上砂理佳のうぐいす日記

3月31日(月)から4月6日(日)まで銀座中央ギャラリーの「10×10版画展」に銅版画小品を出品します★

天才はいつも孤独★

2020-05-10 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
(写真は最近流行りの「ネモフィラ」です)

朝ドラ「エール」6週目。
今週は、結婚と留学、そして莫大な賞金を得て意気揚々としていた裕一さんが、急転直下で地獄を這いずり回る展開に。
婚約者の音ちゃんが、裕一の窮状を知るや即行動。大胆にまた賢く、彼のために奔走します。
先週は「出会った二人がキャピキャピデート」と、夢みたいな輝ける週でしたが、あの時のプロポーズはいわば「子供の結婚式」みたいなもんで、本当の意味での「二人の道」はこっからスタートなんだなあ、と思わざるを得ないのでした。
「病める時も健やかなる時も」のまさに「病める時」ど真ん中にいる裕一。救い出そうとする音ちゃん。
懺悔と救済、そのやりとりの舞台が、二人が幼い頃初遭遇してた川俣の教会というのが、またとても効果的で示唆に富んでました。
(ここ、裕一さんの弾くオルガンのメロディ欲しいな~と思うのは私だけ?)

実家の弟にはなじられ、母は結婚を許さず、頼りの父は解決スキル無し。
そして信頼する藤堂先生には「何かを選んだら何かをあきらめねばならない」と諭される裕一さん。
藤堂先生的には、「イギリス留学には大賛成だけど、結婚と両輪は難しいよ」と言いたかったのかな。
先生はとてもいい人だけど、「天才になり得なかった凡人」なので、才能あふれる裕一を心底理解することは出来ない。
だからこういう現実的なご意見を述べるのかな。
蝉の声がクレッシェンドになるにつれ、無言の裕一の表情がどんどん険しくなるのが印象的でした。

自分から求婚したのに一方的に音ちゃんに別れを告げ、その後すぐに留学の話も無くなってしまう。
残された道は、無難に養子になり無難に銀行の仕事をし、無難に見合い結婚をする。
または全てを捨てて、音楽で身をたてる決心をする。
究極の追い詰められ方ですが、才能ある人の頭の中って混沌としている。
成功が約束されていれば、誰でも「好きな道」を選びますが、その補償なんて無いですもんね。
自分を全面的に信じてくれる音ちゃんに「賭けてみたい」裕一の気持ち、解り過ぎるぐらい解ります。。。
成功する才能ある人は、勿論ご本人の努力も不可欠だけど、最高のパートナーに巡り会っている事が多い。
自分を否定する人のそばで生きていると、自分がだんだん死んでいくのがわかる。

弟の浩二が「兄ちゃんは甘えてる。何一つ苦労してない!」と訴えますが、違うのです。
裕一は「自分が死なない道」を、本能として選んでいるのだから。
国際コンクールに出したのも、「生き延びる本能」。
音さんから別れを切り出す手紙をもらった瞬間、「駄目だ!」と豊橋まで走っていくのも「生き延びる本能」。
コンクール挑戦もとっぴな求愛も、浩二のような「普通に正しい人」ならば100%やらないところですが、才ある人はやってしまうのです。
そしてそれを理解してくれる人は少なく、「あいつは勝手」「馬鹿」で片付けられてしまい、傷つく。
なので「才ある人」は、結果を出して、理解してくれない人たちをねじ伏せていくしかないのです。
その道は孤独です。

本能にまかせて行動してる時の裕一は、イキイキしてる。
そして音さんも、彼のために行動する時、ハツラツとしている。
音さんが「旦那のために自分を犠牲にする」女の人でなく、「二人で立つ!」感じが私には好ましいです。
福島での父子の美しい別れの場面から、東京で二人がどうタッグを組んで闘っていくのか、楽しみなターンとなりました★
コメント
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