ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

自由民主党の「立党宣言・綱領」- 24 ( 中央政治大学院について )

2024-12-04 17:04:31 | 徒然の記

 楽しい驚き、腹立たしい驚き、愕然とする驚きなど、驚きにもいろいろな種類があります。

  「自主憲法の制定は、自由民主党の党是である。」  

 「温故知新の読書」で教わり、ネットの情報でも知らされていましたので、党是である「立党宣言」をしっかり読み、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介したいと、期待しながら始めた今回のシリーズでした。

 過去に3回出されている「文書」を検討すれば、自由民主党の目指すものが確認できるという希望が消え、自由民主党の議員諸氏への注文だけが明確になったという驚きが残りました。

  「自主憲法の制定は、自由民主党の党是である。」

 この言葉が口伝えで残されていたことを、むしろ奇跡と感じています。過去の「立党宣言」が自由民主党の「憲法」というのであれば、議員諸氏は自らが「立党宣言」を尊重し広めなければなりません。

 青山繁晴氏や西田昌司氏だけでなく、自前の動画で国民へ発信している議員が沢山います。早速議員諸氏は今日からでも、自由民主党の憲法「立党宣言」の歴史や、内容について熱い思いを語ってはどうなのでしょう。

 ご存知の方がおられると思いますが、自由民主党は、党員を対象にした学校を運営しています。自民党のホームページで、次のように説明しています。

 〈 中央政治大学院について 〉

  ・中央政治大学院は、昭和30年11月の自由民主党立党時に「党員の資質向上」「人材の発掘、育成」を目的にその設置が構想され、2年弱の準備期間を経て同32年7月に開校されました。

  ・開校以来、党本部をはじめ全国各地で講演会を開催するなどの啓発活動を展開し、各地域を担う多くの人材を輩出しました。

  ・平成5年には党機構の改編に伴い、他の党機関と統合され研修活動を続けてきましたが、党員教育の一層の充実を求める声が高まり、平成13年にあらためて中央政治大学院が設置されました。

  ・有馬朗人参議院議員(元東大総長)が、学院長に就任。以降、歴代の学院長の教育方針に基づき、各種セミナーや講座、シンポジウム等を開催し、今日に至っております。

 こういう立派な学校があるのに、「憲法」である「立党宣言」が教科として取り上げられた様子がありません。「学びの庭」を自称する「ねこ庭」には、登録された読者の方が89名おられ、日本の明日を思う学徒の集まりと考えております。

 「ねこ庭」でさえ「立党宣言」を学んでいるというのに、自由民主党の大学院で肝心の「党の憲法講座」がないというのは、これもまた驚きであり失望です。自由民主党は組織が大きくなり過ぎて、縦横の連携がなくなっているのでしょうか。

 「草莽崛起」の基本精神を忘れては、共産党員の活動に勝てるはずがありません。

 19世紀にロシアで革命運動が起こった時、青年革命家たちは「ヴ・ナロード」と叫んで活動したと言います。「ヴ・ナロード」とは、「人民の中へ」という意味のロシア語です。

 「ねこ庭」はこれを「ロシア版・草莽崛起」と考えています。ネットの説明を読みますと、まさにその通りです。

  ・1874年春、学生を中心とする数千人の青年革命家たちが、宣伝用パンフレットを携え、農民服に身をまとって農村に赴き、農民を革命に立ち上がらせようとした。

 現在は草創期の精神を失い、国民弾圧の全体主義政権となっていますが、共産党の原点は「ロシア版・草莽崛起」だったことを「ねこ庭」は忘れていません。日本共産党はこの精神を引き継ぎ、党員たちの日常活動が、今も地域住民の中できめ細かに続いています。

 幸いなことにマルキシズムが、日本の土壌に根付かない外来思想なので助かっていますが、「草莽崛起」を忘れた自由民主党の驕りを、今回の検討作業でまた教えられた気がします。

 中断していた「中央政治大学院」の説明に戻ります。

  ・平成22年1月、それまで都道府県連が独自に主宰、運営していた政経塾やリーダー育成塾が「地方政治学校」として党則に位置づけられ、各校との連携、支援が強化され、中央政治大学院を中心として各地方政治学校の活性化が図られました。

  ・これにより地方政治学校出身者の各級選挙への立候補が促され、多くの人材を輩出、その当選者が全国各地で活躍しております。

 地方にも組織が広がっているのというなら、立党精神の「憲法講座」開設の重要性がますます高まります。

  ・日本の将来を憂慮しておられる良識ある国民の皆さま、私たちの掲げる旗への理解と共感を広げ、共に誇りと活力のある日本をつくっていこうではありませんか。

  ・この「綱領」を党再生の礎、党結束の象徴として、私は不退転の決意で自民党再生の道を切り開いていくことを、お誓い申し上げます。

 谷垣氏が悲壮な決意で挨拶をした時は、すでに「中央政治大学院」は開校していました。「ねこ庭」は狭い庭から発信をしていますので、視野の狭い意見を主張しているのかもしれませんが、自民党総裁の谷垣氏にはせめて党全体を眺めて欲しいものです。

 氏が「中央政治大学院」に気づかないとしても、副総裁の大島理森 ( ただもり )氏、幹事長石原伸晃氏氏、総務会長小池百合子氏、政調会長石破茂氏の誰かが、同校の活用に思いが回らなかったのでしょうか。

 現在の学院長は、衆議院議員の遠藤利明氏です。元パラリンピック・オリンピック担当大臣で、元谷垣派、今は無派閥の議員です。そして学院長の下には11人の副学長がいて、大臣経験者が複数います。

