ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

ジャパン・アズ・ナンバーワン - 7 ( 民主党政権と官僚機構 )

2019-09-22 16:28:14 | 徒然の記
 民主党政治の失敗を詳しく語ると横道に逸れますので、官僚との関係に絞って、述べます。
 
 最大の特徴は、官僚抜きの政務三役で全ての政策を決定しようとしたことです。政務三役とは、大臣、副大臣、政務次官を指し、官僚支配の象徴と言われた、事務次官会議が廃止され、代わりに閣僚委員会が設置されました。
 
 予算や重要政策は、閣僚委員会で議論し決定することになりました。政治家が官僚の助けなしに、政策形成をすることは不可能に近いのですが、民主党は、官僚からの情報提供が、政治家の操作につながることを恐れ、官僚と政務三役の接触を制限しました。
 
 簡単に言いますと、民主党の政治家は政権を担うだけの実力がないのに、理念を先行させたということになります。
 
 内閣人事局は、「国家公務員の人事管理に関する、戦略的中枢機能を担う組織」と位置付けられ、
 
 (1)幹部職員人事の一元管理
 (2)全政府的観点に立った国家公務員の人事行政を推進するための事務
 (3)行政機関の機構・定員管理や級別定数等に関する事務などを担当する
 
 以上三点を目指していましたが、どれも実現できませんでした。ネットの情報が、民主党政治の失敗の本質を指摘していますので、転記いたします。
 
 「 民主党は、官僚支配の本質を的確に把握できなかった。」「彼らの、制度変革から入る政治主導は空転した。」
 
 この一語に尽きますが、民主党政権がこれほどの反日・左翼利敵政権だとは、知りませんでした。金権・腐敗の自民党政府の打倒を期待し、一票を入れましたが、危うく日本まで打倒させられるところでした。彼らが失敗して幸いでした・・・というところで、ヴォーゲル氏の著作に戻ります。
 
 「国会議員は、独自の調査機関を持っていないので、」「専門的な仕事に関しては、官僚に依存せざるを得ない。」「官僚に対して批判的な態度を示した政治家は、全官庁から、」「何らかの報復措置を、取られる必要がある。」「例えば、不完全な資料を手渡されたりすれば、」「国会で演説して、恥をかかされる破目になるのである。」
 
 民主党政権時代にどこまで官僚が抵抗していたのか、実際には知りませんが、国会の質疑で、野党の自民党議員から質問されると、官僚のメモなしでは答弁的できなかった大臣たちの姿が、今も記憶に残っています。ヴォーゲル氏の語る事例が、そのまま証明されています。
 
 鳩山、菅、野田と、一年ごとに総理が交代し、最初の総理だった鳩山氏は、辺野古の基地問題を白紙撤回して沖縄の混乱に拍車をかけ、日米同盟を危うくしました。二番目の菅総理は、尖閣の領海を侵犯した中国船を捕獲していながら釈放し、対中屈従外交をあからさまに見せました。
 
 三番目の野田総理は、国有財産である韓国古文書を韓国へ返還し、感謝どころか逆に韓国をつけあがらせてしまいました。韓国政府は日本から盗んだ仏像を、盗品と分かっていながら、返しません。
 
 日本をダメにした民主党の話はキリがないので、ここでやめ、ヴォーゲル氏の著作に戻ります。
 
 「第二次世界大戦以後、20年間、アメリカは共産主義との戦いに情熱を傾けてきたが、」「日本はひたすら経済成長を追い求めもっぱら国内の経済発展のため、費やしてきたのである。」
 
 「アメリカの電子産業は、市場を重視するより、一定の利益が保証されている、政府との契約に力を入れる方を得策と考え、」「国際市場での競争力を、見過ごしてきた。」「日本の企業は国際競争力をつけ、確実に、マーケット・シェアーを獲得した。」
 
 米国が主張する「安保ただ乗り論」の走りですが、具体的に述べているので参考になります。自民党の政治家が、憲法改正に目を向けなかった理由も、間接的に語られています。
 
 「アメリカ政府が投資するのは、主として軍事産業、宇宙産業、基礎研究である。」「ところが日本政府の投資は、経済的な採算がとれるものに対してであり、」「多額な資金を要するため、民間企業で手を出しにくい分野に、限られてきた。」
 
 「政府が行う研究の目的は、民間企業への支配力を高めるためでなく、」「研究の成果を民間企業に与え、経済全体の競争力を高める点にあった。」「この方針は、すべての政府所属機関に共通している。」
 
 「通産省所属の、工業技術院はもとより、」「競輪、競馬、ボートレースなどで、収益を得ている通産、運輸、農林各省庁の、付属研究機関にも、当てはまることである。」
 
 氏が日本を訪れた、昭和33年と昭和50年の頃官僚たちはまだクリーンで、愛国心を持ち、国の再建に力を尽くしていたことが伺えます。到達した高度成長時代から、自民党の政治家と官僚が初心を忘れ、「憲法改正」を忘れ、「国の守り」を忘れ、金権腐敗へと身を落としていった・・・と、私は考えます。
 
 ヴォーゲル氏だけでなく、マスコミも多くの国民も政治が官僚に支配されていると言い、官僚支配の政治を悪のように語りますが、敗戦後の日本を再建した歴代の総理がエリート官僚だったことを、どれだけの人が知っているのでしょう。
 
   1. 吉田茂(外務省)         2. 芦田均(外務省)              3. 岸信介(商工省)
 
      4. 池田勇人(大蔵省        5. 佐藤栄作(鉄道省)          6. 福田赳夫(大蔵省)  
 
             7. 大平正芳(大蔵省)     8. 中曽根康弘(内務省)     9. 宮澤喜一(大蔵省)
 
    宮沢喜一氏以降、私の知る限り官僚出身の総理はいません。宮沢氏はエリートでしたが、決断力に欠けた総理だったため、事実も確認せず「慰安婦問題」で二度も韓国に謝罪し、今日の卑屈な日本を作った最低の総理の一人でした。
 
    官僚出身者にはこんな政治家もいますが、日本を再建した素晴らしい人物もいます。この事実を見ますと、日本では政治家と官僚の境界が明確でなく、「官僚支配からの脱却」などと、簡単に言えないのではないでしょうか。
 
 本日はここで一区切りとし、明日も氏の著作で勉強をしたいと思います。
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ジャパン・アズ・ナンバーワン - 6 ( 米国に葬られた悲劇の宰相 )

