入院二日目(術中)
体覆った布に、手術を行う穴を開けたら、即手術開始である。
「まず鎖骨部からカテーテル入れます」と言われ、部分麻酔を打たれる。
部分麻酔は痛いと効いていたが、インフルエンザの注射くらいの痛みで
ほとんど痛くない。
即効性があるらしく、すぐにカテーテルを入れるツーンとした痛みが。
まあ、耐えられない痛みでは全くないけど、、ちょっと痛いと言ってみる。
するともう1本麻酔打ちますと、、2本目は麻酔が効いているので感覚なし。
しかしカテーテルが心臓部へ向かう感触には閉口した。
ドクドクッと、正に血管に異物を入れられている感触。
確かに「痛い」わけではない、吐き気を伴わないので「気持ち悪い」という
表現も適当ではない、血管に異物が入る感覚なぞ、動物の、人間の
生物的設計上おそらく予期されていない現象なのであろう。
おもわず、「うぐわぁぁぁ」と声を出してしまう。
痛くはないけど、針金で体を串刺しにされている異物挿入感覚ははっきりとある。
こんな状態で数時間もいるのかと思うと、冷や汗が出てくる。
「次は下から入れます。」と言われ、ソケイ部に麻酔が、、またちょっと挿入時に
痛みを感じて、麻酔追加。鎖骨部でも2本打ったのだから、あらかじめ
二本打っておいて欲しいよなぁ、、と思っているうちに
またカテーテルが入ってくる違和感。しかも今回は腹の辺りで血管の壁に
ぶつかったらしい、、一瞬激しい腹痛!「ごめんなさい」と言われるが
これはたまならい! 間髪いれずに2本目が入ってくる。
今度は腎臓の辺りの血管壁にあたり、また激痛が!「いたた!」と声が出る。
そして3本目、これは挿入部が痛くて、麻酔を3~4本打ってもらったみたいだ。
カテーテルは入れるときが痛くて、あとはそれほどでもないと聞いていたが、
そうでもない。カテーテルを動かすたびに、挿入部は若干痛い。
そして心臓内をカテーテルが動く異物感を感じる。
「痛い」手術かと聞かれれば、「たいして痛くはない」手術ではある。
しかし「たまらなく嫌」な感覚の手術である。
早速検査が始まる。これは事前に聞かされていたので恐怖感はない。
人工的に心臓に電気を走らせドクドクと勝手に心臓を動かしている模様。
苦しいけど、頻脈を起こしたときの感覚に似ていて、まあ息苦しい程度。
いろんな波形を入れているようで、心臓のあっちがうごいたり、こっちが
動いたりしている様に思えたが、実際のところはわからない。
応答波形を見ながら、焼ききるべきケント束を特定している。
しかしその見極めは難しいらしく、、、
「P波先行している?」
「良くわかりません」
「ピークtoピークでみるしかないんじゃない?」
「それだと30、、う~ん35くらいかなぁ先行しています。」
「そう、けっこういいねぇ」
「ここ、わるくないよねぇ、、どう思う?」
「いいんじゃないんでしょうか」
「じゃあいこっか」
いや、、そんな適当なもんで大丈夫かなぁ、、、と思っていると
「一回検査しますので体が熱くなります」といわれる。
検査?熱い?アブレーション本番なの?でも検査?ん?
と思っていると。体の中にカーッと熱い感覚が生まれ、お尻に抜けていく
ような感覚が走る。別に苦痛ではない。
それ以上説明がなく、これで終わりだったらいいなぁ、、と思ったけど
やっぱりただのテストだったみたい。
以降、何の説明もなく以下の会話が聞こえてくる。
「テストします」「はいどうぞ」
「118オーム」「はい」、「スタートします。」
「40℃、22V、15秒」、「42℃、24V、20秒」、「45℃、24V、25秒」
「45℃、24V、30秒」、「切れました」
「45℃、24V、35秒」、「45℃、22V、40秒」、「ストップ」
ん?なんだ?アブレーション?と思っていると
「熱くなかったですか?」と聞かれる。全く感覚がない。
結局これが一回目のアブレーションであった事が後々わかる。
以降は次々に場所を変え、探っては人工ドクドクをして
アブレーションで焼くという行為が延々と繰り返されたのである。
アブレーションは全く痛くも熱くもない。ただし時間が30~40秒を超えて来ると
心臓が若干締め付けられるような感覚は出てくる。最大90秒やったが
さすがにそこまで来るとちょっとキューっとするが、まあ言われなければ
気が付かない程度である。
しかしHPなど見ていると3回程度アブレーションやると手術は終わっているのに
一向に終わる気配がない。
「逆電きえたか?」「消えません」の繰り返しで
何箇所焼くの?というくらい、アブレーションしまくり。
アブレーションはいいけど、カテーテル動かすときが痛く気持ちが悪いので
一刻も早く終わって欲しいけどおわらない。
「どうも太いんじゃない?」「いや私もそう思います」
なんて会話がしてくる。
「順番に焼いてきたけど、、太いんだよこれ」「順番に焼いてきて正解だね」
「そうですねぇ」「いや、、ブロードバンドだなぁ」
、、、、そういうことか、、どうもケント束が太くてなかなか焼ききれないらしい。
