「ほう葉巻」
主な伝承地域 木曽地域
主な使用食材 米粉、小麦粉、朴葉、いぐさ、小豆
歴史・由来・関連行事
「ほう葉巻き」は、米の粉に熱湯を入れてよくこね、中にあんを入れて、ほうの葉で包んで蒸したもので、木曽地域に伝わる伝統的な祝い餅である。木曽地域では端午の節句は、ひと月遅れの6月5日におこなわれる。その前後に「ほう葉巻き」がつくられる。端午の節句といえば柏餅だが、標高が高い木曽地域には柏の木がなく、代わりに、朴の葉を使うようになった。昔からそれぞれの家庭には、朴の木があり6月初旬頃になると、朴の若葉が伸びて大きく広がるので、ものを包むのに適するようになる。小枝の先に5、6枚の葉がついており、切らずに繋げたまま1枚毎に餅を包む。餅の中には、小豆あんやつぶしあんを入れ、新しい井草や藁を用いて葉をしばる。蒸しあがったほう葉巻きは、さわやかな若葉の移り香が特徴的な祝い餅だ。今では、ゆず味噌あん、白みそ胡桃あんなどもあり、各家庭や店で工夫されている。町中のあちこちの店でも「ほう葉巻き」がたくさん並び、木曽地域独自の初夏の風物詩となっている。ほう葉巻きの由来は、平安末期に信濃源氏の一族だった木曽義仲の時代に、戦に出る際に朴の葉を利用して味噌や米を包んだのが始まりだといわれている。朴の木は、モクレン科の落葉高木で、山地で見られる樹木の中で、最も大きい葉と花を付ける。大きい葉は長さ40cm、巾25cmもある。ほう葉は防腐効果をもつことから古くから食べ物を包むことにも使われていた。
食習の機会や時季
端午の節句の祝いとしてもつくられ、季節の行事食としてのほか、田植え時期の農家の茶菓子としても親しまれてきた。
飲食方法
ひとつずつ枝から外し、葉を取り、そのまま手で食べることができる。地元の人は、蒸したてよりも、餅がほどよく締まって朴の香りがより移った状態になる「翌日が一番美味しい」という。常温で2~3日保存ができ、食べきれない時は早めにラップで包んで冷凍もできる。冷凍したものは、蒸し器で蒸し直すか自然解凍、または葉を取って焼いて食べる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
今も初夏になると、木曽の家庭では「ほう葉巻き」をつくる。「ほう葉巻き」の季節になると、地元で「ほう葉祭り」が開催され、町内各製菓店ではほお葉巻きやほお葉すしなどが販売される。木曽郡内の和菓子店や道の駅でなどで期間内数ヵ所でおこなわれている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/houba_maki_nagano.html より
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