先日書いた「北斎展」で購入した復刻版画が届きました。
富岳三十六景から「常州牛掘」です。
これは北斎の原画から、いまの絵師さんたちが版木を起こして
復元し、一定枚数を手刷りしたものです。
その意味では、本来の北斎版画と同じ手法で再生されるもの。
写真の額は一部破損していたので、取り替えてくれました。
常州牛掘というのは、水戸街道で茨城県の水路の要衝だったところとか。
冬の朝、苫船で朝の支度で米研ぎ汁を船べりから落としたら、驚いた水鳥が飛び去って、
水辺の芦のかなたに富士がそそり立っている、
という物語性の感じられるテーマを、ダイナミックな構図で描いています。
寒さの表現で、青と白を用いていて、そういう感受性も
北国に暮らすわたしたちに共感できて、とても魅入られました。
絵を見て、感動できるのって、すごく楽しいですね。
じっとみていて、実に飽きないんですよ。いろいろな想念が起こり
浮かんでは消えながら、ファンタジーが頭のなかに広がっていく。
かれが生きていた時代の、その自然と人間の距離感、感受性のありよう、
そういうすべてが、渾然となって、感じられてきます。
お米をといだとぎ汁の流し方、お米が落ちないように
注意深く、水を落としているさま、なんて、いい画題に注目するよなぁ。
船の描写が記録的、写述的で、
この時代のなかでの役割が伝わってきます。
富岳三十六景は、この時代の旅行のススメ、旅行雑誌みたいなものだったのでしょうね。
ロマンチズムと日常性のはざまに、この時代の空気、満ちています。
楽しくわが家の壁面を飾る、お気に入りが増えました。
家にいる時間が、またすこし楽しくなってくれるものですね。
こういう居心地の良さ、家には絶対欠かせない部分だと、強く思います。
それと、家づくりに携わる人は、こういう気持ちを
共感できる、っていうのが大切な部分なんじゃないでしょうか?