先般のカナダアルバータ州の木材プレゼンテーションより。
かれらはカナダにおよそ230年前くらいから入植をはじめた。
その入植時期から社会発展があって
「都市」形成されるようになってくると、大型建築が建つようになる。
その初期には、「ヘビーティンバー」という工法でビルが建てられた。
これは1mを越すような「柱」や「梁」で建てる工法で
写真のようにいまでも実際に使われている建物があるそうです。
外観写真ではそんな工法で建てられているとは想像できないけれど、
内部写真ではちょっとなつかしいような雰囲気。
写真ではIT企業のような看板もあるので
現在でも現役で使われていることがうかがえます。
聞いていて、日本の大型木造の歴史がアナロジーされた。
日本でも出雲大社に始まって、奈良の首都建設が始められた頃など
巨大な木造建築が建てられたけれど、
それは、建設地周辺に建材として利用可能な巨大径の木材、
多くは樹齢数百年という巨木が使われていたということと、
非常に似た話だなと。
日本では千数百年前のことだけれど、
カナダでも同じような自然木資源利用が百年前くらいにあったのだと
そんな強い印象を持たされました。
司馬遼太郎さんのエッセイで、
日本の木造建築には大断面の木材が使われる時期と
そうではなく繊細な木材が使われる時期とが
明瞭に分かれるのだそうですが、
それは建築地周辺に伐採可能な大径の木材資源があったかどうか、
ということだと書かれていた記憶がある。
具体的には奈良の建設時期と、戦国末期とに明瞭だそうです。
そうした木材が使われた後には、
径の小さな木材で建築が賄われる、というか、
そもそも大型木造建築が建てられず、
より小規模の建築に建築文化の中心が移行するという次第。
そういうふうな印象が強く感じられて、
この木造大型ビルを見て、日本の法隆寺建築などと似通っていると。
まぁそれこそデザイン的にも、用途的にもまったく違うのですが
建材が、利用技術を育てるという意味合いは
地球上で、どこでも時代を超えて普遍的なのだと知らされる。
そんな思いを抱いた次第であります。