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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

農家の縁側

2005年11月20日 05時50分10秒 | Weblog
仙台の近郊にある古い農家住宅の縁側です。
晩秋のこの季節になると、農家住宅では
こういった秋の作物を乾燥させたりするのに
縁側がフルに活用されますね。
屋根がかかっていて、日差しがさんさんと降り注ぎ
作業性も抜群、という場所になるわけ。
これからの冬の季節に必要な保存食は
この時期のこういった作業から作られてきたんです。

 現代に造られる住宅と、こうした昔の住まいとの決定的な違いは
「生産」や「労働」の場所が、考えられているか、どうか
という部分が大きいと思います。
先日、ブログでも触れた「昭和33年」という時代をテーマにした
映画「3丁目の夕日」でも、下町の住居は、実は
そのまま、生産の、生きていくための装置でもあったんだ、
ということを、思い起こさせてくれていました。
現代生活の装置としての住宅では
たとえば「食」の装置としては、基本的に台所や冷蔵庫しか想起できません。
でも、写真のように昔の家では、いたるところにこうした形で
食に関する装置が、機能分担していたのですね。
こうした装置と、機能性が、生活文化をも生み出していたのです。
こういう場所での作業の中から、
家族の助け合いや、しきたり、美感・食感といったものまで
わたしたちは暮らし文化を共有してきたんだ、と
ただ場所に立つだけで、思い起こされてきます。

こういう文化のあじわい、って、
ふたたび、現代住宅によみがえることはないのでしょうか。
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スウェーデン無暖房住宅

2005年11月19日 06時08分02秒 | Weblog
きのう、仙台で東北フォーラム主催の講演会がありました。
テーマは「無暖房住宅」。
スウェーデンの建築家・ハンス・エーク氏の実践例の紹介です。
かれは、今年開かれた、愛知万博「愛・地球賞」を受賞しました。

設計事務所開設以来、かれはエネルギーのロスを減らすことに
ずっと取り組んできました。
写真左は、かれと彼の仲間が、最初に取り組んだ省エネ住宅のコンセプト。
はじめは、いろいろな自然エネルギー利用のおもちゃ箱のように
なってしまって、結果失敗したのだそうです。
ただし、そのときに施主さんから
「あなたそうがっかりすることはないわ。だって、この家は
こうしてはいけない、ということを教えてくれたんですから」といわれたそうです。
省エネにきわめて関心の高い、この施主さんの言葉で
かれは、ふたたび目標に向かう勇気を得たのだということ。

会場から、すこしピントのずれた質問もありましたが、
無暖房住宅、っていうのは太陽熱をパッシブ的に室内に受け入れ
そのほか、電気製品や人間活動の熱エネルギーだけで
極寒の地スウェーデンで、暖房設備なしで暮らせる住宅のことです。
そういうことをにわかに信じることが難しいとは思います。
けれども、北海道での新住協メンバーによる
Q1.0運動などを見ていると、けっして不可能とは思えません。
かれらが、そのために行ったことは、考え得るすべての熱ロスの削減。
それは3つのポイントになります。
伝導熱のロス・換気の熱ロス・生活排水の熱ロスです。
そうした各ポイントごとに性能向上の努力を掛けています。
徹底した断熱の向上面では、一般的なグラスウールなどの断熱材を使って、
屋根で50cm、壁で40cm、床下で25cmの分厚い断熱層で家をくるみます。
さらに開口部には高性能な木製窓を使用。
換気による熱ロスを抑えるように熱交換換気しています。
設計デザインの工夫では、南面に大きな開口を設け
大きめの屋根の庇を掛けています。
こうすることで、冬場の日射熱取得を計るとともに
夏場の過取得を抑えています。
玄関は北入りで、風除室的な空間を持っています。
ここで新鮮空気と室内の滞留空気を熱交換させています。
その先に、断熱的な玄関ドアがあって
室内に入り、大きな窓に面した南側が居間になっているのです。

紹介された「無暖房住宅」は、断熱向上や性能向上に要した費用と
必要がなくなった暖房設備のコストのバランスが
ほぼ均衡して、そのあとのランニングコストがない分、
たいへん、省エネになっているということ。
いま、地球が直面している温暖化への対応努力ということが
洋の東西・南北を問わず、課せられている最大のテーマなのだと
再認識できた次第です。
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エアコン「暖房」

