詩人PIKKIのひとこと日記&詩

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対テロ新法成立へ 多くの問題が置き去りだ(北海道新聞社説、1月11日)

2008年01月12日 | 政治
北海道新聞の社説が最も的を得ていると感じたので、以下に全文を掲載したい。

《海上自衛隊がインド洋で外国艦船への給油活動を再開するための新テロ対策特別措置法が、きょう成立する。

 野党が多数を占める参院で否決されたあと、与党は衆院で「三分の二」の力を使い再可決する方針だ。

 法案自体は給油・給水活動だけを目的とした簡単な内容だ。しかし、きわめて大きな問題をはらんでいる。

 給油支援と軍事活動の線引きのあいまいさ。文民統制の軽視。憲法の平和主義を揺るがす危うさは、さっぱり解消されていない。法案に国民の十分な理解と支持があるとも言えない。

 確かに再議決は憲法で認められているが、決してこの法案にふさわしい手法ではない。廃案にして議論を仕切り直しするのが賢明な道だろう。

*文民統制が軽んじられる

 対テロ新法案の重大な問題点の一つは、自衛隊派遣について国会の事前承認を省略していることだ。

 海自の活動は最初から限定されているのだから、新法の成立をもって国会承認があったとみなしていい。政府はそう説明する。

 自衛隊の活動のチェックは厳しすぎるくらいでなければならないのに、この法案では文民統制がなし崩しに緩みかねない。それが心配だ。

 海自が撤退する前の活動では、給油量の取り違えや、イラク作戦への油の転用疑惑が大きな問題になった。しかも、いまだに実態がきちんと解明されたわけではない。

 そうした反省がありながら、事前承認さえ面倒がるのはなぜか。国民に対する当然の情報公開を避けようという意図が透けて見える。

 油の転用を防ぐ手だてとして、日本は給油先の国との間で、テロリストの海上阻止活動に使うと記した公式文書を取り交わしてきた。

 ところが米国は今後、使用目的の限定を明記することを拒否している。米軍の活動を制約されたくないからだという。転用を自ら認めているようなものではないか。

 それでもなお政府は「海上阻止活動のため」と言い募る。理解しがたい言い分だ。

 海外での武力行使を禁じた憲法九条との整合性にも疑問がある。

 先日の党首討論で民主党の小沢一郎代表が指摘したように、補給などの後方支援は軍事活動の一環とみるのが常識だ。

 直接の戦闘行為がないからといって「武力行使ではない。憲法の問題を持ち出すまでもない」という福田康夫首相の反論は乱暴に過ぎる。

*テロの温床なくす支援を

 海自撤退に際して、政府は給油を受けていた他国から早期復帰の要請があると強調した。

 しかし、日本の給油量は撤退前、すでにピーク時の十分の一程度に減っていた。いま再び日本が出て行く意味はどれほどあるのだろう。

 日本として国際貢献はしなければならないが、それが給油である必要はない。ましてや武力ではない。

 民主党は独自の対案を法案として提出した。アフガニスタンの復興支援のため自衛隊や警察官、医師らを派遣するというものだ。民生支援になぜ自衛隊を派遣しなければならないのか。

 派遣先となる抗争停止地域の定義や武器使用基準の緩和など、イラク特措法に似た危うさを抱えている。評価できる中身ではない。

 そのうえ国会提出は年の瀬になってからだ。議論を深めようにも時間が足りない。国民の選択肢にはなり得なかったということだ。

 アフガンの人たちを苦しませる飢えと貧しさ。米国などの武力行使による市民の犠牲が生み出す憎悪。

 テロの温床といわれるそうした現実を見据えた民生支援こそ、まさに日本だからできることに違いない。

*再議決は行使せず廃案に

 衆院における再議決は憲法五九条に明記された国会のルールだ。憲法は衆院と参院で議決が異なる事態を想定していた。その食い違いを乗り越えるための規定が再議決だ。

 あるものは使うのが当然だという意見はあるだろう。だが今回、五十七年ぶりに再議決を行使することが果たして妥当だと言えるだろうか。

 自衛隊という実力組織を海外に派遣するに当たっては、国民による慎重な検討と判断が必要だ。最新の各種世論調査では対テロ新法案への反対が賛成を上回っている。国民の理解が広まっているとは言えない状況だ。

