雨上がりにふと見かけた本州地域の建物の壁面の様子です。
仕事柄、住宅リフォームの写真などを見る機会が多い。
なので、木材の腐朽についての感覚が強くなる。
写真のような外壁の様子では、
もし、通気層がない場合、内部の木材はどうなっていくのか、と
よそ事ながら、つい不安に駆られる。
北海道のような寒冷地では、
当然のように「通気層」を施工することになる。
室内側から万が一、漏れた水分を排出する働きをするので、
木造建物の性能を最終的に担保する構造といえる。
また通気層は、万一外部側から雨水が浸入してきても
それを排出する大きな働きがある。
それに対して、もし、通気層が取られていない場合には、
たとえば、温暖地域では外部から侵入してくる雨水が
浸透して、内部の木材に染みこんだ場合、
どのように水分が排出されていくのか、
なかなか想像することが出来ない。
相対的に温度が高く、湿度も高い気候であるわけですから、
なかなか逃げていくことが出来ないのではないか。
いや、そもそも気密への配慮はほとんどないので、
室内側に排出されていくのか、どうなるのでしょうか?
それと、屋根の形状が複雑で、
壁と屋根が繋がっているような場合、
雨水の通り方は集中的になる箇所が出来てしまうのではないか。
っていうような不安な要素が、写真の家からは見かけられた次第。
モルタルの壁に色濃く残った雨の跡は
たぶん、相当期間を掛けて蓄積し続けている。
たとえ、表面だけ乾燥状態になったとしても
内部木材は一体どうなっているか、
そもそも、どうしてこのように屋根面が不整合なのか。
北海道では雪の問題が第1にあるので、
屋根はなるべく不都合が生じないようにシンプルに考える。
まぁ、この家の場合は増築などの経緯があったのでしょうか。
屋根でデザインする、っていう伝統的デザインの住宅を
いいでしょう、と見せられることがあるけれど、
屋根が不整合になればなるほど
実にさまざまな不具合が出てくる実例を見てきているので、
なかなか同意できない気分になるものです。
雨水が集中するような形状を見ると、やはり心配になる。
そんな思いをしながら、つい取り越し苦労をしておりました。