「日経おとなのOFF」12月号に「第九入門」
初めて聞いたこの本、「第九入門」というので購入。
簡単だが、真面目な入門書である。
「第九はクラシック音楽の歴史を変えた『革命』である!」と、「貴族中心の社会から、市民が主導権を握る社会へと、変革する時代そのものがベートーヴェンを後押ししたのではないでしょうか。」と、音楽評論家の小沼純一さん。
第1楽章から第4楽章までの絵入りの寸評も。
第4楽章の合唱の歌詞の原詩・シラーの「歓喜に寄せて」は、飲み歌として広まったと。本人は失敗作としていたもの。
C.ティーレマン指揮、ウィーン・フィルの「第九」の第4楽章が付録として、DVDでついている。
11月4日にオープンした千代田区立日比谷図書文化館。都立図書館の時代に良く利用していたこの図書館、千代田区立となって、どうなったか行ってみた。
イメージが新しいが、図書の数は減ったような気がする。かわりに読書するスペースが広がったが、その分、高校生の勉強スペースがなくなったのか。
「内田嘉吉文庫」を覘いた。すごい所蔵数、これまで、区立図書館の閉架式で、自由に閲覧できるようにはなっていなかったという。明治から大正の時期に逓信官僚・台湾総督という経歴を持ち、世界各国の書物を収集、手に取るとその重みを感じる。
公園の鶴の噴水
「世界的讃歌となった交響曲の物語 第九」ディーター・ヒルデブラント 山之内克子 訳
面白い本だ。
ベートーヴェンの第九、この第4楽章の合唱「歓喜の歌」、歓喜ではなく、「苦悩」の歌と思わせる冒頭、シラーが「歓喜に寄す」をつくることから、ベートーヴェンの苦悩を生き生きと描く。
「『歓喜よ、神々の麗しき火の閃きよ』。そもそもだれが、人前をはばからず明け透けに、こんな詩句を書きなぐるのだろう。こんなことを大真面目に書いてのけるとは、いったい何者なのか。歓喜が天上の花火、あるいは、オリンポスの神秘の炎である、などと滑稽な思い違いをした人物とは、だれなのか。」
ここまで、書くのかというシラーの詩について。
「昆虫にも与えられた快楽、そして天使ケルビムも神の御前に立つ」とは、と語りかける。
第九と普仏戦争、フランスと第九、第九とナチス、とにかく、すごい本。
アンサンブル・エテルナ第20回定期演奏会が目黒駅近くのカトリック目黒教会で。
指揮は、「夢の第九」の合唱指揮をしている千葉芳裕さん、その縁で聴きに行く。
第1部は、スペインの作曲家トマス・ルイス・ヴィクトリアの「Responsories for Tenabræ」、1585年に出版されたと言うから、日本はまだ、戦国時代。
18人のアカペラによる合唱、ハーモニーがすごくきれいで印象的。とくに3人しかいないバスは、教会によく響いた。
第2部、モーツアルトの「レクイエム」、オケの演奏が小さい教会になり渡り、それに比べ、合唱は桶の音にかき消される出だし。少しづつ、合唱も力がはいるようになってきた。
声の響きは、4人のソリスト、すばらしい声が教会に響いた。
指揮 千葉 芳裕
合唱 アンサンブル・エテルナ
会場:カトリック目黒教会(聖アンセルモ教会
指揮 千葉 芳裕
ソプラノ 大隅 智佳子
メゾ・ソプラノ 山下 牧子
テノール 布施 雅也
バス 原田 圭
合唱 アンサンブル・エテルナ
管弦楽 アンサンブル・エテルナ・オーケストラ
オルガン 能登 伊津子
演目
●Tomás Luis de Victoria「Responsories for Tenabræ」
ヴィクトリア「聖週間の答唱集」より
●Wolfgang Amadeus Mozart「Requiem」
モーツァルト「レクイエム(死者のためのミサ曲)」
当日券 2500円 自由席
「夢の第九」レッスン日
指導は、千葉芳裕先生、いつものユーモアを交えながら、楽しく指導してくれる。
今日は、いつも1列目でまじめに声をだしている、男ども4人と千葉先生を囲んで飲み会。
LED約95万球で、丸の内仲通りの街路樹をライトアップされた丸の内仲通り、仕事を終えてビルを出ると、並木のイルミネーションが輝いている。
丸の内仲通りイルミネーション『Bright Cristmas 2011』
11月18日撮影
2011年11月16日、18:30開演 第一生命ホールでの演奏、6時半から8時近くまで、休憩なしというのもめずらしい。
ウィーンから始まって、アンコールのウィーンまでの各国の曲を少しづつ演奏。
演奏前に、簡単に曲の解説、鶏の鳴き声、闘牛場のにおいが感じられますなど、雰囲気も語って。