2019-09-21 21:22:08 | 徒然の記
 今回も日本のエリートについて、氏の研究に耳を傾けましょう。
 
 「同期の高級官僚たちは、同じ省内であっても、他の省であっても、」「同時に昇進を続けつつ、親交を深めていく。」「交友関係は、東大法学部在学中から始まる場合も多く、」「あるいはもっと早く、エリート高校時代に始まることもある。」「もちろん同じ省庁の者同士の方が、知り合う機会も多く、親しくなるだろうが、」「他省の同期生とも、交際する機会が折に触れ回ってくる。」
 
 前に略歴を紹介しましたが、氏は1958(昭和33)年から1960(昭和34)年に来日し、経済大国のなった日本について調査・研究を行っています。研究の成果が認められたためか、昭和42年ハーバード大学の教授となっています。
 
 昭和47年には同大学東アジア研究所長となり、昭和50年から昭和51年にかけ再来日し、同様の調査・研究を行っています。昭和33年の第一回目の来日時は岸内閣の時で、2回目の昭和50年は 三木内閣の時でした。
 
 氏はハーバード大学の強力な人脈を活用し、日本の著名な教授や学者、政界のリーダー、官界のエリートたちと対話を重ねています。
 
 「互いに知り合っていれば、単なる公式文書の交換、」「公式会議での議論以上に、うまく意思疎通が、図れる訳である。」「40才代になると、要職についた官僚は、積極的に、」「他省の同期生との、交流の機会を利用しようとする。」「さらに昇進して、トップの地位に就いた際に、」「以前にも増して、これらの交際が物を言うからである。」
 
 だからこの本には、一般の日本人が知らない政界の裏話や、官僚たちの本音が集められ、世に出されています。
 
 「縦割りの省庁」、「省益あって国益なし」と言われるので、各省間には横の連携がなく、互いに勢力争いをしていると思っていましたが、各省のエリートたちは、常に交流し、意思の疎通を図っていたのです。
 
 当時の次官の実権は大臣以上でしたから、彼らが手を結べば、およそ何でもやれました。大臣の更迭、総理の交代など、なんの造作もありません。マスコミは彼らの監督下にありますから、彼らがリークする政治家のゴシップ報道が、何日でも、何ヶ月でも流し続けられます。報道の自由のためと言えば、ニュースソースが秘匿されますのでら、官僚のリークが国民に知られる心配がありません。
 
 「自分たちの仕事に、必要以上に横槍を入れてくる政治家に対して、」「官僚たちは、ためらうことなく結束する。」「仕事は課単位で行われ、課の仕事の貢献度により、」「課が評価される。」
 
 「上司は、協調性のない者を昇進させたりしない。」「各人は課内での存在価値を発揮することによって、」「省内での存在価値を確立するのである。」
 
 所属する省内で、省のトップの意向に添い、実力を発揮した者が昇進する仕組みです。「省益あって国益なし」とは、こうした事実を指した言葉ですが、すでに各省のトップたちが十分な根回しをしているので、実際にはバラバラの動きをしているのでなく、官僚組織は共通の意思で動いていることになります。
 
 「ワシントンでは、新政権が誕生するたびに、」「新しい人間を、各省庁のトップに送り込むことが、昔からの慣例となっている。」「日本人の考え方からすれば、これは官庁が大統領の権限に屈服することであり、」「官庁の自立性や、大胆さを失わせることになる。」「長い目で見れば、有能な官僚の育成を阻害することにもなる。」
 
 「彼らにとって、外部からやってきた素人にトップの座を譲ることは、耐え難いことなのである。」「日本では政治家も、彼らの優秀さを理解しているから、」「彼らの機嫌を損ねないように、気を使う。」
 
 鉄の団結を誇る官僚組織を、金の力で捻じ曲げたのが、元首相の田中角栄氏で、腕力で破壊しようとしたのが、民主党政権でした。別の見方をしている人がいるのでしょうが、私はそのように見ています。
 
 学歴の無い田中氏は、エリートと無関係の政治家でしたが、独特の政治哲学と、天才的直感を持つ人物でした。民主主義は多数決だから数が全てだと割り切り、金の力で支持者を集めました。単に金をばらまくだけなら、成り上がり者と軽蔑されますが、氏は人情の機微を抑え、人間を虜にする魅力を備えていました。
 
 「田中君は、役人たちを堕落させてしまう。あれには、困ったもんだ。」
 当時の佐藤総理は、高価な贈り物で官僚たちを手なずける氏を、苦り切っていたそうですが、止めることはできませんでした。日本の高度成長期でしたから、やり手の田中氏は、とうとう総理の座を手に入れました。
 
 誇り高く清廉な官僚たちに金権の魅力を教え、堕落の道へ誘ったキッカケは、田中氏だったのでないかと、私は今でも思っています。吉田茂氏は、「日本を決定した百年」の著書を、自分で書きましたが、田中氏のベストセラー「日本列島改造論」は、優秀な官僚が書いています。
 
 自分の考えを官僚に代筆させただけと、悪びれないところが、氏の氏たる所以です。
 
 日本の頭越しに中国と国交回復をしたのは、アメリカでしたが、氏が間髪を入れず日中国交回復をすると、途端に危機を感じ、アメリカは田中総理の政界からの抹殺を図りました。世に言う「ロッキード事件」がそれで、犯罪人の汚名を着せられたまま、氏は憤死したと言われています。
 
 政治家と官僚を金権腐敗にまみれさせたのは田中氏でしたが、アメリカにより葬られた、悲劇の宰相としても心に残っています。「ロッキード事件」以後、アメリカに逆らえばとんでもないことになると、自民党の政治家たちが、以前にも増して米国の顔を伺う政治を始めました。
 
 中国や韓国・北朝鮮ばかりでなく、アメリカにも政治家は腰をかがめ、卑屈な政治をしています。誰がやっても、そうなってしまう風土が、敗戦後の日本の現実のようです。
 
 悲観的な話となりましたが、次回は、官僚組織を腕力で破壊しようとした、民主党について述べます。氏の著作から外れますが、我慢してください。横道から元の道へ戻った時、ヴォーゲル氏の著作への理解が一段と深まるはずです。
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ジャパン・アズ・ナンバーワン - 5 ( 政治家と官僚 )

2019-09-21 13:05:04 | 徒然の記
 本日は、80ページから始めます。
 
 「日本で、政治的決断を下すグループは、2つある。」「1つは総理大臣を始め、各大臣を含む政治家グループで、」「もう1つは、高級官僚のグループである。」
 
 ここで氏が言わんとしていることは、「日本の政治を動かしているのは、政治家でなく、官僚だ」、ということです。マスコミが取り上げるのは、表の顔である政治家ですが、縁の下で政治の舞台を支え、動かしているのは官僚たちです。今では多くの国民が知っていますが、40年前に、それを知っていた人は少なかったと思います。
 
