三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

釧路湿原

2009年07月20日 06時27分11秒 | Weblog



先日行ってきた道東。帰り道にはやはり釧路湿原に。
湿原展望台は、釧路が生んだ建築家・毛綱きこう(~漢字思い出せない)さんの作品で
大変ユニークな造形感覚の建物。
なかには毛綱さんの言葉も壁面に書かれていて、
わたしたちの感覚の中には、遠い異星での記憶が投影されている、
っていうようなくだりが有り、かれの造形から感じる異形性をよく理解させてくれます。

かれの作品を釧路市に残すことがすなわち街づくりであると
見定めた鰐淵さんという元市長さんのお陰で、
釧路の街は、きわめて異質な文化性をまとった街になっている。
でも、そういった建築ばかりではなく、
釧路という場所が特異性を持っているのは、
その後背になっている釧路湿原の存在感が大きい。
釧路湿原とは、たぶん、何万年も陸地と海と、
変遷を繰り返してきたような地域なのでしょう。
現在は多くが低湿地になっていて、地盤が悪いので開発が進められない。
その結果、やむなく湿原が残り、
それが環境の世紀を迎えて、その希少価値の方が大きくなってきた。
多くの本州地域からの移住者のみなさんが、
この湿原の魅力に、自然の大きさに惹かれて
徐々に定住しはじめている。
そういう磁場、自然が人間を強く呼ぶような地域になっている。
春採湖は釧路の真ん中にあるのですが、
そこには野鳥の魚取りの様子が自然に展開していて、
その時間感覚の方が、人間の暮らしのリズムよりも優勢に感じられます。

最近は、湿原のやや高台に位置する「北斗遺跡」に行くことが多い。
ここでは、それこそ、旧石器時代からアイヌ期にいたる
人間の営みの痕跡が営々と蓄積している。
湿原への海進が、このあたりでの暮らしやすさを保証していて
太古の時代から、自然の恵みに満たされた良い環境の場所だったのですね。
農耕には適さないけれど、狩猟採集生活には最適という環境。
自然の中で「人間が生かされている」ことが実感できる。
このように人間はいのちを繋いできたんだなぁ、と思い至るのですね。
写真は、湿原高台側から釧路市内方向を眺望したもの。
好きです、釧路湿原。




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