ネットで見つけた違う意見とは竹田恒泰氏のもので、次のタイトルに引かされました。
北海道の神社がなぜ氏のコラムを発信しているのかは、後で調べることとし、先に氏の意見を紹介します。内容は以下の4つに分けて述べられています。
竹田氏は皇族なので天皇家に対する言葉遣いが丁寧で、丁寧すぎる違和感もありますが、余計なことを言わず順番に意見を紹介します。
〈 1. 俄かに浮上した女性宮家創設案 〉
・御不例により東大付属病院にご入院中であられた天皇陛下が御退院あそばした翌日の十一月二十五日、
・読売新聞は一面トップに「『女性宮家』の創設検討」という見出しを掲げた。
・記事によると、宮内庁は皇族女子による「女性宮家」創設の検討を「火急の案件」として野田総理に要請したという。
野田氏が総理だったのは平成23年ですから、竹田氏のコラムは13年前のものだと言うことが分かりました。話の発端が宮内庁から総理への要請だと言いましても、これほどの重大事となれば、陛下のご意向無しに宮内庁が動けるはずがありません。
野田氏が真剣になる理由が見えてきます。
・その後官邸と宮内庁は、皇族が今後減少する問題を解決する必要性について認識しているものの、「女性宮家創設」という具体的な話は出ていないというが、どこまで具体案が検討されているか、真相は不明である。
・この読売新聞のスクープ記事が切っ掛けとなり、メディアで女性宮家創設がしきりに取り上げられるようになり、秋篠宮妃殿下のご懐妊で中断していた、皇室制度の議論が再び蒸し返されることになった。
GHQは朝日新聞でしたが、宮内庁は読売新聞を優遇しているらしく同社にスクープをさせていました。しかしいくら優遇されているとしても、読売新聞社だけでこの重要問題に他のメディアを同調させる力はないのではないでしょうか。
議論が再び蒸し返されたとすれば、陛下のご意向があったと考えるのが自然ですが、竹田氏もここまで踏み込むのは避けているように見えます。
〈 2. 皇族の減少への対策は必要 〉
・たしかに、官邸と宮内庁が危惧するように、このままでは将来的に皇族が減少し、皇位の安定的継承に問題が生じる可能性が高い。
・現在皇室には天皇陛下の他に、二十二方の皇族がいらっしゃるが、その内女性皇族が十五方であるのに対し、男性皇族は七方と少ない。
・皇位を継承できる皇族男子は、陛下の子の世代には皇太子殿下と秋篠宮殿下のお二方、また、孫の世代には秋篠若宮殿下のお一方のみ。
・しかも、今後皇族がご誕生になる可能性があるのは、将来秋篠若宮殿下がご結婚あそばした後に限定されるため、今後皇族が増えることは期待できない。
・それどころか、二十代の未婚の女性皇族六方は遠くない時期にご結婚あそばされ、皇籍をお離れになるため、
・今後皇族は激減することが確実であるばかりか、悠仁親王殿下の御即位により、宮家は一つもなくなることがほぼ確実とみられる。
〈 3. 女性宮家は形を変えた女系天皇論 〉
・しかし、皇族を確保するために、如何なる手段を講じてもよい訳ではない。
・女性宮家創設とは、すなわち女性皇族が民間から婿を取ることを意味する。
・もしこれが現実のものとなれば、皇室の歴史上、初めて民間出身の男性が皇族の身分を取得することになる。
・そして、その子や孫が将来の天皇となった場合、男系継承の原則が崩され、初の女系天皇が誕生することになる。
・女性宮家創設というのは一般人の耳に優しく響くだろう。しかし、女系天皇を容認する国民的合意なくして、女性宮家について論じるのは適切ではない。
・女系天皇論者は、悠仁親王殿下ご誕生で女系天皇論が進められなくなっていたところ、最近になってこれまでと違った形で攻勢を仕掛けてきたのである。
・これは、天皇陛下の御体調を慮る国民の感情を巧みに利用したものであり、女性宮家創設の皮をかぶった女系天皇論にほかならず、「禁じ手」というべきである。
竹田氏がコラムを書いていたとき、天皇は退位の意思を表明されていませんでしたが、今は当時の皇太子殿下が天皇になられ年号が令和と変わりました。
当時天皇は国事行為であるのに、内閣に相談されず、ご自身でNHKを通じて健康問題を理由として「退位 ( 譲位 ) 」のご決意を表明されました。安倍内閣の時でしたが、大騒ぎになったことを記憶しています。
国家の基本を揺るがす国事行為を、なぜ陛下は内閣の助言なしに実行されたのだろうか、憲法遵守と常々述べられていた陛下が、なぜ憲法を無視する行為をされたのだろうかと、「ねこ庭」は過去記事で取り上げ疑問を述べました。
禁じ手という竹田氏の意見は正論ですが、上皇陛下がNHKを通じて「お言葉」を国民に伝えられる前なので、NHKの報道後なら書けなかったコラムではなかったかと考えます。
・これは、天皇陛下の御体調を慮る国民の感情を巧みに利用したものであり、女性宮家創設の皮をかぶった女系天皇論にほかならず、「禁じ手」というべきである。
上皇陛下自らが禁じ手を使われたことへの批判になりますので、いくら竹田氏でもそんな大胆なことはできないはずです。
皇室の方々の年齢的な面から考えると、現在皇位継承の男子は悠仁様お一人になっており、男系維持の方策の検討が更に火急のものになっています。
〈 4. 女性宮家を可能にする唯一の方法 〉
・ただし、女性宮家を創設させる方法は一つだけ存在する。それは、女性皇族が女性宮家を創設させられる条件として、婿を旧皇族の男系男子に限定することである。
・新しく創設される宮家の当主には、血統が要求されて当然であり、この方法によれば、男系継承の原則は確実に守られる。
・「旧皇族は六十年以上民間の垢にまみれてきた」との主張もあるが、それを言うなら、女性宮家創設では、六十年どころか何千年遡っても皇室にたどり着かない男性を皇族に加えることになる。
・まして、皇室に入り込んだ男性が、どこかの国のスパイだったら取り返しがつかない。
・イギリス国王エドワード八世が、王位を辞してまで結婚したシンプソン夫人は、ナチスドイツのスパイだった教訓を忘れてはいけない。
・今般の女性宮家創設を、女系天皇容認の方向ではなく、これを逆手に取るようにして、男系継承を守るための方法論に誘導することができないものだろうか。
シンプソン夫人については初耳ですが、女系天皇反対の意見は「皇室護持」を願う国民には正論です。しかし大手メディアは、上皇陛下と秋篠宮様のご意志を既に忖度しており、意見が正論であっても取り上げる可能性は無しと言わざるを得ません。
今回のシリーズの目的は、秋篠宮様の「ご発言」の真意を検討することでしたが、検討の範囲が上皇陛下にまで広がり、次第に歯切れの悪い叙述となっています。
左系の立場にいる高島キャスター、板倉アナウンサー、河西准教授が明確な意見を述べているのですから、その勇気を「ねこ庭」も見習わなくてなりません。
次回は勇気を出して、シリーズの検討に区切りがつけられるよう頑張ろうと思います。