 「日本の政治家は、多くの重要な政策に対する、決定権は持っているものの、」「アメリカの政治家に比べると、官僚に対する支配力は弱い。」「各省庁の人事で、総理大臣が任命するのは大臣と政務次官だけで、」「実際に政治をうごかしているのは、官僚出身の事務次官であり、」「各省庁の重要な実務は、政治家でなく、」「官僚たち自身の手によって、行われると言って良い。」
 
 「日本には優秀な官僚たちがいるから、大臣がバカでも、」「政治は間違えず行われる。」と、こんな陰口もありましたが、確かにそうだったと思います。誇り高く、愛国心に燃え、清廉潔白な彼らが、政治維新以来、日本を支えてきました。官僚と呼ばれたり、役人と書かれたりしますが、元々の発祥は、江戸幕府にいた実務家の武士階級だと言われています。
 
 政権が変わっても、国のためなら身を捨てて働くと言う潔さも、武士ならではのものだったのでしょう。彼らは明治の近代化に貢献し、日清日露の戦争でも、有る限りの知恵を絞りました。敗戦後の日本では、焦土と化した国が、奇跡の復興を遂げた裏には、やはり彼らの献身がありました。
 
 ヴォーゲル氏は、こうした歴史は知りませんが、官僚の優秀さや、無欲とも言える使命感の高さに感嘆しています。
 
 「高級官僚は、皆輝かしい学歴を持つ者ばかりである。」「全国に200万人いる大学生の中でも、最も優秀な学生が集まる東京大学は、」「厳しい試験を突破しなくてならない。」「中でも法学部は、独特の位置を占めており、」「卒業時に上級公務員試験を受け、これに合格すれば、」「官庁に入れる。」
 
 「各省庁には、毎年20数名のエリートが入省するが、」「このうち15名くらいは、東大法学部出身者である。」「このようにして生まれたエリート官僚は、有能であるばかりでなく、」「世間から、尊敬の目で見られるのである。」「日本以外で、こうしたエリート機構を持つ国は、」「おそらく、フランスくらいのものであろう。」「日本では、人材を定年まで引き留め、」「組織内で育てていく点が、アメリカとの大きな違いである。」
 
 こうした話は聞いていますし、フランスが政府人材のため、エリート大学を作っていることも知っていました。しかし日本とフランスの仕組みが、同じレベルだということは、氏に言われるまで気づきませんでした。
 
 私の頭の中で日本とフランスはつながらず、フランスの方が進んでいるとばかり、思い込んでいました。批判していましたのに、私も西洋至上主義かぶれの一人だったのです。
 
 「彼らの給料は、年功序列に基づいて上がっていくが、」「民間企業の同輩に比べると、額は少ない。」「オフィスも質素だし、特別手当の額も少ない。」「法律で定められた定年はないが、エリート官僚のほとんどは、」「50代半ばで退職する。」「どこの国の官僚もそうであろうが、日本のエリート官僚たちにも、」「献身的な態度が要求される。」「彼らは、自分たちだけが、重要な問題を扱っていることを、」「十分認識しているし、」「大きな誇りを感じているのである。」
 
 官僚組織に対する氏の研究は、私の知る一般論から、私の知らない詳細へと進みます。興味のない方はスルーされて構いませんが、今後の日本を考える上で、重要なことだと思います。40年前の話ですから、今もこうした伝統が残っているのかについても、検討する価値があります。
 
 安倍総理への抵抗組織として、あるいは政権への協力組織として、彼らがどのような力を発揮してきたかを、知るきっかけがつかめます。彼らと政治家の関係や、私たち国民との関係について、知っておくことは大切です。
 
 次回も、氏の著作で勉強していきましょう。
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ジャパン・アズ・ナンバーワン - 4 ( ネメシスの報い )

2019-09-19 15:15:45 | 徒然の記
 今回は、ヴォーゲル氏の序文を紹介します。
 
 「まず私が思い立ったことは、勤勉、忍耐力、克己心、」「他を思いやる心といった、日本人の美徳と考えられる特質を、」「検討してみることだった。」
 
 「しかしながら、日本人の組織、財界、官僚制などへの関わりを、」「調べれば調べるほど、日本人の成功は、」「そのような伝統的国民性、昔ながらの美徳によるものでなく、」「むしろ日本独特の組織力、政策、計画によって、」「意図的にもたらされたものであると、」「信じざるを得なくなった。」「こうした私の、知的労働から生まれたのが、この本なのである。」
 
 違和感を覚えたのば、この叙述でした。日本の成功について、氏はその原因を、2つ挙げています。
 
 1.  勤勉、忍耐力、克己心、他人への思いやりなど、日本人の美徳と考えられる特質、伝統的国民性
 
 2. 日本独特の組織力、政策、計画によって、意図的にもたらされたもの
 
 氏は1.でなく、2.が日本の成功の原因だとし、以後本は2.に重点を置いて語られていきます。論理が整然としていますので、多くの人が納得できる意見にです。しかし私は論理より感性で生きているためか、すんなりとは受け取りません。2.の土台なっているのが 1.であり、両者は不可分の関係だと、そのように考えるからです。
 
 私の考えの大枠を知るため、もう少し序文を引用します。アメリカについても、日本についても、厳しい批評をし、両論併記の公平さがあります。反日・左翼の学者のように、我田引水の主張を展開しませんので、読書の秋にふさわしい本です。
 
 「アメリカにとっての、過度のプライドとは、」「世界の他の国々の発展に、注意を払わず、」「国際情勢に効果的に対応するための対策を、欠いたことであるが、」「日本人には、この種の危惧は当てはまらない。」
 
 「なぜなら日本人は、自らこういった危機意識を持っていて、」「自己に対する批判も、怠っていないし、」「むしろ国際情勢の変化に呼応して対処することに、巧みであったからである。」
 
 「日本人の傲慢の罪は、自らの優秀性について、」「次第に自信を持つようになり、そこまでは良しとしても、」「外国人に対して、尊大な態度をとるようになり、」「狭量にも、自己の利益を追求するあまり、」「他の国々との友好関係を失い、ついには、」「必要な協力を、得られなくなることにある。」
 
 「ここにこそ、日本人が受ける、ネメシスの報いの可能性がある。」
 
 ネメシスとは、ギリシア神話の中に登場する、天罰の女神の名前です。得意になり、身のほどを忘れたイカロスが、ネメシスの報いを受け、命を落とすという話です。耳痛い言葉ではありませんか。昨年の6月にブログで引用した、マレーシア人のラジャ・ダト・ノンチック氏の詩を、思い出します。平成元年(1989)に、首都クアランプールで書かれたものです。
 
