北海道の地域工務店には、他の地域とひと味違うところがあるなぁ
と、感じることがよくあります。
それはどんなことかなと考えて、まっさきに思い当たるのが
地域工務店同士の結びつきの堅さ、交流の深さ。
北海道は積雪寒冷という自然条件の厳しさに向かううち、
家づくりの基本技術について、オープンに情報を交流する気風が
育まれてきたのではないかと思います。
まずこの土地に暮らす多くの住宅ユーザーが
「暖かい家」を求める強い基本的な要望があり、
同じように、そこに暮らして肌身でそのことの重要性を認識している、
製造業の工務店が存在していたのですね。
それがさらに、行政組織である北海道をも強く行動させる原動力になり、
大学・研究機関の研究者、設計者たちなどをも突き動かしてきた。
こうして北海道の家づくりに携わるすべてのひとが
「暖かい家」という共通目標に向かって、情報もオープンにして
一体となって、努力を傾けてきた結果なのだと思います。
そうしたなかでも、ユニークな存在なのが、アース21という工務店グループ。
わたしも、「賛助会員」というかたちで参加しています。
北海道各地域の元気な工務店が、2ヶ月に1回のペースで
建築工法技術の研究から、経営の具体的な情報交流まで
実に忌憚なく、活発に活動しています。
写真は、ことしはじめて、例会を首都圏地域で行ったときの視察現場。
理念は、地域に根ざした工務店としてのよりよい家づくり。
製造業としての工務店、って、実はたいへん孤立した存在で、
技術を学ぶと言っても、なかなかそうした情報もないのが現実なのです。
大手建材メーカー主導のフランチャイズというのは、ありますが、
やはり立場が全然違います。
工務店は、地域の住宅ユーザーに一番近く、その立場で
建築に関わる情報を、きちんと整理して、仕分ける必要が絶対にあります。
そうでなければ、日本の現実の中では、大手メーカーの寡占が進んで
結果として、ユーザー利益には結びつかないのです。
こうした活動が知られるようになり、
東北地域などでも、この会に参加したい、あるいは
自分たちでも自主的な情報共有を進めよう、という工務店の動きが出てきています。
健全な業界発展を考えたら、きわめて自然でよいことだと考えます。
基本的にリプランも、賛同する立場で情報発信しています。