明日は明日の風が吹く

60にしておひとりさまに。
この先、どんな人生になるのやら?

お盆の真似事

2023-08-13 | 母との確執
母宅にて。
「もうすぐお盆だけど、どうする?」

以前は仏壇にごはんをあげたり般若心経を唱えたりしていた母だが、
この頃はすっかり忘れてしまい、お水もあげていないこともある。

「墓参りはお彼岸までパスね。提灯ぐらいは出そうか」
押し入れから提灯の箱を引っ張り出して組み立て始めたら、
あまり気乗りしなかった母もそばに来て手伝い始めた。
「前はひとりで組み立ててたのに、やりかた忘れてしもたわ」
「この説明図の通りにやればいいんよ」

組み立てて電源を入れたら、提灯がくるくると回って一気にお盆ムードに。
「ああ、いいなぁ。やっぱり出してよかったわ」
「でしょ。あのおままごとの食器みたいな仏さまのお膳、どこにある?」
「どこやろ?わからん。忘れてしもた」

食器棚を探しているが、おそらくそこではないような気がする。
どこかにしまい込んでいるのだろう。
お盆にはお供え膳も一応作って供えていた母ではあるが、
作る気はなく、かといって私に代わりに作るように言うでもない。

関心そのものがないのか。お盆の意味も忘れてしまったか。
お盆に限らず、正月でも誕生日でも母の日でも、
何かを楽しみに待ち望んだり、その日のために準備したりということがない。
今日は何をしようとか、今日はいい一日だったとか思うこともないのだろう。
もしかしたら昨日今日明日の区切りもぼんやりしているのか。
刹那刹那を生きているということは、そういうことか。

「そんなん作らんでも気持ちが大事やから」
「まぁそうやけどね。せっかく帰ってきたのに何もなかったらかわいそうやん」




昨日、母用に作ったおかずをちょっとずつお皿に取り分けて
お膳の真似事をしてみた。

「そういえばお酒がないなぁ。前は紙パックの小さいのを供えてたやん」
「え、そうやった? 覚えてないわ」
「お盆終わったら私がもらって帰ってた。ビールの時もあったよ」

お酒もお花もお供え物もない。
ないない尽くしだが、暑い中、買いに行く気力もない^^;
(お父さん見てる?これが今のお母さんよ)



「これ、今日のうちに下げて食べてしもてね。傷むから。
 同じものが冷蔵庫にあるからそっちもちゃんと食べてよ」
「はいはい」
最後は小言になってしまう。

仏壇の前から立とうとした母、どうにも立てない。
手のつく壁のところまでずりずりと移動し、つかまって立った。
椅子からの立ち上がりはできても、確実に足の筋力は衰えているようだ。