中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

中学生

2009-05-08 08:00:00 | 身辺雑記
 たまたまつけたテレビの画面がNHKで、長崎県五島列島のある島の町立中学校の生徒達を昨年1年間記録した番組が始まるところだった。初めは何となく見たという感じだったが、番組が進むにつれて引き込まれてしまった。

 この生徒達は3年生で、3年生は1クラスしかない。番組は音楽を選択している3年生の女子生徒達に、女子の音楽担当の先生がNHKの合唱コンクールの課題曲を配るところから始まっていた。課題曲はアンジェラ・アキのヒット曲の『手紙』。この学校には合唱部はないが、音楽選択の生徒達が前年度の長崎県大会で銀賞を獲得した実績がある。

 生徒達は県大会で金賞獲得を目指して、自分達が編み出したトレーニング法を取り入れて練習に励む。音楽担当の若い女性の先生も島の出身で、東京の音楽大学を卒業してからこの中学校の音楽担当教諭として赴任した。3年生のクラスの担任でもある。

 練習が進むにつれて2年生の女子も参加し人数が増えたところへ、3年生の男子も参加してきた。これまでは女声でやってきたが混声でやるのかということから、悩みや葛藤が起こり、リーダーの部長も先生も悩む。男子も初めのうちはリーダーに反発していたが、しだいにやる気が出てきて、自分達でパート練習をするなどしてまとまっていく。その間の生徒達の真剣な表情がいい。

 長崎県大会は諫早市で行われた。中学校の部の最初に舞台に上がった生徒達は練習の成果を発表するが、一人ひとりの真剣な表情が実に良かった。とりわけ3年生になって急遽参加した男子生徒の一人ひとりの顔が良い。県大会が開かれたのは7月だから、僅か3ヶ月でここまでになるのかと感心した。選考の結果は残念ながら銀賞に終わるが、終わった後で生徒達がリーダーや先生に、涙ながらに感謝の言葉を述べる場面も感動的だった。

 卒業式には3年生全員でコンクールの課題曲を歌い、式の後では教室で、自分達の未来の抱負を黒板に記し、短いコメントを述べる。その黒板を背にして話す先生の生徒達へのはなむけの言葉は、生徒への愛情と教師としての喜びに溢れているようなものだった。最後は密かに練習した歌を先生にプレゼントする。涙しながら聴く先生と生徒達の間には歌で結ばれた強い信頼感があるように思えた。

 番組の中の中学生達は女の子も男の子も、みな本当に良い顔をしていて、この年齢にふさわしい清潔さやひたむきさがあり、ああ可愛いなと何度も思い、こんなに素晴らしい子ども達もいるのだなあと何かほのぼのした気分になることができた。近頃は中学生も含めて未成年に関する暗い話は少なくない。街でも何か活気がない姿も見かける。そのたびに貴重な若い時代の清潔さと明るさを失ってどうするのだろうかと心を痛め、もったいないと思う。テレビで見た離島の中学生達の姿に久しぶりに清々しい気持ちになり満足した。この子達の未来がそれぞれ素晴らしいものであるようにと願う。