  かって 日本人は 清らかで美しかった
  かって 日本人は 親切でこころ豊かだった
  アジアの国の誰にでも
  自分のことのように 一生懸命つくしてくれた
 
  何千万人もの 人の中には 少しは 変な人もいたし
  おこりんぼや わがままな人もいた
  自分の考えを おしつけて いばってばかりいる人だって
  いなかったわけじゃない
 
  でも その頃の日本人は そんな少しの いやなことや
  不愉快さを超えて おおらかで まじめで
  希望にみちて明るかった
 
  戦後の日本人は 自分たちのことを 悪者だと思い込まされた
  学校でも ジャーナリズムも そうだとしか教えなかったから
  まじめに
  自分たちの父祖や先輩は
  悪いことばかりした残酷無情な
  ひどい人たちだったと 思っているようだ
 
  だから アジアの国に行ったら ひたすら ぺこぺこあやまって
  私たちはそんなことはいたしませんと
  いえばよいと思っている。
 
  そのくせ 経済力がついてきて 技術が向上してくると
  自分の国や自分までが えらいと思うようになってきて
  うわべや 口先では すまなかった 悪かったといいながら
  ひとりよがりの 
  自分本位の えらそうな態度をする
  そんな 今の日本人が 心配だ
 
  ほんとうに どうなっちまったんだろう
  日本人は そんなはずじゃなかったのに
  本当の日本人を知っているわたしたちは
  今は いつも 歯がゆくて 
  悔しい思いがする
 
  自分たちだけで 集まっては 自分たちだけの 楽しみや
  ぜいたくに ふけりながら 自分がお世話になって住んでいる
  自分の会社が仕事をしている その国と国民のことを
  さげすんだ目で見たり バカにしたりする
 
  こんなひとたちと 本当に 仲良くしていけるのだろうか
  どうして
  どうして日本人は
  こんなになってしまったんだ  
 
 バブル経済が破綻したのが平成3年ですから、この詩が書かれたのは、バブルの絶頂期です。政治家や経済人だけでなく、海外で働く日本人も、このように驕っていたのでしょう。
 
 こういう事実をマスコミが報道しなかったので、多くの国民は知りません。札束で相手の頬を叩くような、成り上がり者の傲慢さだったと、そんな話も聞きました。急成長した中国や韓国が大国意識をかざし、日本を威嚇するのも、かってのわが国と同じことをしているわけですから、本当は、お互い様なのかもしれません。
 
 40年経った今、氏が指摘した傲慢さが影を潜め、立場が逆転してしまったということです。話が本題を離れましたので、軌道修正し、次回は書評へ戻ります。
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ジャパン・アズ・ナンバーワン - 3 ( 母国アメリカへの警告書 )

2019-09-19 07:06:37 | 徒然の記
 最近は書評が批判ばかりで、健康によくありませんでした。ヴォーゲル氏の著作は、どこを読んでも考えされられ、有意義でした。納得できないところがあっても、違う見方もあるのだと肯定的に読みました。
 
 戦後の私たちは、東京裁判のおかげで、すっかり日本人の魂を失ったと、悲観的に考えていましたが、氏の話を聞きますと、そうではありません。欠点と思っていたことを、氏が評価し、評価するだけでなく、アメリカは謙虚に見習うべきだと言います。
 自分たちのことは、自分が一番知っていると思っていましたが、氏が違った観点から考えさせます。
 
 NHKの反日番組を見、村上議員の愚論を聞き、ヴォーゲル氏の本を思いますと、不安に襲われます。氏が日本の長所として、脅威に感じていたものを、40年後の私たちは、ことごとく失ったのではないのかという不安です。
 
 三木内閣以来、23人の総理大臣が生まれ、現在が23人目の安倍総理です。昭和天皇が独立国には軍隊が不可欠と言われ、憲法改正を願われていたのに、23人の総理の中で、「憲法改正」と「再軍備」を口にしたのは安倍総理だけでした。
 
 吉田茂氏は、日本が貧しい間、再軍備は無理だと言いましたが、世界第二の経済大国と言われるようになった後でも、誰も「憲法改正」を口にしませんでした。影の総理と言われた小沢一郎氏が、湾岸戦争時に金だけ出して済ませたため、日本は欧米諸国から軽視されました。
 
 あとは歴代の総理が、アメリカの企業や政府に言われるまま、日本の市場を解放し、社会の仕組みを崩壊させました。米国の手先として活躍した竹中氏は、最後の仕上げに手を貸しただけで、実際は歴代内閣が、大切な日本の制度や伝統を、代替わりの都度、少しずつ壊していました。
 
 最近では、とうとう最後の砦である「皇室」まで、「人権」や「男女平等」などと言い、破壊しようとしています。自民党の中にも賛成する議員がいますから、恐ろしいことです。
 
 「それでもなお、氏が40年前に賞賛した日本の仕組みや、日本人の心は残っているのだろうか。」
 
 書評を始めるにあたり、一番心にかかっているのがここです。反日番組を作り続けるNHKや、中国や韓国・北朝鮮に心を傾ける村上議員を見ていますと、心配になります。
 
 これからやろうとするのは、40年前の氏の意見が、まだ健在なのかどうか・・の検証です。
 
 学者は自分の意見をアピールするため、研究対象をややもすると過大に表現します。忘れてならないのは、書かれていることが、日本への賞賛でなく、母国アメリカへの警告であるということです。その点に留意しつつ、序文の2ページから転記をいたします。
 
 「アメリカはほとんどの分野において、日本よりも、」「ずっと先を行っていた。」「研究能力の点でも、創造性の点でも、比べ物にならず、」「天然資源、人的資源は、共に十分すぎるほど、」「豊かであった。」「それから15年経った、1975 ( 昭和50 ) 年に帰国した時は、」「日本の友人たちに、指摘されるまでもなく、」「私自身が、一体アメリカはどうなっているのかと、」「疑わざるを得ない、状態であった。」
 
 「この同じ時期、日本はGNPの点では、世界一ではないし、」「政治の面でも、文化の面でも、」「世界の指導的立場に立つ国とは、なり得ていないのは確かだが、」「しかしながら、日本の成功を、いろいろな分野において、」「仔細に検討してみると、この国は、」「その少ない資源にも関わらず、世界のどこの国よりも、」「脱工業化社会の直面する、基本的問題の多くを、」「最も巧みに処理してきたという、確信を持つに至った。」
 
 「私が日本に対して、世界一という言葉を使うのは、」「実は、この意味においてなのである。」
 
 氏が日本を訪れたのは、昭和33~34年の ( 岸内閣 )と、昭和50~51年 ( 三木内閣 )の二回ですが、この時の印象が、いかに大きかったのかということです。日本経済が飛躍的に成長を遂げた時期は、1954年( 昭和29年)12月の、第1次鳩山内閣から、1973年( 昭和48年 ) 11月の、第2次田中内閣までの、約19年間だと言われています。この間には「神武景気」や「岩戸景気」、「オリンピック景気」、「いざなぎ景気」、「列島改造景気」、と呼ばれる好景気が続きました。
 
