4月23日にNHK-BSで放送していた映画「ちょっと今から仕事やめてくる」を今日観た。
(成島出監督 福士蒼汰主演 原作:北川恵海 2017年製作 配給:東宝 )
毎日毎日部長から営業の成績の悪いことを怒鳴られている隆(工藤阿須加)。
仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた彼は、
疲労のあまり駅のホームで意識を失い電車に跳ねられそうになったところを、
ある青年に助けられる。
幼なじみのヤマモト(福士蒼汰)と名乗るその青年に全く見覚えのない隆だったが、
ヤマモトとの交流を通して徐々に明るさを取り戻し、仕事も順調に進むようになっていく。
しかし、ある仕事の発注書を間違えて書いてしまい、それで会社に損害を与えてしまう。
それは、先輩の女性(黒木華)が隆の営業成績を上げさせないためにやったことだった。
ところがある日、ふとしたことからヤマモトについて調べた隆は、
ヤマモトが3年前に自殺していたという信じがたい事実を知る。
ここから先は書きません。
いい映画でした。ぜひCDでも借りて観て下さい。
私は、この隆の心理状態が理解できます。
私は27歳のときに御徒町駅の近くにあった小さな(社員6人)広告代理店の社員だった。
朝から夕方まで電話営業をしていた。
社長・部長と経理の女性のいる部屋があり、廊下を挟んだ隣の部屋が営業の部屋だった。
営業の部屋には女性の先輩の営業と求人広告で入ったばかりのKと私がいた。
営業の3人は朝から電話のかけどうしだった。
求人雑誌や新聞の求人欄にある会社に、電話をかけるのです。
求人担当者とつながったら、会社の企画を話す。
そのときの会社の企画は、毎週日曜日にY新聞西部本社版(九州に配布)に、
新聞二段を買い取ってあり、そこに関東の会社の求人広告を載せるというものだった。
関東の寮のある大きな会社に就職しましょう!!という企画だった。
社長と部長はこれまで付き合ってきた会社があり、必ず二段の半分は埋まった。
残りを営業の3人が埋めなくてはいけない。
しかし、なかなかそれが埋まらなかった。
もう絶望して電話機の前でうなだれていると、社長が飛んできて私を怒鳴った。
「電話しろ!! 電話するしかないんだよ」
5時になってからの終礼でも怒鳴られた。
先輩の女性とKは、ときどき広告を取ってきた。
しかし、私はだめだった。
帰りの山手線で御徒町駅から巣鴨駅まで行き、そこで都営三田線に乗り換えて高島平団地に帰った。
駅のホームで線路に飛び込もうかな、と思うときが何度かあった。
あのときはつらかった。
そんなとき女房は妊娠していた。
私は死ねなかった。
死なないで双子の子どもの顔が見たいと思った。
お客にアポが取れたと社長に嘘をいって、飯田橋や池袋の職安に行っていた。
そして板橋にある時計部品の下請け会社に転職した。
営業はやめて工場で働く人間になりました。
人間これで終わりかなと思うけど、別なところに行けばなんとか生きられます。
5年後ぐらいに御徒町のその会社があったビルに行ってみたら、会社はなくなっていた。