徒然なるままに 平和と音楽を求めて

平和憲法のもと日本は戦争しない国として、いろんな国の国民から賞賛されてきた。この日本が戦争する国に変質しようとしている。

ヨーロッパでは、水道事業 今再び公営化へ

2022-08-25 | 読書

ヨーロッパでは、今再び公営化へ

「水道民営化は組織的な詐欺に近い」と書いたのは、イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」。イングランドとウェールズの水道公社10社を株式会社化し、民間に売却し、イギリス政府は52億2500万ポンド(約7315億円)の株式売却益を手にした。が、28年後10の水道会社は合計510億ポンド(約7兆1400億円)の債務を持つに至った。だが、この借金は必要のない借金だった。税金の支払いを少なくしたり、必要なインフラ整備をサボタージュするためなどのためであった。事実、2007年以降の株主配当金は年間平均18億1200万ポンド(約2537年億円)、民営化以降の30年間では総額、560億ポンド(約7兆8000億円)という巨額になる。

 隣国アイルランドでは、水道運営を税金で出まかなっている。各家庭には水道使用量をはかるメーターはなく、水道料金の請求書が来ることがない。水は生きていくために絶対必要だということである。

(「水道。再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと」集英社新書 岸本聡子・著)


保育園事業で大儲けの企業実態が

2022-08-09 | 読書

「世界」2022年7月号に「保育で儲ける企業」と題して、巨額な株主配当で大儲けする企業経営の実態を明らかにしている。株主配当で年間3億もの配当金もある。
 最大手のライクは、グループ会社を含め、純利益で32億6千万円、渋谷マークシティに本社を構えている。

一方、保育士は慢性的に不足し、低賃金のことも。


高杉良「欲望産業」を読む

2022-08-08 | 読書

最初の本が1984年に発行された「欲望産業」は、サラ金トップに上り詰めた会社のオーナーの乱脈経営と
銀行から社長として入ったが、権限を与えられずオーナーと対立していく。
オーナーの乱れた生活と公私混同、社員監視、貸付・貸しはがし、悪徳企業の見本。
これは、武富士を徹底して取材した記録という。あまりにも武富士の内情暴露なので、抗議を受けたというが。

そういえば、このころの武富士の悪評は轟いていた記憶がする。


松岡和子訳「ハムレット」

2021-07-30 | 読書

松岡和子さんの「シェイクスピア全集」の新訳が完結。

「ハムレット」と「マクベス」を図書館から借りる。

先王ハムレットの亡霊が、王子ハムレットの前に登場、

先王の弟によって毒殺されたことを告げられ、復讐の心で悩むなか、

有名な独白“To be, or not to be”を「生きてこうあるか、消えてなくなるか、(それが問題だ)」と表現。

訳注で、「問題」の主語は、「I」でなく「we」(人間一般)としている。


「ケルトを知るための65章」

2021-05-14 | 読書

「ケルトを知るための65章」

「ケルト」というと、アイルランドとエンヤさんとスコットランドを思いうかべるくらいだったが、
すでに紀元前にヨーロッパの広大な地域に住んでいたという。
現在、ケルト語を語源とする言語は、スコットランド・ゲール語、アイルランド語、マン語、ウェールズ語、コーンウォール語、ブルトン語で、
これらの言語の復興が図られている。

ヨーロッパの中でのケルトとは、社会、文化、地域、宗教など65章全体で理解できる書物。

 木村正俊:編著 明石書店


吉祥寺が舞台の「埋れた牙」(著者:堂場瞬一)

2020-08-12 | 読書

堂場瞬一に「埋れた牙」

武蔵野中央署勤務の主人公が警視庁から生まれ育った町に戻り、吉祥寺を守るという。

吉祥寺駅前のサンロードやハモニカ横丁、「いせや」「(東急)百貨店」名物メンチカツの店、つい最近閉店になったステーキのおいしい店、三鷹通り、吉祥寺通りなどが出てくる。

被害者が救出されて入院したのは武蔵野赤十字病院。そして、井の頭公園で問題の市議が発見される。


「パレートの誤算」を読んで

2020-06-28 | 読書

「パレートの誤算」柚月裕子

 冒頭、ジュラルミンケースに入った2500万円、市の社会福祉課で銀行が持ち込んだ札束を確認。

6月に生活保護費を窓口で支給する金額、ため息を漏らす新入りに口座振替はこの10倍と。

 新人2人が、生活保護費受給者を担当することになる。嫌がる二人が訪問を始める。

暴力団が生活保護費を食い物にする実態が浮き彫りされる一方、本当に生活に困った人たちを見る。

暴力団と医師が結託して、患者をつくり、ピンハネ。そこに福祉課の課長がつながっていく。

暴力団に殺されそうになった主人公「聡美」に、前任者の言葉「いつか、この仕事をしていてよかった、

と思えるときがくるよ。」が聞こえてくる。


皆川達夫さんのこと

2020-04-23 | 読書

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西洋音楽史学者の皆川達夫さんが4月19日に亡くなられたと報じられた。