 私が大学を卒業した昭和44年は、高度成長期の最中だったのです。「もうお金はいらないから、休みが欲しい。」と、泊り込みの勤務の続く日に、ため息をついたことを思い出します。日本中が忙しくて、どこも人手不足で、殺気立つほど活気に満ちていました。
 
 現在も多忙で、人手不足だと言われていますが、大きく違っているのは、若者たちの給料です。当時の経営者も、従業員を酷使しましたが、時間外や休日出勤など、誤魔化さずに払ってくれました。働いても貧しいままで、先が見えないという不安はありませんでした。
 
 この点についても、次回から検討し、苦労している息子たちに伝えたいと、思います。 ( こうなりますと、書評が他人事で無くなります。 )
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ジャパン・アズ・ナンバーワン - 2 ( ヴォーゲル氏の来日は2回 )

2019-09-18 16:15:46 | 徒然の記
 とっくに読み終えた本なのに、NHKの犯罪的番組と自民党の村上氏のため、書評が遅れてしまいました。
 
 このままスルーしようかと、何度か考えましたが、このところ日本に失望するブログばかり書いているので、多少とも日本を評価する米国人の意見を、息子たちに紹介するのも大切でないかと、そんな気になりました。
 
 今から40年前といえば、昭和54年のことです。氏が、日本のどこを評価したのか。確認するのも、無駄なことではありません。昭和54年がどういう年であったかを、ネットで検索しました。
 
【 1月 】
  •   アメリカ合衆国と中華人民共和国が国交樹立。
  •   イランのモハンマド・レザー・パーレビ国王がエジプトなどへ亡命。
 •    上越新幹線の大清水トンネル貫通(2万2228mで貫通当時は世界最長のトンネル)。
 •    鄧小平が、米中国交樹立をうけ、訪米。大統領ジミー・カーターとの会談後、最先端の航空・宇宙産業、自動車産業、通信技術産業を視察した。
 
【 2月 】
 •    イラン革命。
 •    カンボジアをめぐる対立から中越戦争が勃発。
 
【 3月 】
 •    アメリカのスリーマイル島原子力発電所で放射能漏れ事故。
 
【 5月 】
 •    イギリス、保守党の党首サッチャーが首相に就任(先進国初の女性首相)。
 •    日本電気(NEC)がパーソナルコンピュータ「PC-8001」を発表。
 •    本州四国連絡橋の第1号、大三島橋が開通。
 
【 6月 】
 •     欧州議会議員選挙の投票が実施され、欧州議会初の直接選挙が行われる。
 •     ウィーンでの米ソ首脳会談で、SALTII(第二次戦略兵器制限条約)が調印される。
 •     第5回先進国首脳会議(東京サミット)開催。
 
【 7月 】
 •     ソニーがヘッドホンステレオ「ウォークマン」を発売。
 •     イラク、バース党のサダム・フセインがイラク大統領に就任。
 
【 8月 】
 •    第1次大平内閣衆議院解散(増税解散、一般消費税解散)
 •    中央アフリカ帝国で、フランス軍による無血クーデターにより帝政が崩壊。
 
【 10月 】
 •  アメリカが、海外領土パナマ運河地帯の施政権を、パナマに返還。
 •  韓国の朴正煕大統領暗殺。
 
【 12月 】
 •   韓国で粛軍クーデター、全斗煥少将が軍の実権を掌握。
 •  ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻。
 
 1つ1つの出来事が、懐かしく思い出されます。パーレビ国王、鄧小平、サッチャー首相、サダム大統領、大平首相、朴大統領など、すでに故人となっています。「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。」・・と、平家物語の一節を、思い出します。今も昔も世界は激しく動き、国々はいっときも休まず、争っていました。
 
 実際にヴォーゲル氏が日本を訪れたのは、昭和33~34年( 岸内閣 )と昭和50~51年( 三木内閣 )の二回ですから、主な出来事を調べるのなら、この時点にすべきでした。しかしそれはもう、面倒になりましたので、息子たちに言います。
 「各自ネットで検索してください。」
 
 次回から、書評に入ります。
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ジャパン・アズ・ナンバーワン ( 日本を分析した学者 )

2019-09-18 10:43:37 | 徒然の記
 エズラ・F・ヴォーゲル氏著『ジャパン・アズ・ナンバーワン』 ( 昭和54年刊 (株)ティービーエス・ブリタニカ)を、読んでいます。今から、40年前の本です。手にするのは初めてですが、有名な本でしたから、書名だけは知っていました。
 
 翻訳者は、数学者として有名な、広中平祐氏の夫人広中和歌子氏と、木本彰子氏ですが、どうして書名を、英語のままにしたのでしょう。中を読みますと、日本賞賛の書というより、成功した日本を分析・検討した解説書です。
 
 まだ98ページなので、断定するのは避けますが、印象としては、ルイス・ベネディクト氏の『菊と刀』に近い感じがします。つまり、日本への思い入れとか、好感からでなく、いつしか強大な国になった東洋の小国について、成長の原因を明らかにする、という姿勢で書かれています。
 
 『菊と刀』は、第二次世界大戦時、日本との開戦を前にしたアメリカが、日本研究のために書かせたと言われています。ヴォーゲル氏の本も、そういう意図を持つ文章ですから、題名の下には、「アメリカへの教訓」という言葉が添えられています。
 
 裏表紙にある、著者の略歴を紹介します。
 
 ・「1930(昭和5)年、オハイオ州生まれの、社会学者。」「1958(昭和33)年、ハーバード大学で、博士号取得。」
 
 ・「1958(昭和33)年から、1960(昭和34)年、来日し、調査・研究を行う。」
 
 ・「1967(昭和42)年、ハーバード大学教授となる。」
 
 ・「1972(昭和47)年、同大学東アジア研究所長となる。」
 
 ・「1975(昭和50)年から、1976(昭和51)年、再来日し、調査・研究を行う。」
 
 日本を高く評価した、素晴らしい本だと聞いていましたので、ブルーノ・タウトの『日本美の再発見』のように、好意的な意見が述べられているとばかり、思っていました。私の周りにいた人たちがそうだったのか、マスコミの宣伝がそうだったのか。あるいは、欧米人が日本について書くと、何でも有り難がる評論家たちが、そんな書評をしていたのでしょうか。
 
