◎【第四章】冥想の準備
◎1.柔軟体操
肉体の柔軟性への配慮がなければ、ノイローゼ(神経症)等に起因する病気にかかりやすい。
次のようなもので自分がそれをすることにより調子が良いと思うものを行う。
⑴ラジオ体操
⑵太極拳
⑶八段錦(太極拳の一種)
⑷ハタ・ヨーガ
通常10種類程度のアサナで十分。
屍アサナ、前屈、コブラ、魚、ねじり、弓、
首立ち、スキなど。
⑸インディアン体操
⑹その他
これは、もともとの出典は、ダンテス・ダイジの冥想道手帳。これをやるこつは、『しみじみとやること』。
ダンテス・ダイジ曰く、『肉体的柔軟への配慮がなければ、禅病にかかりやすい。肉体以前の霊的柔軟さを自覚していないのなら、柔軟体操は役立つ。』(冥想道手帳から引用)
禅病とは、禅僧白隠が罹患して軟酥の観で全快させたような病気のこと。
私も40年ほど毎朝柔軟体操をやり続けているが、筋力のやせ・低下が顕著になり、以上のようなメニューのみでは足らないことを自覚している。若い時から言われてはいたのだが、特に只管打坐のように不動の姿勢を求められる冥想では、特に筋力は必要なものだ。山本玄峰や宮崎奕保らは長寿だったが晩年は坐禅するのが大変だったらしいことを読んだことがある。
そこで菊池和子先生の『きくち体操』は老人向けに秀逸なものと感じている。まだ初めて三か月も経っていないが、着実に筋力増加とそれに伴う血行の増加というものを感じている。老人の生活では、フレイル(虚弱)とサルコペニア(筋力低下)が常に問題となるが、『きくち体操』は、人はどのように健常者が老化による前傾から転倒、寝たきりになっていくかを知悉し、そこから逆算して寝たきりにならないためにどの筋肉を鍛えるかをメニュー作りしている印象を受ける。
世にストレッチ系の体操は多いが『きくち体操』の特徴は、すべての動作を『意識してやる』、『動かす部位を見る』『脳と筋肉をつなげる』という点。どうも認知症になると号令をかけても動作を号令どおり行ってくれないことから、『脳と筋肉がつながらなくなれば』、『きくち体操』もお手上げで、筋肉回復できないらしい。
『脳と筋肉をつなげる』という点では、(初心者意見だが)どこが脳と筋肉との結節点かと言えば、臍下丹田のように感じる。
奇しくも『しみじみとやること』は、きくち体操でも意識されており、きくち体操では、体操中に音楽を聴きながらとか、おしゃべりしながらは禁止している。
またダンテス・ダイジの柔軟体操でも手脚屈伸など動かす際に、同時に息を吸ったり呼いたりする部分もあり、いずれも実は単純な肉体動作ではない。
以上により、若い人は、冒頭の6メニューで十分だが、50歳以上はきくち体操も追加が必要だと思う。