「先に失礼します」という看護士の声が聞こえた。
おそらく3時間経過して昼になったのだろう、、、、予想より長い。
「電極の先を曲げよう」といわれ鎖骨のカテーテルが一旦抜かれ
また入れられる。カテーテルの抜き差しは痛いので勘弁して欲しい、、
そしてまた延々と場所特定とアブレーションの繰り返し、、
「逆電きえないねぇ」「しぶといねぇ」
「もしかして左じゃないか」「左もみようよ」
といわれ足のカテーテルが入れなおされた。入れなおしはやめてくれー
と思ったが、だんだんこれにも慣れてくる。
足は新たにカテーテル入れる場所を変えたみたいだ。
ようやく先生から「どうもケント束が太くて、2本あったみたいです」
と説明がある。
そしてまた同じ作業の繰り返し、、、腰が少しずつ痛くなってくる、、、、、
猛烈に長い、、、家族は心配しているだろうなぁ、、
何度か手術が中断し、どこかに医師が集まり相談している。
なんか、嫌な感じ、、、このまま焼ききれずに終わるのか??
人工ドクドクをしていると、急に腹を殴られたような、ドデカイドクドクを
食らう。思わず「うぉー」という。
「おい高すぎるぞ」「でも下げすぎるとわかりません」
「でも患者さん苦しいって」
オイオイ、何をしてくれるねん、、と思っていると
少し小さい動きにされて、このくらいなら大丈夫ですか?と聞かれる。
冷や汗がどーっとでる。
しかしこれが最後のチェックだった。
「長かったです。お疲れ様でした。6時間かかりましたが全部焼ききりました。」
ほっとするが、、本当に焼ききれたのかぁ、、とも思う。
そこからカテーテルを抜き止血をするのに結局プラス1時間。
合計7時間の大手術となった。さすがに腰は限界であった。
ちなみに、カテーテルを完全に抜き取るときは、また別格の痛みがあり
これが今回の手術で最も痛かった。でも一瞬だしこれで終わりと思うと
まあ許せるのである。
時刻は16:00となっていた。
体覆った布に、手術を行う穴を開けたら、即手術開始である。
「まず鎖骨部からカテーテル入れます」と言われ、部分麻酔を打たれる。
部分麻酔は痛いと効いていたが、インフルエンザの注射くらいの痛みで
ほとんど痛くない。
即効性があるらしく、すぐにカテーテルを入れるツーンとした痛みが。
まあ、耐えられない痛みでは全くないけど、、ちょっと痛いと言ってみる。
するともう1本麻酔打ちますと、、2本目は麻酔が効いているので感覚なし。
しかしカテーテルが心臓部へ向かう感触には閉口した。
ドクドクッと、正に血管に異物を入れられている感触。
確かに「痛い」わけではない、吐き気を伴わないので「気持ち悪い」という
表現も適当ではない、血管に異物が入る感覚なぞ、動物の、人間の
生物的設計上おそらく予期されていない現象なのであろう。
おもわず、「うぐわぁぁぁ」と声を出してしまう。
痛くはないけど、針金で体を串刺しにされている異物挿入感覚ははっきりとある。
こんな状態で数時間もいるのかと思うと、冷や汗が出てくる。
「次は下から入れます。」と言われ、ソケイ部に麻酔が、、またちょっと挿入時に
痛みを感じて、麻酔追加。鎖骨部でも2本打ったのだから、あらかじめ
二本打っておいて欲しいよなぁ、、と思っているうちに
またカテーテルが入ってくる違和感。しかも今回は腹の辺りで血管の壁に
ぶつかったらしい、、一瞬激しい腹痛!「ごめんなさい」と言われるが
これはたまならい! 間髪いれずに2本目が入ってくる。
今度は腎臓の辺りの血管壁にあたり、また激痛が!「いたた!」と声が出る。
そして3本目、これは挿入部が痛くて、麻酔を3~4本打ってもらったみたいだ。
カテーテルは入れるときが痛くて、あとはそれほどでもないと聞いていたが、
そうでもない。カテーテルを動かすたびに、挿入部は若干痛い。
そして心臓内をカテーテルが動く異物感を感じる。
「痛い」手術かと聞かれれば、「たいして痛くはない」手術ではある。
しかし「たまらなく嫌」な感覚の手術である。
早速検査が始まる。これは事前に聞かされていたので恐怖感はない。
人工的に心臓に電気を走らせドクドクと勝手に心臓を動かしている模様。
苦しいけど、頻脈を起こしたときの感覚に似ていて、まあ息苦しい程度。
いろんな波形を入れているようで、心臓のあっちがうごいたり、こっちが
動いたりしている様に思えたが、実際のところはわからない。
応答波形を見ながら、焼ききるべきケント束を特定している。
しかしその見極めは難しいらしく、、、
「P波先行している?」
「良くわかりません」
「ピークtoピークでみるしかないんじゃない?」
「それだと30、、う~ん35くらいかなぁ先行しています。」
「そう、けっこういいねぇ」
「ここ、わるくないよねぇ、、どう思う?」
「いいんじゃないんでしょうか」
「じゃあいこっか」
いや、、そんな適当なもんで大丈夫かなぁ、、、と思っていると
「一回検査しますので体が熱くなります」といわれる。
検査?熱い?アブレーション本番なの?でも検査?ん?
