◎ポルノを繰り返し見て深みにはまる
スマホでどんどんポルノ画像、ポルノ動画が見られるようになった。他人に見られる場所では見ていないのだろうが、日本人をダメにする依存症として、ネット・ポルノ中毒or依存症は無視できない比重があるものと考えられる。
ネット・ポルノを毎日見続けることによって、脳の快楽中枢が繰り返し刺激されることにより、脳内のニューロンがネット・ポルノを見ると興奮するというニューロン結合を固定化する。固定化した回路(マップ)はますます使用しようとする傾向があり、これによって、見ないことで禁断症状が起きるまでに脳内のドーパミン回路が変化してしまうのだ。
ネット・ポルノの悪影響は、自慰はできるが実際の女性とセックスできなくなるとか、ネットポルノに登場する女性像が実際の生身の女性像と同じと誤解することによる男女関係の不和とか痴漢や淫行等の性犯罪の誘発まで様々なものが考えられる。
ネット動画やネット画像のかなりの部分がポルノだとも言われており、また電車内スマホでも、モバゲーも問題だが、こっそり見ているポルノも大いに問題なのである
『中毒と可塑性の切っても切れない関係
ネットポルノ中毒というが、それは比喩ではない。中毒症状がでるのは、薬物やアルコールだけではないのだ。ギャンブル中毒もあるし、ランニング中毒さえある。中毒とは、その行為をコントロールできなくなることだ。悪い結果になるとわかっていても、駆りたてられるように求めてしまう。そして耐性ができるので、さらなる刺激を求めて満足を得ようとする。ついには、その行為ができないと、禁断症状がでるのだ。
長期(ときには一生)にわたる脳の可塑的変化によって生じる中毒を治療するには、節制などとんでもない話だ。その物質や行為とは、きっぱりと手を切らなければならない。アルコール中毒者更生会は、「元アルコール中毒者」など存在しないと言う。実際、もう何十年も一滴も酒を飲んでいない人にも、こんなふうに自己紹介させるのである。「ジョンといいます。アルコール中毒者です」。脳の可塑性という観点からすると、これが適切な言い方であることも多い。
(中略)
マーゼニツクの研究で見てきたように、ドーパミンは可塑性にも関係している。喜びのもとになるドーパミンだが、同時に、目標を達成するための行動をするニューロンの結合を固定化するのだ。 マーゼニックは、動物に音を聞かせながら、電極を使ってドーパミンの報酬システムを刺激した。するとドーパミンの放出によって脳に可塑的変化が起こり、その動物の聴覚マップにおいて、その音の部分が大きくなったのだ。ポルノとの関係で注目しておかなければならないのは、ドーパミンは、性的な興奮によっても放出されるということだ。男と女、両方のセックスに対する要求を高めて、オーガズムを得やすくする。そして脳の快楽中枢を活発にする。ポルノが人を夢中にさせるわけである。』
(脳は奇跡を起こす/ノーマン・ドイジ/講談社インターナショナルp132~133から引用)