睡眠負債
2015年に発覚した東芝の不正会計問題を受け、同社は2017年3月期の決算発表ができていません。
東芝の債務超過額は5816億円になると言われており、同社では8月10日までに監査手続きを終え、臨時株主総会で説明するとしています。
債務超過とは、債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態。 つまり、企業が株主から預かった資本金や利益の蓄積などの合計(自己資本)がマイナスになり、自社の資産をすべて売り払っても借金を返し切れない状態のことで、企業の財務体質としては危機的な状況であり、資本増強が急務となります。
しかし、決して倒産と同じと言うことではありません。
人にも「睡眠負債」という「負債」があるのをご存知でしょうか?
「睡眠負債」とは、わずかな睡眠不足が、まるで借金のようにじわじわ積み重なる状態のことです。
睡眠を研究する専門家たちは、この「蓄積する睡眠不足」を「睡眠負債」と名づけ、対策の重要性を指摘しています。
先日のNHKの報道によれば、睡眠負債がたまっていると、自分では気がつかないうちに仕事や家事のパフォーマンスが落ちてしまったり、命にかかわるような病気のリスクが高まってしまったりする可能性があるというのです。
「睡眠負債のリスク」
そのリスクとは、
1.能力低下・・・睡眠負債によって、日常の仕事や家事、車の運転などの能力が低下するため、生産性が落ちたり、事故などの危険が高まる。
2.がん・・・・・・・最新の研究で睡眠負債がガン細胞の増殖を加速させることが分かってきていて、東北大学で行われた男女2万人以上の7年間にわたる追跡調査では、
男性では、前立腺がんの発症リスクが1.38倍。
女性では、乳がんの発症リスクが、1.67倍増加しているそうです。
3.認知症・・・・・睡眠負債が続くと、認知症の原因物質であるアミロイドβが蓄積しやすくなり、脳の神経細胞が傷つけられ、脳の働きが衰える。
40~50代の人が7時間未満の睡眠時間の場合、認知症の発症リスクが1.59倍も高まるという事が判明しているそうです。
5.心筋梗塞や脳血管障害
心筋梗塞や脳血管障害でも、発症リスクが2~3倍高いという事がわかってきたそうです。
・寝付きをよくする10カ条
「睡眠不足の対策」
では、睡眠負債のリスクがあるとわかったら、どうすれば良いのでしょうか?
NHKの報道によれば、その方法は、「これまでより長く寝る」ようにすればよいということです。
ただし「週末の寝だめ」に頼ろうとすると生活リズムが乱れ、平日の睡眠に支障が出て、かえって負債を増やしてしまうリスクが高いのだそうです。
従って、平日の睡眠時間を今よりちょっとだけ多めにし、週末も同じ時間をキープすることです。
「必要とされる睡眠時間」
1日に必要とされる睡眠時間は年齢によって変わりますが、20~50代の働き盛りの世代であれば1日7〜8時間とされています。
統計的に見て1日7~8時間睡眠をとっている人は
・最も寿命が長い
・生活習慣病の罹患率が低い
・スタイルの変化が少ない
といわれています。
皆様の睡眠時間は如何ですか?
東芝のような超一流企業が陥った一つの過ちからの債務超過と同じように、健康体の皆様も、睡眠不足の蓄積という睡眠の負債超過に陥って、そのリスクにさらされないよう、負債の返済は確実にしていただきたいと思います。
もし、今の自分の睡眠が6時間以下であれば、少しでも延ばせるように暮らしのスケジュールを見直してみては如何でしょうか?
なお、睡眠負債リスクを調べるチェックリスト「睡眠負債 チェックリスト」にリンクしておきますので、関心のある方はご参照ください。
判定もお試しください。