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<経産大臣指定伝統的工芸品> 沖縄 琉球びんがた

2021-08-25 09:45:19 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「琉球びんがた」

 Description / 特徴・産地

 琉球びんがたとは?
 琉球びんがた(りゅうきゅうびんがた)は、沖縄県首里市周辺で作られている染織品です。その起源は14世紀から15世紀の琉球王朝時代にまで遡り、王族や士族などの婦人が礼装として着用していました。
 色鮮やかな染色模様の「紅型(びんがた)」と藍色だけを使用した藍染め模様の「藍型(あいがた)」に区別されます。また、それぞれの型も技法により、型紙を使用する「型付け」とフリーハンドで模様を描く「筒引き」に分かれています。型付け染めは着尺(きじゃく)や帯、筒引き染めは引幕や風呂敷などの染織品が作られてきました。
 琉球びんがたの特徴は、南国ならではの豪華な色合いと大胆な色使いです。模様は古典的な柄から近代的な柄まで多種多様で、沖縄の自然には存在しない模様も多く含まれています。
 特に古典柄は、日本本土をはじめ中国や東南アジアの影響を受けた模様も少なくありません。色鮮やかな琉球びんがたは、沖縄の自然に融合しながら、先人達により受け継がれる神秘的な染め物です。

 History / 歴史
 琉球びんがたの起源にははっきりとした記録がありませんが、14世紀の書物にはすでに紅型(びんがた)と考えられる記述があり、その存在が確認されています。
 当時の琉球王朝は、東シナ海の中継地として貿易が盛んで、その範囲は近隣国の日本や中国だけにとどまらず、東南アジアにまで及んでいました。そのため、貿易を通じて中国やインド、インドネシアなどの染色技法なども伝わり、それらの技法を取り入れて琉球独自の発展を遂げ、琉球びんがたが誕生したと考えられています。
 その後、琉球王府の保護の下、東洋の優れた布として貴重な貿易品となり、中国や江戸幕府へ献上されていたとも言われています。多種多様な素材や模様、色は、年齢や性別、階級などにより区別されていたそうです。
 第2次世界大戦の被害が大きかった沖縄では、びんがたの型紙や道具の多くを焼失しました。しかし、戦後に懸命な復興が行われ、琉球びんがたは再び沖縄の伝統染織品として守り続けられています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/ryukyubingata/ より

 南の太陽にも負けない鮮やかな色
 染織が盛んな沖縄にあって、ただひとつの染めが琉球びんがたである。もともとは王族、士族の女性が晴れ着として着ていたもの。南国らしい鮮やかな色とやさしい柄が調和して、多くの女性たちをひきつけている。

 
 びんがたの振袖はあこがれの的
 工房の端から端へ張り渡された淡い緑とピンクの布に、テッポウユリやブーゲンビリアの花が踊っている。筆が布をこするシャカシャカという音が響く。普天満紅型工房の佐藤実さんは、妻の真佐子さん、娘の真由美さんと家族三人で、特別注文の衣装に色差しをしていた。
 実さんは琉球びんがたに取り組んで27年、高い技能を持つ伝統工芸士だ。新しい柄に意欲的に挑戦し、美しい作品を次々に生み出している。
 「すべての工程を自分でできるのが魅力です。最初から最後まで一人でできる。頭に浮かんだイメージを引っ張り出して、染めて、形にしていくのは楽しいですね。」
 5年前、娘の真由美さんが成人式を迎えたときには、家族で2週間かけて振袖と帯を作った。華やかなびんがたの振袖は、沖縄でもあこがれの的。そのあでやかさはたくさんの人の目を喜ばせた。


 その日の気持ちや体調が色に表れる
 びんがたを印象的にしているのは、赤、黄色、紺、緑といった鮮やかな色だ。南の明るい光に映える、風土にあった色が使われている。地は染料で染め、模様は顔料で色差しをする。実さんに顔料の配合を見せてもらった。9種類の顔料を豆汁(ごじる)という大豆の汁でペースト状にし、それを配合して色を作る。わずかな差で違う色になってしまう微妙な作業だ。
 「気持ちが充実しているときと、していないときで色が変るんです。」
 心や体の状態がそのまま作品に現われる。手仕事の怖さであり、おもしろさでもある。ひとつの作品に使う色は9~18色。赤系統の淡い色から差していき、徐々に濃い色に移っていく。塗った色をしっかり付着させるために、刷り込みを行なう。これはびんがた独特の工程だ。もう一度色を差し、その上から女性の髪の毛で作った筆で刷り込み、色を均一にならす。
 「こすることで布に塗ってある糊の小口がなめらかになり、やさしい線になります。型紙の厚み、糊の厚み、みんな手伝ってびんがたのやわらかさが出るのです。」


 古典は次の世代に伝えていける
 製作に励む一方、気軽に触れられる展覧会を企画するなど、びんがたを広く知ってもらうための地道な努力を重ねている。高価な着物と思われがちだが、「色も模様も古典的で流行に左右されません。古くならないから、次の世代へ伝えていける。そう考えると決して高くないと思いますよ。」
 むやみに流行は追わない。流行を追わないことにも努力は必要だ。そして新しい柄や色づかいを考えたり、新しい楽しみ方を提案することも忘れていない。
 「いくつもの色が入っていると、目は着物より人にいくのです。着ている人が引き立ちます。年齢や作法にとらわれず、自由に着てほしい。着物に限らず、イブニングドレスにしてもいいと思います。大事に使っていただければうれしいですね。」
 そう話す実さんの目は、たいへんな工程を着実に進めながら、琉球びんがたの行く末をしっかりと見据えているようだった。


 職人プロフィール

 佐藤実

 1948年生まれ。
 73年に普天満紅型工房に参加。伝統工芸士。琉球びんがた事業協同組合理事長。


 こぼれ話

 味わいのあるやわらかな線を出す突彫り

 琉球びんがたには独特の技法がいくつもありますが、「突彫り」はその代表的なものです。びんがたには型紙を使う手法があります。その型紙を彫るときの小刀の使い方に特徴があるのです。普通、小刀は手前にすべらせて紙を切ります。こうすると線はシャープになります。それに対して突彫りは、小刀を上から当て、垂直に下ろして切っていきます。
 「むずかしい彫り方ですが、慣れると曲線を自由に彫ることができます。ぽってりしたソフトな線になって、びんがたならではの味わいが出ます」と佐藤さんはいいます。
 出来上りを大きく左右する作業ですから、道具も大切にしています。小刀は自分で作ります。竹に刃をはさみ、糸で固定します。刃の先はグラインダーでけずって、曲線を持たせます。一人一人が使いやすいように工夫をこらしています。
 琉球びんがたのほっとするようなあたたかさは、長い工程の中で生まれてきますが、こうした目に見えないところにも秘密が隠されていました。

*https://kougeihin.jp/craft/0211/ より


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