おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

お行儀の良い腕では・・

2025年03月13日 | 重力奏法

ピアノ導入法を変え8年目を迎えました。


日本人の大多数は、習い始めからピアノの
正しい弾き方を習わないので、
学校でのお友だちの弾き方がピアノの弾き方だと
思ってしまっているのだろう、と思っていました。


それは保護者の方にも言えることです。

ご自身も奏法は習って来ていないので、
腕だ、手首だ、と講師が言っても
実際のところピンとはきていらっしゃらない。

ピアノ経験のない保護者の方の方が
話がスムーズに伝わるほどです。


改革には時間がかかる、と思いました。


しかし昨年あたりから、どうやらそれ以外にも
何か日本人のピアノ奏法が上手くならない原因が
ある気がしてきました。


感覚的に何か日本人に合わないものが
あるような・・


それでふと思ったのが、
指を揃え、肘を張らない動作が
美しい、お行儀が良い、とされている日本文化。

お茶碗を持つ、ふすまを開ける・・



ピアノも肘を横にガッと張って弾きはしませんが、
肘を胴体に付けては弾きません。

そして、お茶碗を持ったり、
道具を持つのは手全体をひとつにして使いますが、
ピアノは指1本1本別々に使います。

ということは、手の端の指である4,5の指の時は
腕の向きが外側になります。


指と腕の向きは揃えた方が弾き易いです。



今、発表会の曲の練習を生徒たちはしています。

普段から比較的広い音域の曲を弾いてもらうように
心がけてはいますが、発表会の曲は音域が広いだけではなく、
長さもあり、テンポも速めの曲が多くなります。



「不思議な音の国」でレッスンを始めた生徒も、
少し難しい曲が弾けるようになってきました。

音の出し方や腕の使い方は、以前の生徒に比べたら
しっかりレッスンしています。


それでも、上手く弾けない所はボロボロあります。

以前でしたら、即リズム練習に突入でした。

手っ取り早い解決法ですが、正しい奏法で弾けていなくとも
根性で弾けてしまう危険性があります。


リズム練習をすることで意識がはっきりとする面も
あるので、悪いことではないのですが、
奏法そのものが正しくない場合は、
良くないものを身に付けるための練習になってしまいます。


椅子の高さが合っていないのは論外です。

高さが合っているのに肘が下がっている時は、
腕の向きに注意すると弾けなかったパッセージが
一気に弾けるようになることがあります。


腕が使えるようになるためには、
指先の支えが必要です。

つぶれてしまっては、支えが効きません。


だから、大きな腕の動きを使いながら
強い指先を作るのです。

さらに、音の切り口をまろやかにするために
手首から持ち上げて音を離すことを習慣づけるのです。



習字を習ったことはないのですが、
調べてみましたら、良い線を書くためには
肘と肩を使うのだそうです。

指先や手首だけで書くと線に力が入りにくいそうです。
小手先芸になると。弱々しく雑な印象を与えると。

肘から先に動かすそうですが、この時に身体が肘と一緒に
揺れてしまわないこと。身体を軸にして肘を引き寄せる。
体幹が大事と。



ピアノにそっくりです。

日本にもこのような文化があるのですね・・


習字は線の良し悪しが目で見て分かりますが、
音は目では確認ができないところが大きな違い。

字を書けばいいんでしょと言って、習字を習う人はいないと思います。
書くだけなら鉛筆で十分。


ピアノも、書いてある音が弾ければいいんでしょ、
では習う意味があるとは言えないと思います。

やはり弾き方をしっかりと習わないと。

そして、それを自分のものにする努力が必要です。


コメント
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