と思っていると。体の中にカーッと熱い感覚が生まれ、お尻に抜けていく
ような感覚が走る。別に苦痛ではない。
それ以上説明がなく、これで終わりだったらいいなぁ、、と思ったけど
やっぱりただのテストだったみたい。
以降、何の説明もなく以下の会話が聞こえてくる。
「テストします」「はいどうぞ」
「118オーム」「はい」、「スタートします。」
「40℃、22V、15秒」、「42℃、24V、20秒」、「45℃、24V、25秒」
「45℃、24V、30秒」、「切れました」
「45℃、24V、35秒」、「45℃、22V、40秒」、「ストップ」
ん?なんだ?アブレーション?と思っていると
「熱くなかったですか?」と聞かれる。全く感覚がない。
結局これが一回目のアブレーションであった事が後々わかる。
以降は次々に場所を変え、探っては人工ドクドクをして
アブレーションで焼くという行為が延々と繰り返されたのである。
アブレーションは全く痛くも熱くもない。ただし時間が30~40秒を超えて来ると
心臓が若干締め付けられるような感覚は出てくる。最大90秒やったが
さすがにそこまで来るとちょっとキューっとするが、まあ言われなければ
気が付かない程度である。
しかしHPなど見ていると3回程度アブレーションやると手術は終わっているのに
一向に終わる気配がない。
「逆電きえたか?」「消えません」の繰り返しで
何箇所焼くの?というくらい、アブレーションしまくり。
アブレーションはいいけど、カテーテル動かすときが痛く気持ちが悪いので
一刻も早く終わって欲しいけどおわらない。
「どうも太いんじゃない?」「いや私もそう思います」
なんて会話がしてくる。
「順番に焼いてきたけど、、太いんだよこれ」「順番に焼いてきて正解だね」
「そうですねぇ」「いや、、ブロードバンドだなぁ」
、、、、そういうことか、、どうもケント束が太くてなかなか焼ききれないらしい。
「先に失礼します」という看護士の声が聞こえた。
おそらく3時間経過して昼になったのだろう、、、、予想より長い。
「電極の先を曲げよう」といわれ鎖骨のカテーテルが一旦抜かれ
また入れられる。カテーテルの抜き差しは痛いので勘弁して欲しい、、
そしてまた延々と場所特定とアブレーションの繰り返し、、
「逆電きえないねぇ」「しぶといねぇ」
「もしかして左じゃないか」「左もみようよ」
といわれ足のカテーテルが入れなおされた。入れなおしはやめてくれー
と思ったが、だんだんこれにも慣れてくる。
足は新たにカテーテル入れる場所を変えたみたいだ。
ようやく先生から「どうもケント束が太くて、2本あったみたいです」
と説明がある。
そしてまた同じ作業の繰り返し、、、腰が少しずつ痛くなってくる、、、、、
猛烈に長い、、、家族は心配しているだろうなぁ、、
何度か手術が中断し、どこかに医師が集まり相談している。
なんか、嫌な感じ、、、このまま焼ききれずに終わるのか??
人工ドクドクをしていると、急に腹を殴られたような、ドデカイドクドクを
食らう。思わず「うぉー」という。
「おい高すぎるぞ」「でも下げすぎるとわかりません」
「でも患者さん苦しいって」
オイオイ、何をしてくれるねん、、と思っていると
少し小さい動きにされて、このくらいなら大丈夫ですか?と聞かれる。
冷や汗がどーっとでる。
しかしこれが最後のチェックだった。
「長かったです。お疲れ様でした。6時間かかりましたが全部焼ききりました。」
ほっとするが、、本当に焼ききれたのかぁ、、とも思う。
そこからカテーテルを抜き止血をするのに結局プラス1時間。
合計7時間の大手術となった。さすがに腰は限界であった。
ちなみに、カテーテルを完全に抜き取るときは、また別格の痛みがあり
これが今回の手術で最も痛かった。でも一瞬だしこれで終わりと思うと
まあ許せるのである。
時刻は16:00となっていた。