どの曲も最高と言えるものばかり、初めての曲も、聴きなれた曲も、すばらしい。
「日は昇り、日は沈む」は、まさしくジャズという感じ。
アンコールで「死と乙女」の第3楽章だけだったのは残根だが。
終了後、CDにサインをもらう。
カルミナ四重奏団
マティーアス・エンデルレ/スザンヌ・フランク(ヴァイオリン) ウェンディ・チャンプニー(ヴィオラ) シュテファン・ゲルナー(チェロ)
ハイドン:弦楽四重奏曲『騎手』より第4楽章
シューベルト:弦楽四重奏曲『ロザムンデ』より「メヌエット」
ファビアン・ミュラー:弦楽四重奏曲第2番『ヘルヴェティア』より第1楽章
トゥリーナ:闘牛士の祈り
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番より「ノットゥルノ」
ラヴェル:弦楽四重奏曲より第2楽章
プッチーニ:菊の花
シュナイダー:弦楽四重奏曲第3番『日は昇り、日は沈む』より「ウェディング・ダンス」
<アンコール>
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番『死と乙女』より第3楽章
全席指定 1階8列23番
オーケストラの語源から始まるこの本、オーケストラが貴族・教会から離れて市民のものになっていく過程が描かれている。
18世紀、19世紀初頭のオーケストラは、宮廷のカペレのように宮廷のための音楽を演奏するのが一般的。この状況を変えるきっかけが、ベートーヴェンという。
もともと、オペラの序曲だった交響曲は、ぶつ切りで演奏する当時の習慣を、『運命』や『田園』では、楽章が続けて演奏あれ、楽章を旋律で有機的に構成する工夫がされたという。だが、ベートーヴェンの考えのようにはなかなか、すすまず、「第九」も第4楽章がカットされて演奏されることもしばしばと。
これが、徐々に交響曲を主体として演奏会が開かるようになってきたと。「1842年に誕生したウィーン・フィルの場合、『ベートーヴェンの交響曲を理想的な形で演奏する』ことを創立理念の一つに掲げたという」「19世紀から20世紀にかけて誕生したオーケストラの多くが『○○交響楽団』を名乗るようになったのも、ある意味、当然のこと」
オーケストラのあり方を変えたワーグナー、日本のオーケストラなど、オーケストラの発展を眺めている。
「オーケストラの文明史 ヨーロッパ三千年の夢」
春秋社発行 著者:小宮正安 2200円
東京文化会館50周年記念フェスティバルと銘打った演奏会のひとつ「記念ガラ」を聴いた。
前橋汀子さんと東京フィルの「序奏とロンド・カプリッチョーソ」、曲名とメロディは結びつかなかったが、聴けばなるほどというなじみ深い曲。
中村紘子さんのリストの協奏曲は、いつも通り力強いタッチ。
2部のマリエッラ・デヴィーアMariella Devia 。1973年トーティ・ダルモンテ・コンクールで優勝、トレヴィーゾ歌劇場の《ランメルモールのルチア》でデビューし成功を収めたという。最近は譜面台が前にあると不評だが、今日は、そんなものなし。
ベッリーニの「ノルマ」、ドニゼッティの「ルチア」、最後の「椿姫」。すばらしいうたごえ。
もちろん、フェルデナンド・ポルアーリ、堀内康雄の両氏も。
第1部
指揮 外山雄三
モーツァルト オペラ「フィガロの結婚」序曲
サン=サーンス 序奏とロンド・カプリッチョーソ op.28 前橋汀子
チャイコフスキー ロココ風の主題による変奏曲イ長調op.33 堤剛
リスト ピアノ協奏曲第1番変ホ長調 中村紘子
第2部
指揮 沼尻竜典
ボンキエッリ「ラ・ジョコンダ」 時の踊り 吉田都 谷桃子バレエ団
ヴェルディ「ドン・カルロ」共に生き、共に死ぬ フェルナンド・ポルターリ 堀内康雄
ベッリーニ「ノルマ」清らかな女神よ マリエッラ・デヴィーア
ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」祖国の敵か? 堀内康雄
プッチーニ「ラ・ボエーム」おお、そよ風の娘よ マリエッラ・デヴィーア フェルナンド・ポルターリ
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」ルチア、側へ マリエッラ・デヴィーア 堀内康雄
プッチーニ「トゥーランドット」誰も寝てはならない フェルナンド・ポルターリ
ヴェルディ「椿姫」ああ、そはかの人か~花から花へ マリエッラ・デヴィーア
管弦楽東京:フィルハーモニー交響楽団