 前回のブログで鈴木氏が、日本の悪口を国内だけでなく、外国でも主張する不埒な日本人として、  西洋至上主義かぶれと、左翼思想かぶれの二種類の人間をあげていました。
 
 彼らはいずれも迷惑な存在ですが、それだけでなく、むやみに日本を褒め称える、右翼かぶれも加えなくてなりません。贔屓の引き倒しで顰蹙を買い、結局日本の評価を落としていますから、過激な人物はみな「迷惑な仲間」です。
 
 4年前に読んだ『ライシャワーの日本史』を思い出します。元駐日米国大使だった氏が、退任後に出した本ですが、知日派の元大使が書いた素晴らしい本であると、この本も随分賞賛されていました。実際に読んでみますと、賞賛されていたのは隣の中国で、日本は中国文明のお陰で成長した娘だ、と書いてありました。それだけでなく、敗戦後、GHQの統治下で変貌した日本については、東京裁判史観そのままの見方をしていました。
 
 取り立てて日本を賞賛をしてもらいたいと、思っているのでありませんが、西洋至上主義者と、左翼かぶれの愚か者たちが、大袈裟な欧米人賞賛をするので、不愉快になっています。
 
 わが国には、進歩的文化人などと呼ばれる日本人がいかに多いかを改めて知らされます。話が横道へ入りますが、ついでなのでライシャワー氏の本の一部を、紹介いたします。マッカーサーの日本統治に関する、氏の意見です。
 
 「アメリカ人が、およそアメリカ人らしからぬ、革命的情熱を、」「日本で燃やしたのは、なぜだろう。」「よく聞かされる説明は、日本社会は極めて悪質だから、荒療治で臨まなければ矯正できない、という説であった。」「この弁明は、ある点では、無知がもたらした結果であり、」「ある点では、マルクス主義的な解釈によるものであった。」

 このようにして、米国の内情を遠慮なくに語るため、氏を「親日派」と誤解したのでしょうか。後に続く主張を読み、それでも親日派だと思う人間が、果たして何人残るのでしょうか。
 
 「しかし、予見がいかに間違っていようとも、」「この薬は結果的に、なかなかの効き目を見せた。」「マッカーサーは、アメリカが生んだ、最も過激的な社会主義者、」「と呼んでもいいくらいの、指導者と化し、」「目覚ましい成功者の一人となった。」「革命的変革というものは、どこかよその国が、」「有無を言わせぬ軍事力を背景とした方が、実現はたやすいのである。」
 
 マッカーサーがした革命的変革には、財閥解体、保守政治家と軍人の追放、農地改革など沢山ありますが、最低だったのが、現憲法の押しつけです。一週間たらずで、彼のスタッフが書き上げた憲法を、無理強いし、受け入れなければ天皇を有罪にしたがる勢力を抑えられなくなると、脅迫しました。
 
 マッカーサーは朝鮮戦争が勃発すると、日本に再軍備を迫り、レッドパージをするという変身をします。
 
 この時以来、日本には軍隊があるのか、ないのか、おかしな状況が発生します。軍隊と言えないため、最初「警察予備隊」と言い、次に「保安隊」と呼ばせ、最後は自衛隊と言わせるようになっています。
 
 兵士を隊員、戦車を特車と言い換え、訳のわからない自衛隊は、一旦戦争になったら、国と国民を守るため戦うことができるのか。中途半端のまま今日に至り、政治家が右左に分かれて言い争う原因になっています。それを反日・マスコミが「平和憲法」などと国民をたぶらかし、国論を二分させています。
 
 ライシャワー氏は、マッカーサーの統治を他人事のように叙述し、アメリカの力を使えば、日本はどのようにも作り変えられると、傲慢な思考をします。中国には、古代からの文明国として敬意を払い、日本は中国から派生した付録のような書きぶりです。
 
 今でもライシャワー氏の名前を聞くと、氏を礼賛した日本人たちを軽蔑せずにおれなくなります。ブログのスペースがなくなりましたので、ヴォーゲル氏の著作の書評は、明日からになります。
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村上誠一郎議員の動画 - 5 (「獅子身中の虫インタビュー」)

2019-09-16 15:46:27 | 徒然の記
 村上議員の、インタビュー動画の5回目です。
 
 「中曽根さんは、偉かった。」「あの人は、自分と考え方の違う、後藤田さんや梶山さんをちゃんと使った。」
 
   「安倍さんは、自民党が右に傾いている時さらに右寄りの人を重用するから、傾きが止まらない。」「バランス感覚がない。」
 
 氏は、衆議院議員を11期務めていますから、党内では、中堅でなく、幹部級に位置する議員です。その議員が、現在の自民党が右に傾いていると考え、総理が右寄りの議員を重用していると、公言するのですから、やはり、安倍氏の党内基盤は、盤石でないと思えてきました。
 
 もし自民党議員の大半が、敗戦で失った日本の独立を回復し、不名誉な過去を本気で精算するつもりであるなら村上議員の発言はありません。
 
 村上氏だけでなく、東京裁判史観を信じ日本の再軍備をためらう議員が、相当数いるから、氏が堂々と動画で意見を公開できます。面従腹背とは、あの反日・左翼の文部次官、前川喜平氏の座右の銘だそうですが、安倍氏の周りには、こんな議員がかなりいるのだと分かりました。
 
 「安倍さんが考えなくてならないのは、次の世代にまで日本を生き残らせるには、どうすればいいのか、ということです。」
 
 「優先すべきは、安全保障法案ではありません。」「財政、金融、経済が重要で、先決問題なんです。」
 
 「国民が、安心して、笑って暮らせる国であれば、それで十分なんだ。」「安心して、笑って暮らせる国にするためには、自国の通貨を守る、自国の経済を守る。これで十分です。」
 
 国民が安心し、笑って暮らせる国にするためには、国防が不可欠なのに、バカなことを言います。
 
 こういう意見が、自民党の議員の間で、総理への批判として囁かれている事情がおぼろに見えてきました。経済さえ盛んになれば、国防は必要性がないと、これはおそらく、中国市場に目がくらみ、そのため韓国との結びつきも失いたくない、経済界の考えと一致します。
 
 経済界のトップたちは、「金儲けをさせてくれるところならば、そこが自分の国だ。」と、日本人の魂を失いつつあります。アメリカ企業だけでなく、日本の一流企業も、国境を越えて利益を求める「無国籍企業」となり、祖国を軽視するようになっています。
 