 その中で一院だけの判断で自衛隊を送り出すことが正しい選択だというのなら、無理がある。国民の支持を得られない「国際貢献」が国益に合致するとも思えない。

 「ねじれ国会」の主舞台は野党が主導権を握る参院だと期待された。だが実際は防衛省汚職問題の陰に回り、法案をめぐる政策論議は不十分に終わった。このまま審議の幕が下りれば民意が置き去りにされてしまう。

 だからこそ法案を廃案にし、次の通常国会で国際貢献のあり方、自衛隊派遣をめぐる憲法問題などの根本論議を深めていくべきだ。

 その積み重ねのうえで外交・安全保障という国の基本政策について国民の合意形成を図っていくことが、与野党に課せられた責務だろう。》(「北海道新聞社説」より)

今年はー「戦争」と「貧困との戦い」の時代では?

2008年01月12日 | 政治
国民の一割以上が年収200万円以下の貧困層へと追い詰められ、それが原油高や物価高でますます増えつつあるという現状は、政治が真っ先に為すべきことを放棄してきた事が原因だと思う。こんな政府・与党は全く存在意義を失ったものだ。

サブプライムローン問題で、倒産寸前だったアメリカの金融機関・投資機関の倒産は、中近東産油国や中国からの援助でかろうじて救われたが、ヨーロッパではこれからますます深刻化することだろう。トルコによるイラク・クルド人地域の空爆もますますエスカレートしつつある。下記のような中東大戦争や第三次世界大戦の可能性もいよいよ高まりつつある。

《新年初めての連載なので、2008年の内外政の注目点について記したい。結論をまず記すと、内政においては「貧困」、外交においては「戦争」がキーワードになると筆者は考えている。年末から年始にかけて、複数の外国から友人が訪ねてきて、率直な意見交換をした。

 まず、指摘されたのは、この1年で日本の物価が非常に安くなり、旅行や出張がしやすくなったということだ。日本人の大多数は、対米ドルレートしか頭に置いていないが、対ユーロ、対ルーブルで、円は急速に弱くなっている。最近、ロシアの2級ビジネスマンまでもが日本を訪れて、銀座や築地で寿司屋を1晩200万円くらいで借り切り、豪遊している。一昔前までは、南フランスやイタリアで遊び歩いていた連中が円が安くなったので、遊び先を東京でのすし食べ歩きと、地方での温泉遊びに切り替えているのだ。

 金持ちのロシア人から、「東京の雰囲気は1992~93年のモスクワに似ている。日本人の身なりを見て、貧富の差がはっきりわかる。もちろん当時のモスクワと比べると東京は金持ちの数が圧倒的に多いけどね。それに路上生活者の数が増えた。繁華街での路上生活者の数は、東京の方がモスクワよりも多いと思う」と指摘された。また、イスラエルの友人は、「現在、一流ホテルの値段で比較するならば、主要先進国では東京がいちばん安いと思う。僕たち旅行者にとっては都合のいい話だが、一般論として、一流ホテルの値段が安くなる傾向にあるときは要注意だ。国の基礎体力が弱くなっていることと関係する」という感想を述べていた。

 北海道の友人からは、「最近、駅や大規模スーパーに一日中滞在している高齢者が増えている。灯油が値上がりしているために暖房代を節約しなくてはならないからだ。これまでになかった現象だ」という話を聞いた。国税庁の公式統計でも年収200万円以下の給与所得者が1000万人を超えている。新自由主義政策の弊害は、もはや格差社会などという生やさしいものではなく、貧困問題になっている。日本では死語になっていたはずの「貧乏」「貧困」という言葉が、今年はマスメディアや論壇に頻繁に現れることになると思う。

 国際情勢に関しては、戦争の危機が一層高まってきた。07年10月には、イランが核保有をした場合、第三次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)しかねないという懸念をブッシュ米大統領が行ったが、この「第三次世界大戦」は、言葉の遊びではなく、現実になる可能性が排除されないのである。さらにシリアを巡る情勢も緊迫している。07年9月6日にイスラエル空軍がシリアの某施設を空爆した事案は重要な意味をもつ。

