先日、店頭で「むかご(零余子)」を見つけ、むかごご飯を作りたくなりました。
秋を感じる味覚のひとつです。

初めてむかごを食べたのは、30年くらい前。
職場のT子先輩に、丸子(まりこ)のとろろ汁のお店に連れて行ってもらったときのこと。
お酒のおつまみに先輩がオーダーしたのが、むかごの素揚げ。
「これって何か知ってる?」と聞かれ、まったくわからない私は、「なんですか」と質問しました。
「山芋の赤ちゃんだよ」
ふだんは厳しい先輩が、ちょっといたずらっぽく笑って教えてくれました。
「こうしてね、お塩を少し振って食べるとおいしいの」
以来、むかごは私の大好物のひとつになり、
食べるたびにあのときの先輩のいたずらっぽい笑顔を思い出します。
私の方が先に職場をやめ、その後、先輩も子育てやご両親の介護など忙しかったようで、
交流が途絶えてしまいました。
この春 人づてに、先輩が数年前に永い旅に出てしまったことを聞きました。
まだ五十代半ばだったと思います。
読書が大好きだった先輩からは、仕事以外にもたくさんのことを教わり、本もたくさんいただきました。
この秋最初のむかごご飯は、ひと味足りないようなさびしい味でした。

いつか私も永い旅に出たら、また先輩と山芋の赤ちゃんをおつまみに、
尽きないおしゃべりをしたいと思いました。
秋を感じる味覚のひとつです。

初めてむかごを食べたのは、30年くらい前。
職場のT子先輩に、丸子(まりこ)のとろろ汁のお店に連れて行ってもらったときのこと。
お酒のおつまみに先輩がオーダーしたのが、むかごの素揚げ。
「これって何か知ってる?」と聞かれ、まったくわからない私は、「なんですか」と質問しました。
「山芋の赤ちゃんだよ」
ふだんは厳しい先輩が、ちょっといたずらっぽく笑って教えてくれました。
「こうしてね、お塩を少し振って食べるとおいしいの」
以来、むかごは私の大好物のひとつになり、
食べるたびにあのときの先輩のいたずらっぽい笑顔を思い出します。
私の方が先に職場をやめ、その後、先輩も子育てやご両親の介護など忙しかったようで、
交流が途絶えてしまいました。
この春 人づてに、先輩が数年前に永い旅に出てしまったことを聞きました。
まだ五十代半ばだったと思います。
読書が大好きだった先輩からは、仕事以外にもたくさんのことを教わり、本もたくさんいただきました。
この秋最初のむかごご飯は、ひと味足りないようなさびしい味でした。

いつか私も永い旅に出たら、また先輩と山芋の赤ちゃんをおつまみに、
尽きないおしゃべりをしたいと思いました。