つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡町から涅槃へ、死にゆく旅路。

2011年02月20日 08時20分38秒 | 日記
「今日の一枚」は、散歩中に撮影した「ハローワーク津幡」玄関口のスナップ。
画面右、ガラス面に写っているのは、愛犬「りくすけ」である。

去年、7月21日に投稿したとおり、
この建物は散歩の定番コースの寄り道ポイントだ。
24時間BOXと表示されたポスト内の求人情報案内は、相変わらず薄い。
景気の厳しさが伺える。
しかも数少ない求人の条件は、年齢の高い方にとって更に厳しい。
もし僕が職を求めるとしたら、かなり苦労するだろう。
きのう鑑賞した映画の主人公も、苦悶していた。

映画のタイトルは『死にゆく妻との旅路』。
全国に先駆けて、石川県・富山県で公開された。
その理由は、ご当地ムービーだからだ。

原作は、末期ガンの妻をワゴン車に乗せ、9ヶ月間、日本各地をさまよい、
「保護責任者遺棄致死」の罪状で逮捕された男性が
事件の裏側をつづった手記。
著者「清水久典さん」は、津幡町に生まれた方である。

「清水さん」は、中学卒業後に金沢市の縫製会社に就職。
1971年に七尾市の工場へ転勤。
そこで11歳下の「ひとみさん」と知り合い、77年に結婚。
翌年、娘さんに恵まれる。
独立し、小さな縫製工場を立ち上げるが、経営が傾いて多額の借金を背負い、
「ひとみさん」は病魔に侵されてしまう。
そして、借金返済のために職探しの旅へ出発。
夫婦が死を見つめながら過ごした272日間…
およそ6,000キロに及ぶ旅路を描いたロードムービーだ。
その旅の中で、主人公は各地のハローワークに立ち寄り職を求めるのだが、
いつも断られ続ける。
50歳を超えた人に該当する条件がない!…という理由で。

先日、FMラジオで主人公を演じた「三浦友和さん」のインタビューを聞き、
気になっていた作品。
しかも原作者が津幡町出身と知り、縁を感じて劇場へ行ってみた。

夫婦の心境の変化を伝えるには、ある程度の時間が必要だが、
CMや放送時間など制限の多いTVでは、映画ほどの長回しはできない。
また、決して明るいお話しではなく、七転八倒のエンターテイメントでもない。
やはりTV向けの素材とは言えない。
これは、スクリーンでしか映像化できないだろう。
暗い劇場のシートに身を沈めて観るべきである。

そして思った。
僕自身、少しづつ自分の死について考えるようになったが、
死は避けられないのだから、怖れを抱くのはやめにしよう。
死に夢中になってはいけない。
誰の人生も例外なく『涅槃への旅路』だ。
生きている時間…旅を楽しもう。
コメント
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