第66回 2014年8月19日 「チャーミングに七変化~岩手 南部鉄器~」リサーチャー: とよた真帆
番組内容
カラフルでおしゃれ、そして多機能。今、南部鉄器のコーヒーポットが注目を集めている。コーヒーポット、鉄瓶、急須の3役をこなす優れものだ。400年にわたりしゃく熱の中、鉄と格闘してきた岩手・南部鉄器の最新形が秘めるワザとは?また近年、鉄製のかわいい「起き上がり小法師」が、国際会議の公式ギフトとして各国代表に贈られ、話題に。わずか2.5センチの球体にこめられた高度な原理。開発秘話を女優・とよた真帆が探る
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201408191930001301000 より
1.コーヒーポットセット(岩鋳)
南部鉄器のふるさと、岩手・盛岡市。
南部鉄器は今からおよそ400年前の17世紀初めに南部藩主が京都から釜師を招いて茶釜を作らせたのが始まりとされ、その後取っ手をつけた鉄瓶が代表的になりました。
「岩鋳」(いわちゅう)は、明治35(1902)年創業の盛岡市にある南部鉄器の老舗で、
県内唯一、デザインから販売までの一貫生産体制を整え、年間100万点にも及ぶ製品を製造販売する南部鉄器のトップメーカーです。
その「岩鋳」の急須は、表面は南部鉄器特有の風合いが出るように仕上げられていますが、色は重厚な伝統色から、
従来の南部鉄器のイメージを覆すような赤やブルーを始めとするカラフルな着色が施されています。
これまでに登場したカラーバリエーションは130色を超えているのだそうです。
新たな時代の南部鉄器を代表するものです。
そして更に家庭で気軽に楽しめるようにと工夫が加えられ、多機能のコーヒーポットも生まれ、そのちょっとレトロなデザインが魅力と今では人気が追いつかないほどの人気になっています。
ケトルとして直火にかけて使うことも出来ます。
IH200V対応しています。
内面はホーローでなく焼き付け加工なので、お湯には鉄分が含まれ、まろやかで美味しくしてくれます。
コーヒーポットだけでなく、コーヒーを入れるためのドリッパーも南部鉄器。
開発当初は、小さい穴を作るのが難しく、大きめの穴を開けて作ったところ、お湯が早く出過ぎたため直径4mmの穴を1つ開けることで程良くドリップ出来るようになりました。
コーヒーポットは鋳型作りから始まります。
雛形と呼ばれるアルミ板に砂を入れて圧縮し鋳型を作ると、鋳型に中子と呼ばれるひと回り小さな型を入れます。
直火にかけられるよう、底を広く取ったコーヒーポットの場合、中子を中央に合わせるのが難しいそうですが、職人6年目の藤原さんは、いとも簡単にその作業をこなしていきます。
そこに1500度に熱せられて溶けた鉄を一気に鋳型に注ぎ込んだら、生型が外して、中からコーヒーポット取り出します。
続いては直火にかけられるようにシリコン樹脂の入った耐熱塗料を吹き付けて仕上げていきました。
岩鋳(IWACHU) 岩手県盛岡市南仙北2丁目23-9
2.てつっこ(及精鋳造所)
南部鉄器のもう一つの産地、岩手・奥州市水沢では、南部風鈴などの雑貨が作られてきました。
及精鋳造所は 大正5年に操業の水沢にあるメーカーで、伝統工芸品の南部鉄器から産業機械用の高精度な製品を作っています。
起き上がる南部鉄器「てつっこ」は南部鉄器の起き上がり小法師です。
「ゆるキャラみたい」「癒される」と 人気を集めています。
この「てつっこ」は、平成24(2012)年10月に 東京で開かれた「IMF総会」で、各国代表に渡された公式記念品でした。
東日本大震災の被害の大きかった福島、宮城、岩手の3県が 記念品として製作したものです。
三つの起き上がり小法師「てつっこ」はIMF総会の4か月前に記念品になることが決定したものの、その時はまだ製品として完成していませんでした。
小法師の製作を委ねられた及精鋳造所の及川敬さんと機械加工が専門の幼馴染みの佐藤一男さんの2人は試行錯誤を繰り返していました。
初めは先の尖った形のものを作りましたが、 それでは頭の先が重くて、倒れたきり立ち上がりません。
ある日パチンコ球を見て「まん丸なら立ち上がる」と思い立ち、上半分を軽くし、全体を丸くした形にしてみると、今度は起き上がりはするものの、ゆっくりユラユラ起き上がるイメージとはかけ離れています。
そこで2人は更に改良を加えて、揺れる時間を調整。
4ヶ月に及ぶ試行錯誤の末、遂に理想の動きに到達したのでした。
この南部鉄器の三つの起き上がり小法師「てつっこ」は各国から絶賛され、その後、一般発売されました。
及精鋳造所 岩手県奥州市水沢区羽田町明正147
3.くだものシリーズ(佐秋鋳造所)
岩手県奥州市は鋳型を作るための上質な砂や粘土が採れる地域で、農耕具のクワや鞍、鍋や鉄釜など生活の道具を900年以上作り続けてきました。
佐秋鋳造所は量産が主流となった鉄器産業の中で、900年前から変わらぬ製法にこだわり、本物を追求し続けている鋳造所です。
鉄瓶職人の佐藤圭さんは、昔ながらの技術で伝統的工芸品「南部鉄瓶」を製作しています。
伝統的なものから現代にマッチした新しいデザインのものまで、様々な鉄瓶を生み出してきました。
洋なし形などをした「くだものシリーズ」もその一つです。
他にも、漆仕上げが特徴の「鉄瓶屋が作る好きレット」、葉巻専用の灰皿「cigartray series」などもあります。
佐藤さんは、鋳物は鋳型によって全てが決まるといっても過言ではないとおっしゃいます。
鋳型に使われるのは、工房のある奥州市周辺で採れる良質な砂と粘土です。
鉄瓶の断面を半分にした木型はアルミ板で作られており、馬と呼ばれる支えに木型を固定し、鋳型の中心を軸に回して鉄瓶の形を作り上げていきます。
何度も土を加えて塗り込み、これを2日間繰り返した後焼き上げれば、鋳型は完成です。
佐秋鋳造所 岩手県奥州市水沢区羽田町小屋敷15-1
*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Iwate/NanbuTekki_1 より
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