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<地理的表示(GI)保護制度> 登録番号 35. 新里ねぎ

2021-01-29 07:04:25 | 食品

 登録番号 第35号 新里ねぎ

 特定農林水産物等の区分 第2類 野菜類 ねぎ

 特定農林水産物等の生産地 栃木県宇都宮市新里町

 登録生産者団体 新里ねぎ生産組合

 特定農林水産物等の特性 軟白部が弓形に曲がった伝統野菜の曲がりねぎ。柔らかく甘みが強い。高値で取引されており、年末年始の贈答品等としても利用される。

 地域との結び付き 生産地の土壌(小石混じりの粘性質の高い黒く粗い土壌)及び気候(南側に山が少なく日照に恵まれ、また冬期の冷気を受けやすい気候)が成長の促進と甘みの増進に好適。品種や栽培方法を変えずに、江戸時代末期から100年以上にわたり継続して栽培。

*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i35.html より

 

 「新里ねぎ-にっさとねぎ」は、栃木県宇都宮市新里町で古く江戸時代から自家採種栽培されてきた在来種の曲がりねぎです。食味は、他の一般的な一本ねぎや近代育種技術による曲がりねぎと比べ、柔らかく、甘みが強く、青葉も美味しく、生で食べても辛味が少ないのが特徴です。在来種の新里ねぎは成長時期が遅く、11月から葉が青々として成長が加速し12月の末頃まで成長します。これも、長年この地の栽培で培われた在来種の特徴だと考えられており、食したときの柔らかさをもたらす要因と言われています。
 形状的には他の産地の一般的な一本ねぎと違って、軟白部が弓形に曲がり、葉の付け根の重なり段が狭く、また緩く重なっています。葉は柔らかく折れやすく、うろ(葉の中の透明なぬるぬる部分)が豊富です。

 「新里ねぎ」の生産は、11月頃又は2月頃に在来種の種を播いて苗を育てることから始まります。種は、産地で伝統的に栽培されている新里ねぎから、系統の特徴を残したねぎを選抜して採種されたものです。4月から5月頃になって苗が成長すると、圃場の畝に沿って1列に植え替えます。7月から9月頃になると、踏返しと言われる二度目の植え替えを行います。畝に沿って成長したねぎの直近をほり、掘った溝に沿って直立しているねぎを、根ごと溝に押し倒して斜めにして根元に土をかけます。その後成長に伴い、収穫前までに白身の部分に3回から4回土をかぶせ、弓形に曲がった軟白部をつくります。収穫は、寒さが厳しくなり甘味が増した12月から3月頃までの時期になります。

 この生産地は、凝灰岩土質の山崩れにより平地が誕生した平地で、小石混じりの粘性の高い黒く粗い土質です。水分を含んだ後乾燥すると固まってしまう粘土質のため、特に昔は鍬を使っての手作業では深く掘ることができませんでした。そのため、二回目の植え替えは、浅く掘った溝にねぎを斜めに寝かせて植えるようになりました。白身の成長と共に徐々に土をかけることで、植物が垂直に立ち上がろうとする性質と相まって、軟白部が弓形に曲がった形となります。「新里ねぎ」の植え替えは2回行われることになりますが、植え替え後、外葉が枯れ内側から新しく葉が成長するため、新しい細胞組織は柔らかい状態になります。このように「植替え」と「曲げる」という栽培でのストレスを受け、新里ねぎは甘味と柔らかさを増すと言われています。
 また、この土質は肥料の養分を植物が吸収しやすいものであり、土に混じった小石の保温効果により、冬期の土温を高く保つことができるため、成長を促していると言われています。
 地形的には、南側に山が少ないため日照時間が長くなり、冬期の成長には好条件です。また、降雪凍結した日光連山の冬期の冷風を受けやすい地形のため、夜間の冷気でねぎの甘味が増す条件にもなっています。

 新里ねぎは、伝統的な品種・栽培方法を守り、江戸時代末期より、採種から収穫まで生産地で行われてきています。元々は自家用として栽培されていたようですが、戦後になり贈答用や青果市場出荷用として栽培量が増えて、その美味しさが地域を超えて知られるようになっていきました。
 その後、栽培しやすい品種のねぎの登場で生産が伸び悩んだ時期もありましたが、2010年頃より、新里ねぎの価値が再度広く一般に知られるようになりました。農産物直売所や道の駅の売店等において高価格で取引されることから、若手の生産者が増え、新里ねぎの生産量も増えてきています。

*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/35.html より


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