2005年11月18日 06時22分11秒 | Weblog

いま、仙台にいます。
寒気が来ている日本列島、師走なみの寒さなんだとか。
きのう札幌から移動してきたのですが、体感の外気温はほぼいっしょ。
ただ、仙台は寒いし、札幌はあたたかい。
ようするに、室内の気候が全然違う。
札幌では、自宅や事務所とも気密性に配慮して
暖房は輻射熱的な、全体に暖気が満ちるような設計。
いっぽう仙台では、ホテルや木造賃貸住宅とも
気密性に配慮されていないので、建物内部での温度低下はきびしい。
しんしんと寒さが迫ってきて、手足が温度低下する感じ。
夜中、暖房していても寝具が足りないと感じます。

そこに、写真のようなエアコン「暖房」だ。
これは基本的に「空気しか」暖めないし、対流を起こすので
見かけ上は温度が上昇しても、まったく、あたたかくは感じない。
仙台に在住してもらっているスタッフは一様に
「さむいんですよね、仙台」って、言っております。
札幌、北海道の冬への対応に比べて
あまりにも無防備に冬を迎える印象。
この時期、ホームセンターやスーパー店頭では
石油の簡易なヒーターが山積みされていますが、
まぁ、こういうものがなければ、辛い。
新しく借りた事務所でもエアコンは準備したのですが、ぜんぜん無理。
石油ヒーターでようやく、しのいでいるところ。

やっぱ、もうすこし気密性というものにきちんと対応して、
より暖かい暮らしに目覚めるべきですね。
札幌や北海道の冬の暮らしはけっこうアクティブ。
アウトドアを楽しもうという気分は、東北以上。
そういうのは、やはり十分な備えからくる、暮らしのゆとりです。
住宅の性能向上って、意識の変化も促してくると思います。

そろそろ、家の暖かさを「オプション」のように考えるの、やめませんか?
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古民家でのいっとき

2005年11月17日 06時49分52秒 | Weblog
古民家に取材に行くと、やはり和室から縁を、
その先の庭を望むようなアングルでたたずみたくなる。
どうも、わたしだけの思いこみのような気もするが、
こういう空間の中で、ゆったり流れる時間を楽しみたいと思うのだ。
なぜか、わからないけれど、
こうした時空間が、日本的な感覚世界の原点のような気がします。

いろいろな地方に行って、いろいろな古い家をみるけれど
みな、こういう景色が見られる神聖空間を
建物の中に持っています。
庭を楽しむ、最高のロケーションを最大のもてなしとして設計している。
ということなのでしょうね。
こうした眺めの中で、賓客をもてなし、心を通わせる時間を共有する
それが、わたしたちの歴史が育んだ生活文化ではないか
日本人と住まいの関係で重要な要素だと思います。

というような、想念が浮かんできますが、
こういう場所に巡り会うと、単純に、
腰を落ち着けて、まず、茶でも飲んでいたくなる。
規則的な畳の折り目をかぞえたり、障子の枠を上下、数えたり
屋根庇から落ちる陰影の移ろいをぼんやり楽しんだり
している、そんな時間を過ごしたくなります。
そして、こういう空間が
あたたかくあってほしい、というのが
北方日本に暮らす、わたしたちのシンプルな願いなんです。
こういう空間にいたい、でも、こういう空間を楽しめるのは、ほんの夏場の一時、
というのがこれまでの住宅建築技術だったのですね。
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日除け・オーニングか、エアコンか

2005年11月16日 05時56分22秒 | Weblog

先日の東京出張で見てきた住宅。
川口市近郊の家ですが、エコロジーへのこだわりをポリシーとする
ビルダー「ナカジマホーム」の施工例です。
きわめて特殊な断熱材を使用して、たいへん革新的な工法を確立しています。
その内容については、別途触れていきたいと思いますが、
きょうは、オーニングについて。

関東以南の地域では、夏場の冷房負荷がたいへん大きな問題になります。
いまのところ、それにたいして力づくの解決策、
大きな電力を消費して、エアコン冷房するということになります。
しかし、エネルギーは有限。これからより自然な対応手段が求められるのでは。
この住宅の断熱性能はきわめて高いので、(これポイントですが)
エアコンに替わって、こうしたオーニングを付けています。
室内側から角度調節が利く、電動タイプで輸入物。
きびしい日射熱の取得をさえぎって
室内気候を涼しい状態に保持させます。
大きい方で、12~3万円程度と聞きました。
だいたい価格的には、エアコンと比較して若干安い、という程度なので
一般的な考え方としては
どうしても、それくらいなら、エアコンの方がって、なりますね。
そこらあたりは、やっぱユーザーサイドでも、ポリシーでの選択となるわけです。