 ここまで村上氏に、総理の批判ができるのは、こうした背景があるからでしょう。
 
 「安全保障と防衛は、別の概念です。」「安全保障とは、敵をいかに減らし味方をいかに増やすか、という政策です。」
 
 「防衛とは、他国との軍事バランスを考える政策です。」「相手が軍事費を増やせば、対抗してこちらも増やす。」「永遠に続く政策で、切りがありません。」
 
 「だから、大事なのは、外交努力です。敵ばかり増やすような外交をせず、味方を増やす外交です。」
 
 「日本人は大人になり、近隣諸国との関係をより良くすることを考え、努力すべきです。」
 
 「尖閣問題は、石原知事が国有化を言い出し野田首相が国有化してから、急におかしくなった。」「日本は、相手を刺激するようなことばかりやっている。」
 
 「誰が原因を作ったのかを考えないで、すぐに相手に反発する方がおかしい。こんな外交をやっているのが、まともな政治家なのか。」
 
 戦後74年間、氏の言う大人の姿勢を続けてきたから、今日の日中、日韓、日朝関係があります。居丈高な隣国に押しまくられ、その都度卑屈に腰を落とし、我慢し、金を払い、際限なくむしり取られてきた現在の日本があるのです。
 
 「なんだ、こういう奴らが、今まで自民党内でのさばっていたのか。」
 
「この虫どもが、日本人の誇りと、愛国心を無くさせ、ペコペコと謝るだけの日本にしてきたのか。」
 
 私はやっと、氏の正体を見ました。自分の信念や歴史観がなく、他人の顔色を伺っているだけということも、次の言葉で分かりました。
 
 「憲法学者の9割9分までが、安全保障法案はおかしいと言っている。」
 
 「多くの法曹関係者も、私の知り合いの最高裁の裁判官も含めておかしいと言っている。」
 
 「国民や学者がおかしいと言っていることを、このまま進めていいのか。」
 
 「今まで日本は専守防衛の国だったから、テロの対象にならなかった。」「この法案が通れば自衛隊だけでなく、一般国民も、テロの危険にさらされることになる。」
 
 「自民党内で、こんな危険な法案を通そうとしているのは、いったい誰なんですか。」と、インタビュアーの質問が入り、氏が答えました。
 
 「小沢さんや小泉さんみたいな、強引な個性の人がやってるんですよ。」
 
 「独走しているのは安倍さんで、安倍さんの一存です。これをきちんと批判しない、マスコミも悪い。しっかりしてくれと、言いたい。」
 
 「トッブが安倍さんでなくなれば、自民党も変わる。」
 
 「党の幹部が、こんなメチャクチャなことを言いやろうとしていますが、こんなことが、後世の歴史に耐えられるはずがない。」
 
 今から4年前、氏はここまで言い切りました。日中友好議員連盟、日韓友好議員連盟、日朝友好議員連盟、パチンコ議員連盟、名称はうろ覚えですが、こういう組織にいる自民党の議員たちは、村上氏と気脈を通じる反安倍勢力なのでしょう。
 
   これに、利益第一の無国籍企業が加わっているとすれば、やはり安倍総理の党内基盤は、今も綱渡り状態と考えるのが妥当でしょう。
 
 息子たちに言います。政治の世界の現実がこれです。
村上氏は、立派な「獅子身中の虫」「駆除すべき害虫」の一匹ですが、いかに駆除するのが難しいか。お前たちにも、少しは見えたことと思います。
 
 「憲法改正」「皇室護持」の二点において、安倍総理を支持するという信念は、変わりません。村上氏のお喋りを聞き、一層そう思いました。
 
 今回で、「獅子身中の虫インタビュー」ブログを、終了いたします。
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村上誠一郎議員の動画 - 4 ( 「保守の顔をした反日議員」)

2019-09-16 06:21:35 | 徒然の記
 氏は、自民党をダメにした三人の議員の名前を挙げます。
 
     1.  小選挙区制導入を強引に進め、派閥と族議員を消滅させた小沢一郎氏
 
    2.   郵政改革で、自民党を分裂させた小泉純一郎氏
 
    3.  安全保障法案を、強行しようとする安倍晋三氏
 
 氏は小沢、小泉氏と、過去の実力者にも、異論を唱えた議員です。
 
 1.の小選挙区制は、見直し論が出ていますし、私も疑問視していますが、当時は問題点が分からず、むしろ賛成していた方です。
 
 1.の目的は、アメリカやイギリスのように、政権交代可能な二大政党を作り、政治を活性化することでしたが、見事に失敗しました。二大政党どころか、自民党対弱小野党の乱立で、政治のカギを握るのが無党派層という状況になりました。
 
 2.の目的は、何だったのか。こんなに大騒ぎする理由が何なのか。あの頃はサッパリ分かりませんでしたが、今は分かっています。
 
 そもそも郵政民営化は、国民が望んできたことではありません。執拗に要求してきたのは、米国の金融業界とアメリカ政府でした。
 
 米国は、保険分野の「規制撤廃」のため、郵便局の簡易保険の「改革」を、ずっと要求していました。簡保と民間との、競争条件を同じにすることなど、郵政民営化を求めていたのですが、この間の事情を、小泉氏は説明せず、マスコミも国民に伝えませんでした。
 
 さらに日本の銀行や保険業界も、自分たちの利益につながるため米国に同調し、郵貯・簡保の縮小・廃止を求めました。
 
 この時小泉氏が、アメリカの代理人として重用したのが、悪名高き竹中平蔵氏です。竹中氏は、日本の銀行界をアメリカのハゲタカファンドの草刈り場にし、金融界の日本的秩序を破壊し、さらには企業の「終身雇用制度」と、「年功序列制度」を消滅させました。
 
 正社員より、低賃金のパートアルバイトの採用が進み、その結果として、現在の若者の貧困化が定着しました。
 
 だから私は村上氏が、小沢・小泉氏反対してきた事実については、敬意を表します。多くの人がどのように思っているのか知りませんが、私は今でも、小沢氏と小泉氏は、日本をダメにした政治家として、心に刻んでいます。
 
 それでも、安全保障と憲法改正につきましては、村上氏に賛同しません。小選挙区制や郵政改革と異なり、憲法改正は、これまで自分なりに取り組んできた課題だからです。
 
 私は安倍氏の全てを肯定しているのでなく、「憲法改正」と「皇室護持」の、二点を支持しています。金をばらまく外交や、日本の伝統破壊の政策についてなら、村上氏にいくらでも噛みついてもらいたいくらいです。
 
 「アベノミクスですが、株価対策をやっているからいいように見えるが、実際は、財政も金融も、限界にきている。」
 
 「集団的自衛権など後にして、方向転換をする方が先だ。」
 
 「最近の日本を見たら分かりますが、日本中の活火山が活発に動き出しています。」
 
 確かに、火山災害が各地で発生しています。桜島、浅間山、箱根山、草津白根山、阿蘇山、口永良部島などで、噴煙、火山弾、地鳴りが住民を怯えさせています。
 
 「日本がこんな時に、自衛隊員を海外に送る余裕などないでしょう。」
 
 正論らしく聞こえますが、ここでも氏は、反日の野党議員諸氏と同様、大きな勘違いをしています。
 
 国防と防災は別物であり、これを混同してはなりません。自衛隊の役目は、災害対策一筋でいいのだと、ひところ共産党や社会党が盛んに言っていましたが、氏の認識もそれと同じでした。
 
