中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

マスク

2009-05-20 10:35:13 | 身辺雑記
 所属している会の事務局の当番のために大阪に出た。大阪では神戸についで多くの新型インフルエンザの感染者が発生している。テレビのニュースでは、大阪のある交差点の端に立ったレポーターが「見渡す限りマスク、マスク・・・マスクです」と言い、通行人のほとんどがマスクをしている場面が映し出されていたので、そのような情景を予想していた。

 まず乗ったJRの車内はラッシュの時間帯を過ぎていたこともあって乗客は少なかったが、マスクをつけている人は半数以下に見えた。次に乗った地下鉄ではマスク着用者は半数を少し上回るくらいだった。JRでも地下鉄でも乗務員や駅の職員は皆マスクをしていた。地下鉄を降りて街に出て事務局に向かったが、マスク姿は非常に少なく少々拍子抜けした。私はと言うとどこでもマスクは売り切れということもあって着用しなかったし、非難されることを承知で言えば、マスクをつけることにはどうも消極的だ。これまでマスクをつけた経験と言えば、幼い時にしたように思うという程度だ。

 昔からそうだったが、日本ではマスクはよく使われていて、外国人には奇異に思われてもいたようだ。それでもSARS流行の時には、さすがに欧米人もマスクをつけたようで、その頃私は中国に行ったが、往復の機内での欧米人のマスク姿は多かった。テレビを見ると今回の新型インフルエンザの発生地のメキシコではほとんどがマスクをつけていた。しかし、ある新聞のコラムによると、メキシコに次いで感染者が多い米国のニューヨークでは、マスク着用者はほとんど見かけないそうだ。「なぜしないのかと問えば『なぜするのか』と返ってくる」とあった。そして「文化や風習の差か、行政の指導の有無か」と言い、さらに「欧米の当局は『感染防止に科学的根拠はない』とも」と書いている。マスクは感染防止に対して万能ではないだろうが、かと言って科学的根拠がなく有効ではないとは思えないのだがどうなのだろうか。

 マスクは何のためにつけるのか。感染者が増えたからということでマスクが爆発的に売れているということは、感染予防を期待しているからだろう。しかしテレビでは、ウイルスに感染するのは感染者のくしゃみや咳の際の飛沫によるもので、2メートルも飛ぶようだが、マスクをつけるとかなり抑えられると言っていたから、これは感染者から感染が広がることを防止するものだろう。入ってくるのを防ぐのか出て行くのを防ぐのか、市販されているマスクにはウイルスを濾し取ると謳っているものもあるが、ウイルスのような超微細な病原体にはどの程度効果があるものなのか。マスクをつけるとマスク内は呼気のために湿度が高まって、湿気に弱いウイルスには効果があるとも言われる。街で見かけたマスク着用者の中には、口だけを覆って鼻は出しているものも見かけたし、顎に引っ掛けているだけのものもあった。もちろんこれでは何の意味もないのだが、やはり慣れないものをつけると煩わしいのか、息苦しくなるので「新鮮な」空気を吸いたくなるのかも知れない。

 感染者はますます増えるだろうと予想されている。大阪や神戸などの自治体ではこれまでの感染防止基準では感染者の受け入れは困難になると、政府に基準の緩和を求めているし、そのようになるようだ。もともとこれまでの感染拡大防止策は、強毒性の鳥インフルエンザを想定したものだが、今回のウイルスは弱毒性のもののようで、通常の季節性のインフルエンザへの対応でよいとも言われている。しかしそうであっても、いったん火がついてしまった以上はマスク姿はなかなかなくならないだろう。