でも、こうして設置していると、少なくともデザイン的には
十分に合格点だし、機械の性能としても単純な構造で
メンテナンス面でも、問題はないようです。
こういう知恵で、冷房負荷の低減に挑戦してみる、って
どうしても強く勧めるのは難しいようで、
エコのポリシーを明確にしているナカジマホームの施主さんでも
少数派なんだそうです。
もうすこし低価格で、安定した良質なオーニング、
出てこないモンでしょうかねぇ、国産で。
やっぱ、市場原理の壁が大きいんだと思うんですけどね。 う~ん。

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俵屋宗達のマウスパッド

2005年11月15日 04時54分58秒 | Weblog

先日書いた「北斎展」の行われていた東京国立博物館で、
写真のようなマウスパッドがあったので、
ゲットしてきまして、手元で使っております。
たしか図柄は、俵屋宗達。
江戸元禄のころの絵だと思うのですが、現物は色彩が落ちてきていたと思う。
それをこうした原色の印刷物として復元して再利用してあげると、
現代生活とまったく違和感がありません。
というよりも、ものすごく似合っていて
このキッチュな色遣いの感覚、モダンな描線、
どれをとっても現代にこのひといたら、絶対大人気間違いナシだわ、
って思えますよね。
古典の中のこうした作家の作品、現代生活の中でこういう日常的なデザインに
再利用するのって、アートを楽しむうえでとてもいいことだと思います。
ともすれば、ありがたがって大切にしまい込んでおく、
となる場合が多いと思うのですが、
アートは本来、遊びこころであったり、もだしがたい表現意欲の発露、
なわけですから、多くの人の日常生活の中で、
その意欲を盛り立てるものであるべきです。
たしか、海外の美術館で、その収蔵作品を利用した「美術館グッズ」が
大人気だって、聞いたこともあります。

ユーモラスな風神の絵柄から、
力強い同意のクリック反応が返ってくるようです(笑)。
おなじような仕事、雑誌表現というジャンルで働いていると、
時空を超えて、日本史上はじめて市民社会が成熟した元禄の極彩色の空気が、
感じられてくる瞬間があります。
きょうもブログ書くぞ、
って意欲モリモリで一気に書けた次第。

PS. なお、お値段は500円でした。
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秋田・稲庭うどん

2005年11月14日 05時16分10秒 | Weblog

といえばここ、「佐藤養助」。
きのうは秋田で取材が2件。お昼時間が取れたので、
スタッフといっしょに楽しんできました。
秋田のきのうの気温は昼間で7度。あたたかいうどんには最適。

「きょうのお勧めセット」メニューを注文。
これがそうです。あたたかい稲庭うどんをメーンに、
おいしい炊き込みご飯、小鉢、いぶりがっこというセット。
やっぱ、稲庭うどんだよなぁ。のどごしの柔らかさ、繊細さ。
はじめて秋田を訪れたとき、振る舞っていただいた地酒の締めに
店のおばあさんが持ってきてくれて、初めてすすった稲庭うどん。
以来、秋田では、麺はこれ。そう堅くこころに決めさせる味ですね。

うどんの上に乗った天ぷらは、ヒラタケとおぼしき感じ。
微妙な梅干しをあえた大根おろしがまぶされていて
スープの中でお互いを引き立てるハーモニーを奏でていました。
ごはんはやっぱ、あきたこまちなんでしょうね。
いろんな食感・味付け・舌心地をたのしんで
あっという間に、軽い満腹感とともに時が経ちました。
満足感とともに、スタッフの歓談。
ふたたび強く思う、秋田では、麺はこれ。 稲庭うどんでした。
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木製サッシ

2005年11月13日 04時49分27秒 | Weblog

きのうは山形県東根市で取材。
久しぶりに、北海道標準スタイルの家を見て、安心感。
外観が写真取れなかった。 
って、手違いで工事用の大型ゴミ箱が撤去されていませんでした。はぁぁ。
まぁ、しょがない、ということで外観のみ、別の日に撮影。
配置・間取り的には、平屋の居間・食堂を、切り妻に付けたようなプラン。
なかなかプラン的に完成度が高く、デザインのまとまりもいい。秀逸な住宅です。
今度のリプラン東北版で、掲載しますのでお楽しみに。

