三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

劇的な地形~北海道様似・エンルムチャシ

2015年05月09日 07時45分37秒 | Weblog
アイヌの人たちにとって「チャシ」には砦とか、宗教的空間とか
いろいろな意味合いが込められていると聞いています。
北海道日高・様似町にある写真のエンルム岬、エンルムチャシは
まことに地形自体が劇的で、スピルバーグさんが宇宙人との遭遇場所にでも
想定しそうな、実にスピリチュアルなたたずまいを見せている。
こういった地形でいちばん印象的なのは
函館の街と函館山の関係が想起されます。
もうちょっと人口集積地に近かったら、江ノ島のようでもあるかも知れない。
あるいは、厳島神社も、こんな山体を見せて
ひとびとの宗教心を刺激していたのかも知れません。
そもそも、岬(ミ・サキ)という言葉は原日本語的な言葉だそうで
縄文以来、この列島に住み着きはじめた人々が
豊かな海岸地形を見せるこの列島の自然の中でも、
特異的であると認識し続けてきた、いわば民俗的精神性のゆりかごのよう。
このようにパノラマで見ると、あきらかに岩礁的な島嶼に
砂州がつながっていった地形の成り立ちが明確です。
この砂州を通って山にたどりつくと中腹くらいまではクルマで上がれる。
最後の急坂ではカミさんに代わってわたしがハンドルを握りましたが
それくらいの緊張感は強いられる。
その「駐車スペース」にちょうど良い場所から
ジグザグに「登山道」が頂上に向かって据えられている。
途中、何回か休息しながらでなければ、一気には上がれない。



ようやく上がりきると、ほんの少しの平面がある。
たぶん、10坪程度とおぼしき箇所。
写真を撮るにしても「引き」が取れないので、
肉眼では海の上から360度を見晴らせるのだけれど、
上の写真のような左右範囲がギリギリという状況であります。
風が強烈なので、アイヌの人々はたぶん、風よけに棒杭で砦状に
囲ったのだろうなと、容易に想像できる。
上がってくると、自然地形を活かした「物見」やぐら的な使用目的かと
想像力が追いついてきますね。
さぁ、どんな意味合いがあったのか、
砦というのは、そのものズバリではあるでしょうが、
そのような「戦争状態」が常態的であったのかどうか、
いろいろに思いをはせていた次第であります。
ふ~~む。




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