 軍の主要任務が地域住民のための災害対策だなどという国が、世界のどこにあるのでしょう。一国平和主義と同様、こういう考え方は「日本の常識は、世界の非常識」と言われるものの代表例です。
 
 とっくの昔になくなっていると思っていましたが、氏の頭の中で生きていました。
 
 議員は勉強が足りないと氏が批判していましたが、私には、同じ穴の狢に見えてなりません。国防と防災が別物であるから、日本には昔から、ちゃんと別の組織があります。
 
 1.  国民の生命と領土を守るため、敵と戦うのは自衛隊(軍隊)です。
 
    2. 災害から住民を守り、救助活動をするのは、総務省消防庁、警察災害防衛隊、海上保安庁です。
 
 火山活動による被害の増大を心配するのなら、総務省消防庁、警察災害防衛隊、海上保安庁などを強化し、隊員の増強を考えるのが、政治家の役目です。
 
 自衛隊と異なり、災害対策組織は横の連携がなく、臨時的に組織化されることが多いため、私たち国民も組織の全容を知りません。
 
 もし危機感を持つのなら、氏はこの脆弱な国の防災体制を指摘すべきで、自衛隊を持ち出すなど、国会議員として不勉強もいいところです。そうでなく全て知った上で喋っているのなら、日本の独立を考えない偽保守です。
 
 今回も、スペースに余裕がなくなりつつあり、続きは次回といたします。後もう少しなので、ぜひ「ねこ庭」へお越しください。
 
 もしかすると次回の意見が、氏の真骨頂であるのかもしれません。つまり、「保守の顔をした反日議員」・・・。
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村上誠一郎議員の動画 - 3 ( 滅多に聞けない議員の本音 )

2019-09-15 13:02:15 | 徒然の記
 村上氏の意見は愚論ですが、自民党の現職議員が本音で語っているので、本気で聞きました。
 
 立派な意見でもおかしな主張でも、本気で話す議員の言葉は、めったに聞けませんから貴重な動画です。
 
 「安倍総理の独走を許したのは、マスコミの責任ですよ。」
 
 「ひとつは、派閥を潰したこと、いまひとつは、族議員を潰したこと。」
 
 「党の幹部が、比例区の人選、金、人事を握ってしまったから、党内で異論を唱えると守ってくれるものがなくなった。」
 
 「昔なら、派閥が議員を守ってくれた。」
 
 「議員は、選挙の時の応援と、選挙後のポストが欲しいから、安倍さんのいうことを聞く。異論を唱えるとガードしてくれるものがないから、総理の言うことを、聞くしかない。」
 
 なるほど、党内の事情はこう言うことになっていたのかと、教えられます。だとすれば、安倍総理は、私が想像するほど、孤立していると言うわけでもなさそうです。
 
 「簡単に言うと、私の正論を誰がガードしてくれますか。」
 
 「まともに憲法や法律を、守ってきた議員なら心の奥では、総理のやり方はおかしいと思っているはずです。」
 
 こう言う理屈で氏は反旗を翻していたのかと、教えられます。どこが正論かと言いたくなりますが、事情を知らない視聴者にしてみれば、孤軍奮闘する氏の姿が立派に見えるのかもしれません。
 
 「安全保障のような重要な問題は、正面から国民に問うべきですよ。」
 
 「それをしないで、これほど急ぐ必要が、どこにありますか。国民に問うて、イエスならやる。ノーならやらないと、諦めるのが民主主義です。」
 
 単純化された意見は、ものごとを深く考えない国民には受けます。
 
 氏は国民投票のことを言っているのですが、これこそが愚かな政治家の意見です。重要な法案であれば国民投票にかける前に、議員が議論を戦わせるのが民主主義の基本です。
 
 議論もろくにせず、大事な問題をその都度国民に投げかけていたら、国会議員はいりません。国民の選良である議員が国会で議論を尽くすから、国民に問題の中身が伝わり、判断の材料が与えられます。
 
 議員の責務を放棄し、国民投票を安易に考える氏の方こそ、立憲主義の破壊者だと「ねこ庭」からは見えます。
 
 イギリスを見れば、氏の間違いが分かります。
 
 国会で結論が出ず、2016 ( 平成28 ) 年6月に、EU残留の是非を問う国民投票が実施されました。EU離脱派が勝利してから4年目になりますが、離脱をめぐる混乱は収まらないどころか、混迷を深めています。
 
 原因の1つは、「残留派が48.1%、離脱派が51.9%という超僅差で、離脱派が勝利したところにあります。
 
 安全保障問題が国論を二分する問題だと言うのなら、国民投票をしても、イギリスのようになるのが目に見えています。
 
 国民投票が問題解決の万能薬でないことは、イギリスが証明しています。動画が放映されたのが、平成27年の6月ですからイギリスの国民投票の一年前です。喋っている時の氏が、分からなくて当然ですが、今はイギリスの現状を見て少しは意見を修正したのでしょうか。
 
 自分が自民党内で孤立しているのは、議員たちが勉強をしていないからだと、仲間を批判していますが、勉強が足りないのは氏も同じでないかと、「ねこ庭」には見えます。氏の愚論と暴論は、とどまるところを知りません。
 
 「民主主義では、最終的には有権者が決めます。」
 
 「憲法についていえば、憲法は押し付けられたものではない。」
 
 「その中には守るべきものがあり、立派な憲法です。」「今は、これが問われています。」
 
 「国会議員は選挙区に帰って、有権者と酒を飲んだり踊ったりしないで、憲法問題を問うべきなんです。」
 
 「立派な憲法であることをちゃんと説明し、改正すべきなのかどうか、選挙民に問うべきです。」
 
 国民が主権者だという意見は正論ですが、過ぎると、迎合主義のポピュリストになります。
 
 しかしどうでしょう。氏が選挙区に帰り住民と対話し、「立派な憲法だから、改正するのはダメ」と、言ったら、どれだけの人々が賛成するのでしょう。
 
 もしかすると支持票が割れ、落選しないとも限りません。自民党の議員が、選挙区へ戻っても、憲法問題を語らない原因の1つがここにあります。
 
 「安倍総理がおかしい。」と思っているのでなく、
 
 「正しいのかもしれないが、選挙民に云い出す勇気がない。」、というのが本音だと、私は逆に考えています。
 
 有意義な暴論がまだ続きますから、次回もどうぞ、「ねこ庭」へ足をお運びください。冷たい麦茶を、用意いたします。
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