ある教育関係書の出版社が小・中・高校生らを対象に「ことばに関するアンケート」を行った結果についての記事を見た。この会社の生涯学習検定センターが実施している「語彙力検定」受検者を対象にして「言葉の美醜」をテーマに行ったもので、小学生から高校生の約1万人が回答したという。その結果、男性言葉を使う女子が約3割いることが分かり言葉遣いが「中性化」していると結論している
「男子と女子が使う言葉は同じだと思うか」という質問では約7割が「いいえ」と答えた。しかし、「おまえ、いいかげんにしろよ」という言葉を実際に使うとしたのは男子で63.6%、だったが、女子でも27.6%いたという。また「このカレーライスうまいね」では男子は70.3%、女子は33.5%だった。
また、「きれいな言葉遣いで話したい」という子は47.5%。「あなたの近くにきれいな言葉遣いで話す人はいますか」には53.2%と、過半数が「はい」と答えたと言う。近くにきれいな言葉遣いをする人がいるとした子に誰か聞いたところ、女子は「女の友達」52.0%、「学校の先生」30.7%、「母親」27.8%であり、男子は「学校の先生」30.6%、「男の友達」30.0%などだった。
これだけの記事で、あれこれ言うことはできないが、少し思ったことがある。まず、「きれいな言葉」とはどういうものかを回答者がどのようにイメージしていたのだろうか。言葉について云々する場合には標準語を基準に考えることが多いが、方言などを考えると地域差もかなりあるのではないだろうか。古くは「おまえ」は決して汚い言葉ではなかったらしいし、また必ずしも男に限ったものではなかったようだ。だからこれはあくまでも想像だが、今でも「おまえ」が男女共通の日常語である地域もあるかも知れない。
「うまい」は男言葉なのか。女の子が「このカレーライスうまいね」と言えば少々違和感があるかも知れないが、「あの子は歌がうまいね」と言っても、特におかしくはないと思う。「じょうずだね」と言えばきれいな言葉遣いで、「うまいね」なら女の子が使う言葉としてきれいではないとは思えない。
ところで、「きれいな」は、「ていねいな」あるいは「上品な」と同義なのか。それとも「男女の別をわきまえた」ということなのか。確かに女性が「おまえ、いいかげんにしろよ」と言えばこれは乱暴な使い方と思われるだろう。もし私が直接聞いたらやはり顔を顰める。それは私自身が男言葉と女言葉は違うと思っているからだ。私が知っているある卒業生の中学生の娘はかなり難しい性格の子で、一時は自分を「おれ」と言っていたし、「あいつ殺してやる」とか「あんな奴死ね」とかひどい物言いをしていた。むしろ意地になって「きれいな」言葉遣いに反発しているようでもあった。生活環境もあるのだろうが、そういうことに嵌りやすい年ごろでもあるのかも知れない。
この調査の対象は「語彙力検定」受検者を対象にしたものと言うから、その回答には一定の偏りがあるとも思われる。もっと一般的な小中高校生を抽出したら違った結果が出たかも知れない。あまり確たる根拠のない推測だが、男のような言葉遣いをする女の子はもっと多いとも思う。巷での女子中高生の会話を聞いているとかなり乱暴なのが少なくなく、「おまえ」や「あいつ」などは多いからだ。
正しい、あるいはきれいな言葉遣いは望ましいことだが、どのような基準で、どのように教えるかは難しい。何を手本にすればよいのか。手本と言っても、宮廷のやんごとなき方々の言葉遣いを手本にするわけにもいくまい。あのような言葉遣いを普通の者がしたら、かえって気味が悪いだろう。過ぎたるは及ばざるが如しで、いつかテレビに出ていたある専門家は、質問に答えるのに「・・・・でございます」を連発して、聞いているとどうも落ち着かなかった。
何はともあれ、女の子であろうと男の子であろうと、乱暴な言葉遣いや、会話に伴う乱雑な雰囲気は好ましくない。この点ではテレビのお笑い番組の出演者達は、悪い見本になりかねないようなところがあるから自戒してほしいと思う。
「男子と女子が使う言葉は同じだと思うか」という質問では約7割が「いいえ」と答えた。しかし、「おまえ、いいかげんにしろよ」という言葉を実際に使うとしたのは男子で63.6%、だったが、女子でも27.6%いたという。また「このカレーライスうまいね」では男子は70.3%、女子は33.5%だった。
また、「きれいな言葉遣いで話したい」という子は47.5%。「あなたの近くにきれいな言葉遣いで話す人はいますか」には53.2%と、過半数が「はい」と答えたと言う。近くにきれいな言葉遣いをする人がいるとした子に誰か聞いたところ、女子は「女の友達」52.0%、「学校の先生」30.7%、「母親」27.8%であり、男子は「学校の先生」30.6%、「男の友達」30.0%などだった。
これだけの記事で、あれこれ言うことはできないが、少し思ったことがある。まず、「きれいな言葉」とはどういうものかを回答者がどのようにイメージしていたのだろうか。言葉について云々する場合には標準語を基準に考えることが多いが、方言などを考えると地域差もかなりあるのではないだろうか。古くは「おまえ」は決して汚い言葉ではなかったらしいし、また必ずしも男に限ったものではなかったようだ。だからこれはあくまでも想像だが、今でも「おまえ」が男女共通の日常語である地域もあるかも知れない。
「うまい」は男言葉なのか。女の子が「このカレーライスうまいね」と言えば少々違和感があるかも知れないが、「あの子は歌がうまいね」と言っても、特におかしくはないと思う。「じょうずだね」と言えばきれいな言葉遣いで、「うまいね」なら女の子が使う言葉としてきれいではないとは思えない。
ところで、「きれいな」は、「ていねいな」あるいは「上品な」と同義なのか。それとも「男女の別をわきまえた」ということなのか。確かに女性が「おまえ、いいかげんにしろよ」と言えばこれは乱暴な使い方と思われるだろう。もし私が直接聞いたらやはり顔を顰める。それは私自身が男言葉と女言葉は違うと思っているからだ。私が知っているある卒業生の中学生の娘はかなり難しい性格の子で、一時は自分を「おれ」と言っていたし、「あいつ殺してやる」とか「あんな奴死ね」とかひどい物言いをしていた。むしろ意地になって「きれいな」言葉遣いに反発しているようでもあった。生活環境もあるのだろうが、そういうことに嵌りやすい年ごろでもあるのかも知れない。
この調査の対象は「語彙力検定」受検者を対象にしたものと言うから、その回答には一定の偏りがあるとも思われる。もっと一般的な小中高校生を抽出したら違った結果が出たかも知れない。あまり確たる根拠のない推測だが、男のような言葉遣いをする女の子はもっと多いとも思う。巷での女子中高生の会話を聞いているとかなり乱暴なのが少なくなく、「おまえ」や「あいつ」などは多いからだ。
正しい、あるいはきれいな言葉遣いは望ましいことだが、どのような基準で、どのように教えるかは難しい。何を手本にすればよいのか。手本と言っても、宮廷のやんごとなき方々の言葉遣いを手本にするわけにもいくまい。あのような言葉遣いを普通の者がしたら、かえって気味が悪いだろう。過ぎたるは及ばざるが如しで、いつかテレビに出ていたある専門家は、質問に答えるのに「・・・・でございます」を連発して、聞いているとどうも落ち着かなかった。
何はともあれ、女の子であろうと男の子であろうと、乱暴な言葉遣いや、会話に伴う乱雑な雰囲気は好ましくない。この点ではテレビのお笑い番組の出演者達は、悪い見本になりかねないようなところがあるから自戒してほしいと思う。