 筆者のもとに入ってきた情報を総合すると、この施設には、恐らくシリアが北朝鮮から購入した核開発機材が設置されていた。本件について、イスラエルもアメリカも、公式の反応を慎重に避けているのは、本件が明るみに出ると、アサド・シリア大統領としては、イスラエルに対する反撃を行わざるを得なくなるからである。現時点で、イスラエル・シリア間で武力紛争が発生するならば、それが第五次中東戦争に発展し、第三次世界大戦につながる危険性をアメリカは本気で心配しているのである。

 さらにパキスタン情勢も不穏だ。07年12月27日のブット元首相暗殺の犯人が、イスラーム原理主義過激派であったため、ブット元大統領の支持勢力である親欧米勢力(民主派、人権派)も、「軍事独裁のムシャラフ政権の方が原理主義過激派よりはまし」という消極的選択をしているので、小康状態が保たれているが、今後、総選挙を巡って、情勢が混乱するならば、ムシャラフ政権がパキスタン全域を実効支配できないという事態に至る。特にパキスタン西部とアフガニスタンにまたがって居住するパシュトゥーン人には、タリバーン勢力が根強い基盤をもっている。ムシャラフ政権が弱体化することによって、この地域にアルカーイダに連なるイスラーム世界革命を目指す疑似国家が成立する可能性もある。

 パキスタンは核保有国だ。アメリカは、アルカーイダに連なる勢力が核兵器をもつ蓋然(がいぜん)性が高まれば、「核ジャックを防ぐ」という口実で武力を用いた介入を行う。これも第三次世界大戦につながりかねない。今年は緊張した1年になるので、筆者としても内外情勢の問題点を、切り口を鮮明にして読者にお届けしたい。》(「佐藤優の地球を斬る」より)

国家的「霊感商法」と「振り込め詐欺」がこの国を滅ぼしてしまう!

2008年01月12日 | 政治
「霊感商法」ともいうべきアメリカから強制された「ミサイル防衛システム」等は、下記の元外交官天木氏の記事でもいくらかかるのかが疑問視されている。(以前約7兆円という記事をどこかで読んだが)
この国の官僚組織による様々な「振り込め詐欺」については、ねじれ国会のおかげで少しずつその実態が明らかになりつつあるが・・

《これが米国のダイナミズムである。そこには、壊しては作り直す米国の、そして、国益のためには状況次第で機敏に敵と結び、味方を切り捨てる米国外交の、現実がある。インド洋給油問題などはじめから米国指導者の視野にはない。
  ところがどうだろう。翻って福田首相は新テロ法成立に向けて、(給油をやめると)国際社会が日本の事をどう思うか。無責任と批判されないためにも(成立は)当然だ、などと感情的に語気を荒げる始末だ。本気でそう思っているのならお笑いだ。不勉強もはなはだしい。いかに米国との本物のコンタクトをしていないかだ。そして、それが国民を欺く発言であれば、首相失格だ。
  ジェシカ女史の指摘を待つまでもなく、米国はいまや一方において中東政策を見直し、他方において中国、北朝鮮外交を積極化しようとしている。日本外交は、その双方において逆を行っている。無理もない。日本の指導者の頭には対米追従しかなく、そしてその米国の意思さえ読めないのだから。気がついたら取り残される、その誤りを繰り返す宿命にあるのだ。》(「天木直人のブログ」より)

《「米国に言われるままに整備を進めていたら、将来いくら費用がかかるかわからない」と防衛省幹部さえ求めているのだ(07・12・19朝日新聞)。
 しかも迎撃ミサイルシステムの導入は、中途半端な導入にとどまったら、それまでの経費がまったく無駄金になるのである。貴重な税金が何兆円単位で無駄になるのだ。
 田岡氏は次のように締めくくっている。
 「・・・ミサイル防衛は『霊感商法』に似ている。不安感をまぬかれようとお守りを買えば、それでは済まず、さらに高価な壷などを買わされる・・・」そして効果がなかったとなれば、その膨大な無駄のツケは誰にまわされるのか。決して政治家や防衛官僚が負担する事はない。
 ミサイルで殺される前に国民は生活苦で死んでしまう。これは冗談では決してない。政治的判断が変わらなければその可能性は現実のものとなるに違いない。》