さて、写真はこの家の、居間からデッキに出るところ。
大型の掃き出しで引き違いの、輸入の大型木製サッシ。
断熱性能は、ほとんど「透明な壁」とでも呼べる高いレベルです。
さらに、どんどん改善が加わっていて
気密性の向上と、使い勝手の進化がはっきりとわかります。
右側に、かみ合わせ部分の写真を載せました。
って、詳細はやっぱむりですけど、閉じるときには最後にくっと、軽く、窓全体が持ち上がってから
ぐぐと、閉じる構造になっています。 言葉じゃ難しいですね、説明。
とにかく、性能と使い勝手のバランスが最高なんです。
わが家も、木製3重ガラス入りを全部に使っているのですが、
こうした性能面の上に、なんといってもデザイン性が抜群ですよね。
柔らかな木質の表情が、室内にやすらぎをもたらしてくれ、
いっぽう外部では、色を塗って楽しめる、家のアクセントカラーを選べる、
という大変大きなメリットがありますね。
まぁ、外国では外部の窓枠の塗装はほとんどが白だそうです。
どんな外壁の色合いにも、合わせやすいということのようですね。

確かに価格的にけっして安くはありませんが、
その家の格調を大きく左右する、大変重要で決定的なエレメント。
しかも、耐久性はどんどん向上中。
みなさんの家計画で、美しい木製窓、ちょっと検討してみませんか?
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もとリフォーム詐欺師の講演会

2005年11月12日 05時43分24秒 | Weblog
札幌で、12月15日に面白い講演会があります。
詳しい案内は、写真のチラシをご覧いただきたいのですが・・・
なんと、以前、リフォーム詐欺師会社に「勤めていた」
経験者の方が、その体験を語る講演会なんです。

よくね、被害者の方の講演会、というのはありますが
「わたし、だます側でした」っていうのは、たいへん珍しい、っていうか初めて。
わたしも、仕事の関係上、断片的に聞くことがあっても
講演みたいなのは、初めてです。
NPO住宅110番理事長としても、たいへん興味深い。
この情報を、東北以南の建築関係者にお話しすると
みなさん驚かれて、「それは聞いてみたいですね」という反応が返ってきます。
よくこういうひとをさがしてきたものですし、
また、よく講演を承諾してくれたものと思っています。
 
よく悪質リフォーム詐欺被害の話題は聞かれますが、
どのような手練手管で、かれらはだましているのか、興味津々。
まぁ、実際にだまされる人は、こういう講演会は聞かないものだとは思いますが
ぜひ多くのみなさん、おおいに参考にされてください。
問い合わせは、直接、以下の道庁の担当窓口で申し込みできます。
http://www.pref.hokkaido.jp/kensetu/kn-ksido/kanri/
(北海道庁建設部建築指導課HP)

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カナダ大使館レセプション

2005年11月11日 05時54分17秒 | Weblog
カナダ大使館って、東京・青山です。
木造の建物が味があるって聞いたのですが、いまは近代的なビル。
ちょうど、アメリカでいえばNAHBのような大きな建材のショー
ジャパンホームショーがあり、それにあわせて
このレセプションがあったのです。
会場には、木材建材の関係から、おもに2×4工法に取り組んでいる
多くの地域ビルダーが集まっていました。
写真は、ホントは青山のやや上空からの夜景が素晴らしかったのですが、
デジカメの設定がダメ、わからないのでパス。
大使さんのあいさつと、ちゃんとまじめに聞いていた(笑)証拠写真です。

最初は、あれ、このひと、フランス訛り強い英語だなぁ、っておもっていたんですが
え、あれ、ということで、この大使さん、さすがカナダ大使、なんとあいさつを
3カ国語でやっておりました。日本語・英語・フランス語。
ひとり通訳状態ですね。
それと、ワインがおいしかったです。
聞くと、東海岸や五大湖周辺の温暖な地域では
ワインが生産されているのだそうです。
どこでも、外交とワインって切り離せないんでしょうかね。
日本外務省にも、大量にあるって、最近ムネオさんが
暴露していましたが、そんなの当然。
人をもてなす品を持たない国なんてないでしょう。
あんなことで、外交の足を引っ張るのはやめなさい、ムネオさん。
って、おいしかったから、世界の外交関係者に味方します。(笑)
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