朝鮮における日露の対立は、箇条書きにしますとよく分かります。
・日清戦争で日本が勝利すると、朝鮮国王の皇后閔妃は親日政策を取るようになった。
・三国干渉により、日本が遼東半島を還付させられると、閔妃は親日政策をやめた。
・閔妃は排日政策を取り、ロシア公使ウェーバーへ接近し、親露政策に転換した。
・駐鮮日本公使三浦梧楼が、政敵の国王の生父大院君を担ぎ出し、王宮を襲い閔妃を殺害させた。
・朝鮮国王と皇太子が、ロシア公使館に居を移した。
「三浦梧楼の行ったことは、日本政府の意図を超える出先官僚の、国際的破廉恥行為であった。」と、下村氏が説明しています。日清戦争後の「三国干渉」の中心がロシアで、その憎きロシアに閔妃が乗り換えたとしても、直接手を下したのが反閔氏派の朝鮮人だったとしても、三浦公使の行為は犯罪です。
国王と皇太子がロシア公使館へ居を移すと、当然ロシアの影響力が大きくなります。国力のない日本は、ロシアとの妥協を図ります。
・明治29年5月 「小林・ウエーバー覚書」
・明治29年6月 「山県・ロバノフ議定書」
などを結び、ロシアが国王と皇太子に、王宮へ戻ることを勧告するよう約束させたり、日露が同数の軍隊を朝鮮に派遣する取り決めをしました。翌年の明治30年に、国王高宗と皇太子は王宮へ戻りますが、ロシア公使館滞在中に、次のことを決めていました。
・京仁鉄道敷設権と平安北道の金鉱採掘権を、アメリカに与える。
・京義鉄道の敷設権をフランスに与え、軌道はロシア式とする。
・咸鏡北道の鉱山採掘権、茂山・鴨緑江・鬱陵島の伐採権をロシアに与える。
・ロシア人を朝鮮政府の顧問とし、財政、軍事を監督させる。
・ロシア人士官が朝鮮軍を訓練し、京城にロシア語学校を開設する。
・京城に、ロシア資本による露韓銀行を設立する。
この他に密約として、以下のことも決めていました。
・内乱と外国の侵略に対して、鎮圧・防衛の任をロシアに与える。
・仁川沖に、ロシア海軍のため、44,000平方メートルの租借地を与える。
ロシア公使館に滞在中、ロシアが国王を脅してそうさせたのか、国王が自らロシアの提案を受け入れたのか、どちらにしても、日本には不利な政策でした。明治30年に、日本はロシアと東京で会談し、少しでも勢力を挽回しようと「西・ローゼン協定」を結びます。
1 . 日露は、軍事・財政上は韓国に対し、同等の地位に立つ。
2 . 経済上は、日本の優位を認める。
2 . については氏が、具体的条文を紹介しています。当時の状況を知る参考になりますので、そのまま転記します。
「ロシア帝国政府は、韓国における日本の商業及び工業に関する企業の、」「大に発達せること、居留日本国民の多数なることを認むるをもって、」「日韓両国間における、商業上・工業上関係の発達を妨害せざるべし。」
当時の日本から、商業施設、工場建設投資が活発に行われ、日本人も多数移り住んでいたことが窺われます。大国ロシアが、日本に対していかに厄介な国であったかも、同時に伺われます。それ以上に、大事な点は、韓国の意見や意思がどこにもないまま、日露両国が勝手に韓国の政治・経済政策を決めていることです。
退屈な条文まで転記しているのは物好きからでなく、息子たちに、国際社会の恐ろしさを知ってもらいたいためです。無力な国が強い国により、どれほど蹂躙されるのかという実例を示しています。114年前の出来事ですが、国際社会では、現在も同様のことが行われています。
マスコミが伝えないだけで、アメリカ、中国、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアが、世界各地でやっていることに変わりはありません。世界の紛争地域では、必ずこれらの強国が背後にいて、自国の利益のため動いています。紛争の生じた国に、彼らが介入し、さらに紛争を大きくし、武器を売ったり、領土を奪ったり、傀儡政権を作ったり、ろくなことはしません。
餌食となる紛争国には、敵国のために働く裏切り者がいて、騒ぎを起こす手伝いをします。チベットやモンゴルやウイグルだけではありません。アフガニスタンも、イラクもイランも、ベトナムも北朝鮮も、調べて見れば同じ動きがあります。
息子たちに言います。日本はそんな国ではないと、安心していると大間違いをしまい。沖縄で「独立論」を唱えている者たち、北海道で「アイヌの自治権」を主張している人間たちは、日本に騒ぎを起こし外国勢力の手引きをする日本人です。
朝鮮も最初から、他国に踏み荒らされていたのではありません。50年、80年という時間をかけ、ゆっくりと浸食され、崩壊しました。日本も今、ゆっくりと時間をかけ、崩壊の道を歩いています。自分の国を守れない憲法を、「平和憲法」と主張することからして、その萌芽です。男女平等と言い、「皇室」を消滅させようとする人間たちも、外国勢力の手先です。
彼らのやっていることは、社会を騒がせ、紛争を起こし、やがて外国勢力介入の道を開きます。極論すれば反日野党や日本のマスコミのほとんどは、日本崩壊のための煽動者です。これまで何度か指摘してきましたが、保守自民党の中にも、日本の騒乱と弱体化に貢献している議員たちがいます。
今回も書評を外れましたが、日本の危機がそれほど迫りつつある今、せめて「ねこ庭」では、本音の意見を言わなければなりません。
本人が意識していないとしても、これまでの言動を見ていれば、国賊としか思えない人物が何人か総裁選に立候補しています。ですから、私は言います。
「河野太郎氏と共同通信社に、騙されてはなりません ! 」