産地・小塩集落があったため、手に入れた里芋と積み荷の棒ダラなどを鍋で煮て食べていたそう。それが現在の「芋煮」のルーツとされる。牛肉を使うようになったのは、昭和のはじめごろからといわれる。
「芋煮」は地域によって味付けや具材の種類が異なる。特に、日本海に面した庄内地域の「芋煮」は特徴があり、内陸部の「芋煮」の風習が庄内地域に伝わった際、養豚業が盛んな地域のため、肉は豚肉、味付けは豚肉に合う味噌味に定着したのではないかといわれている。
食習の機会や時季
「芋煮」は里芋の収穫期の秋から冬によく食べられている郷土料理の一つ。「芋煮会」といって河原に鍋や材料を持込み、家族や友人などと一緒につくったり、運動会や地域行事の後などに野外でつくったりするほか、各家庭でもつくり食べられている。山形県では、「芋煮会」は新年会や忘年会と並ぶ年間行事の一つであり、「芋煮」は県民の団らんに欠かせない郷土料理である。この時期になるとスーパーマーケットやコンビニエンスストアでも「芋煮」に使う食材が販売されており、芋煮会用の鍋や薪やゴザがセットになったレンタルも当たり前となっている。
飲食方法
基本の具材は里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎだが、地域や家庭によって味付けや具材の種類に違いがあるのも「芋煮」の面白いところ。大きく違うのは日本海側の庄内地域で、具は牛肉の代わりに豚肉を用い、その他具材は厚揚げ、こんにゃく、ねぎなどを用いる。味付けは豚肉に合うように味噌仕立てというのが定番。そのほかの内陸部は牛肉を使った醤油味の「芋煮」だが、最上地域では、豊富にとれる山菜やきのこを入れたり、置賜地域では大きめに切った木綿豆腐を入れ、隠し味に味噌を使うところもある。
近年、具材が少なくなった鍋にうどんを投入し、シメとして味わうことも定着しており、最近ではカレールウを加える食べ方もある。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
時期になると、旅館やホテル、飲食店などでも「芋煮」が提供され、学校給食のメニューとしても提供される。
9月中旬には、「日本一の芋煮会フェスティバル」(日本一の芋煮会フェスティバル協議会などの主催)が開催される。会場は山形市の河川敷で、直径6.5mの大鍋を使って「芋煮」をつくる。大鍋は新品の大型のショベルカーを使用し、豪快に混ぜられる。
また、そば店などの飲食店で「芋煮そば」や「芋煮ラーメン」がメニュー化されたり、食品メーカーなどが「芋煮」のレトルト品を開発するなど、「芋煮」を活用した商品化もおこなわれている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/imoni_yamagata.html より
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