三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

空中庭を持つRCの家

2006年12月14日 04時59分36秒 | Weblog

写真は仙台の古い街道に面した旧市街地の町家敷地に建つ家。
間口が狭く奥行きが長い、という敷地ですが
あえてその立地に着目して、あらたに土地を購入して3階建てRC住宅を建てたもの。
このブログでも前にも取り上げていますが、今回は庭について見てみます。

そういう敷地条件なので、周辺環境の中で
よりよい居住環境をどう作り出すのか、
いろいろと工夫努力が見られる住宅なんですが、
この写真は2階の主たる居住スペース、居間の様子です。
基本的に光や風の渡りなどは考えながらも、周辺からは隔絶されたような
中庭を、家の内部に取り込んだようなプランになっています。
しかも、1階はたくさんの友人たちの集う場として、
駐車場スペースを確保しているので、この中庭は2階にあります。
まぁ、いってみれば「空中庭」とでもいえるでしょう。
この場所には、たぶんこれから観葉植物など鉢物での装飾が考えられていくでしょうね。
屋根はここにはかけられていません。
床面の排水は十分に考慮されていますから、そういう機能面はOK。
天井ばかりではなく、隣地との壁面にも、
スチール製のルーバーとか、ガラスブロックなど
透光性の素材が多用されているので、大変明るい空間になっています。
インテリアで見れば、やや暗い印象のコンクリート空間と
コントラストが鮮やかともいえますね。

都市性というものは、その交通的利便性として利用して
こういう空間性の部分では、中庭も含めて
大変閉鎖的でありながら、一方で開放的な生活装置にもなっている。
ちょっと、おもしろい出来上がりになった事例だと思います。
まぁ、家の中の細い通路空間も別に設置はされていますけれど、
この中庭は、向かいには和室が配置されていますから、
家の中での通路空間にもなっています。
家の中で移動するのに、外部の気象条件、晴れや雨、雪、風、といった
自然の移ろいの中に身をさらすことになる、というコンセプト。
ちょっとふしぎな暮らし方になる気がします。
まぁ、古くからある日本の都市住宅、町家の伝統的スタイルともいえます。
木と、コンクリートの違いはあるけれど、家の造られようは同じですね。

この家は、リプラン東北版1月15日発売号でご紹介しています。
ぜひ、ごらんください。ちょっとユニークです。
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