 今からでも大学院の講座に、「立党宣言」を追加すべきと思いますが、元谷垣派の遠藤議員が学院長では期待する方が無理なのでしょうか。

 ならば谷垣氏と危機感を共にし、「平成22年綱領」を作成した当時の政調会長だった石破氏が、今は首相になっています。

 けれども四面楚歌の状況下で綱渡りの政治をしている氏に、期待するのは酷な気がします。今回でシリーズのまとめにする予定が、また伸びそうです。

 このまま終わりますと谷垣総裁への苦情で終わりそうなので、不遇な総裁だった生真面目な氏を思いますと、それはそれで心の安心が得られません。惑いつつ。躊躇いながらの「ねこ庭」に、おつき合い頂ける方は次回もお越しください。

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自由民主党の「立党宣言・綱領」- 23 ( 草莽崛起 )

2024-12-04 07:59:16 | 徒然の記

  ・日本の将来を憂慮しておられる良識ある国民の皆さま、私たちの掲げる旗への理解と共感を広げ、共に誇りと活力のある日本をつくっていこうではありませんか。

  ・この「綱領」を党再生の礎、党結束の象徴として、私は不退転の決意で自民党再生の道を切り開いていくことを、お誓い申し上げます。

 谷垣総裁はこのように国民へ呼びかけ、「自由民主党が何をする党が分からない。」と言われたことに危機感を抱いたと語りますが、一番にやるべきことは「草莽崛起」だったのではないでしょうか。

 「草莽崛起」をウイキペディアが、次のように説明しています。

  ・ 江戸時代末期に、吉田松陰が庶民・大衆主体の改革を望んで唱えた思想として知られる。

  ・志を持った在野の人々が一斉に立ち上がり、大きな物事を成し遂げようとすることを意味する語。

 新しい国を作ろうという大きなことをするのですから、過去の「立党宣言」を懐に抱いて、自由民主党の議員が全員郷里へ戻り、党の理念と政策を懸命に人々に訴えるのが先だったような気がしてなりません。これがいわゆる「草莽崛起」の活動でしょう。

 鳩山一郎首相が作った「立党宣言」と小泉首相が作った「50年立党宣言」の中身が、時代にそぐわないというのなら改定の必要があるのかもしれません。

 しかし「立党宣言」、「50年立党宣言」、「平成22年綱領」の3文書を並べて読みますと、「50年立党宣言」と「平成22年綱領」の内容に大きな違いが見つかりません。

 谷垣総裁たちが余計なことに労力を費やすから、シリーズの18回目に書いたような誤解が生じます。

  ・説明を読んで、「平成22年綱領」と【 平成22年綱領解説 】のいずれが正式の「立党宣言」なのか、「ねこ庭」は判断できなくなりました。

  ・双方の文書には重複した項目が幾つもあり、何のために二種類を作ったのか目的が説明されていません。

 「平成22年綱領」と【 平成22年綱領解説 】の話ですが、「50年立党宣言」との違いが説明されていないのですから、「50年立党宣言」を知っている国民はもっと混乱します。

 「ねこ庭」から見ますと、「自由民主党が何をする党か分からなくしている。」のは、谷垣総裁以下の「新綱領策定委員会」のメンバーではないかと思いたくなりました。

 前回総裁の挨拶文を読んで、「平成22年綱領」が党の正式文書だと分かりましたので、以後は【 平成22年綱領解説 】の検討をやめることにしました。

 細かなことと言われるかもしれませんが、過去二回の文書が「宣言」という言葉を使っているのに、今回は「宣言」の言葉を使用せず、「宣言」の内容である「綱領」に変更しています。何故わざわざそのようにしたのか、意味が分かりません。

 「ねこ庭」が、谷垣総裁と「新綱領策定委員会」メンバーの苦労を脇に置いて批判するのには、理由があります。「アメリカの属国」から脱却するためには、何をおいても「憲法改正」と「皇室護持」が日本の優先課題だからです。

 二つの課題を解決しない限り、日本の未来像は描けず、国際社会で役に立つ日本にもなれません。小泉首相が公表した「50年立党宣言」には、曖昧ながらも該当する文章が書かれていました。

 それなのに議論を尽くしたという「平成22年綱領」では、二つの重要課題の旗印がさらに曖昧になり、抽象的になっています。言いたくはなかったのですが、やはりリベラリストの谷垣総裁が作った「自由民主党の憲法」はこの程度のものだったのかという失望です。

 首相になった石破氏が、つい最近まで「女系天皇もあり得る」と言ったり、「憲法改正」について曖昧な態度なのは、谷垣総裁のもとで「新綱領策定委員会」のメンバーだった影響があるのでしょうか。

 これでは「アメリカの属国からの脱却」が出来ず、日本の独立が遠のいてしまいます。アメリカは喜ぶのでしょうが、国を愛する国民は「新綱領策定委員会」のメンバーの仕事に失望します。

 従って「50年立党宣言」と「平成22年綱領」の検討作業は、今回で終わりにしたいと思います。両文書は自由民主党のホームページにありますので、興味と関心のある方は各位で確認されることをお勧めいたします。

 参考のため、両文書の構成を紹介しておきます。

 〈「50年立党宣言」〉

    前      文   新綱領 ( 8項目 )          新理念 ( 6項目 )

 〈「平成22年綱領」〉

    現状認識   綱領 ( 3項目 )  ・・  さらに3項目が、それぞれ3つ、6つ、6つに分かれる。

 次回は、今回のシリーズのまとめを致します。興味のある方だけ、お越しください。

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