皆川さんがかかれた何冊かの本を読んだ記憶がある。以前このブログに感想を書いていた。

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「中世・ルネサンスの音楽」

「中世・ルネサンスの音楽」を日比谷図書文化館から借りて読み始めた。

ルネサンス期の歌を歌い始めて、このようなハーモニーと心地よい響きが生まれるのは何故という疑問に答えてくれそうな本。

 多声音楽・ポリフォニーがヨーロッパで目立つようになるのは、9,10世紀ころからという。でもヨーロッパだけではないとも。

 12世紀後半になると、それまで修道院や教会でひっそり歌われていた多声音楽が大聖堂でたくさんの人々に聞かせるようになってきた。その中心舞台は、パリのノートル・ダム、経済の発展と自由都市の建設がすすめられた時代と重なる。

 14世紀、十字軍の終わりと町人出身の富豪の出現。ダンテやボッカチオが活躍する時代、多声音楽が宗教の世界から世俗の世界へと広がる。「アルス・ノヴァ(新音楽)」がギョーム・ド・マショーによって。

 中世のイギリスは、今日考えられているような不毛ではなかったとも。

フランドル・フランス学派が大きな役割、デュファイ、オケゲム、そして、ジョスカン・デ・プレ。ジョスカンの「約90曲に及ぶモテトゥスのうち、<アヴェ・マリア・・・ヴィルゴ・セレナ>は、練れた通模倣書法による傑作である。そのうち柔軟なポリフォニーの流れはたとえようもなく美しく、レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』をれんそうさせる清澄な世界を繰り拡げてゆく」

 「ルネサンス音楽とは」と、問いかけ、「『古代の復興』というように解釈」することは正しくないと指摘、「中世の音楽とルネサンス音楽との決定的な相違点は、それは音を作曲家の表現意欲に従って、ひとつの有機体につみあげてゆこうとする力の方向である。」と述べている。

15~16世紀のイタリアは、フランドル・フランス系のポリフォニーが歌われ、内容も、恋人よさようなら><口づけしてと>など恋のシャンソンがミサ曲のなかにも鳴り響くこともあったという。このじき、宗教改革とあいまってカトリック側で改革が行われた。トレントの公会議で、教会音楽も対象となった。まさにこの時期に「パレストリーナが登場」パレストリーナの曲は、「ポリフォニーでありながら、つねに魅力ある旋律が鳴り響き、しかも温かく柔らかい和声(原則として基本位置による和弦)によって支えられ、不協和音は一定の手続きで用意され、解決されてゆく。」

「日本ではじめてヨーロッパの中世・ルネサンス音楽を聞いたのは、大内義隆と大友宗麟、そして織田信長と豊臣秀吉だあったと言ったら、」と、切り込んでいる。十分にあり得ることのようだ。

 「中世・ルネサンスの音楽」皆川達夫:著、講談社学術文庫


「東京人」4月号”クラシック音楽散歩”

2020-04-23 | 読書

買ったことのない雑誌を買って読んでいる。「東京人」4月号。この号のテーマは「クラシック音楽散歩」。散歩というだけあって、上野の奏楽堂から始まり、日比谷・丸の内・銀座・築地の街を歩く。築地鉄砲洲の外国人居留地にかつてあった西洋文化を象徴する学校なども紹介。

六本木、赤坂から初台、池袋を通って、紀尾井町、渋谷、王子、江戸川橋から川崎、青葉台へ飛んでいく。このなかで、青葉台のフィリアホールだけは足を運んだことがない。中央線では、カレンダーが埋まらないという心配がないという杉並公会堂。

 1900年に設立された関口教会にある東京カテドラル聖マリア大聖堂、小金井の宮地楽器ホールも「繊細な音も豊かに響くトップレベルを地元で堪能」と紹介している。

 指揮者やソリストも紹介しているが、西洋音楽のパイオニアとして幸田延・幸姉妹や森鴎外や夏目漱石の音楽とのかかわりについて触れている。山田和樹さんが、「日本の面白い作品をもっと聴いてください!」と話し、2016年にサントリーホールで演奏した柴田南雄さんの「追分節考」を語った。山田さんがカルタのように札をあげたり下げたりするとそれに合わせて演奏されるというパフォーマンスにびっくりしたことを思い出した。

 恩田陸、片山杜秀、林田直樹、大野和士の退団では、「官」と「民」は何ができるかとして、「あいちトリエンナーレ」の展示中止の問題や企業や政治家の理想的なサポートの方法、「日本人の演奏には哲学がない」との恩田さんの意見。まだ読んでいない「蜜蜂と遠雷」を読んでみたくなった。

 


自然豊かな野川

小金井市東町の南側を流れる野川。 国分寺崖線のはけの道に沿って。