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ハリの焼き入れ①

2015-01-23 17:23:40 | うんちく・小ネタ
創業明治9年から鮎懸鉤(アユカケバリ)を製造して、今年で138年になります
その間、日本を取り巻く環境は大きく変化してきました
大昔のハリの型には、人の名前が刻まれています
川漁師の希望に合ったハリを、造っていたのでしょう
その種類と数量は、尋常の数ではありません
それらの型の対象とするのは、鮎です
一つの魚種に対するハリの型の多さは、どの魚種にも負けない
こだわりの釣りと言われる所以です
鮎釣りに嵌ると、中々抜けられない
鮎釣り中毒に、皆さん掛かってしまうのでしょう
鮎バリ製造の長い歴史の中で、機械化が進み
ハリも連続して綺麗にできるようになりました
『鮎バリができるのなら、どのハリでも簡単にできる!』
と、言われたことがあります
確かに、軸が細い割にはふところが広い
型も色々の謂れがあって、地域と河川によって異なる
鮎釣りを理解していないと、その型の意味すら判らないと思う
ただ、一河川、二河川の釣行では、鮎釣りをしていても判らない
鮎釣り名人が、講演でハリの型の事を色々と言っているが、的を得た話をされる方は極少数
「鮎バリの命は、何と言っても焼きだ!」と言われる
細軸で、ハリ先が鮎の皮膚に食い込んで少ししなる
しなった反動で、ハリ先が戻って皮膚に食い込む
その後、鮎が逃げようとした反動で、ハリ先が身を貫く
そのしなりを生み出すのが焼き入れなのだ
ただ硬くするだけでなく、粘りも備わっていなければならない
マルト138年の歴史には、その秘めたる手法が伝えられている
現在、多くのハリ屋さんは、ハイカーボン鋼材の材料でハリを造っている
電気炉で熱して、焼入油に投入し、次に焼戻しを熱した油に入れ戻す(焼き戻し・テンパー)
『ハリを電気炉で熱して』と簡単に書いたが、その温度域を保って空気(酸素)に触れない状態で焼入油に入れる
なぜ空気に触れない状態が必要かと言えば、酸素と結合してハイカーボン鋼が脱炭するからだ
それも全体の表面が脱炭するので、その部分が柔らかくなる
ハリ先の先もハリの表面だから、ハリ先が柔らかいハリ・・ハリ先がすぐにダメになるハリとなる訳だ
窒素ガスを使った雰囲気炉だと、その心配は解消?される
今度は、ハリを炉の中に運ぶ方法が問題となってくる
当初は、メッシュベルトで連続して運ぶ方法だった
しかし、ステンレスメッシュを使っても焼き入れ温度が高温なので、ベルトの損傷が頻発に起こった
解消方法として、シェーカー炉が考え出された
これは、テーブルの上にハリを乗せ、テーブルの横を叩くとハリが移動することを利用したものだ
つづく・・・

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