中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

過剰反応

2009-05-24 10:17:51 | 身辺雑記
 新型インフルエンザの感染者はじわじわと増えているようで、新聞には毎日のようにその数字が載っている。近くは、兵庫県152人、大阪府135人というのが多い数字だ。この数字だけ見ていると、患者が毎日少しずつ増えているように思えるが、この数字には既に治癒したり快方に向かっている者も含まれているから、実際に今どのくらいの患者がいるのかは分からない。このインフルエンザの発生源となり多くの死者を出したメキシコでは、「まだ勝利したとはいえないが、ウイルス感染の速度を抑え込み、うまく対応してきた」と述べ、猛威を振るった感染拡大が終息に向かいつつあるとの認識を示したようだ。10日ほど前には感染者が計2656人に達したと発表していた。日本でもいずれ終息するのだろうが、それまでは緊張が継続するのだろう。

 このインフルエンザが発生した当初は、わが国でも厳重な警戒態勢がとられ、それだけに国民も過敏になった。この病原体のウイルスが危惧されていたような強毒性のものでないことが分かっても警戒心は収まらず、感染者が多く出た神戸や大阪では街に出る人の数が激減し、経済的な被害もかなりのものになった。まだ1人しか感染者が出ていない京都市では、修学旅行で訪れる中学生達のほとんどがマスクをしている様子が新聞に載っていたが、キャンセルも相次ぎ、旅館など観光業は大打撃を受けているようだ。
 
 関東地方のある中学は京都に来たものの、感染を警戒して教師は生徒達に観光タクシーで観光するように指示した。しかも車外に出ることを禁止したから、生徒達は運転手にハンバーガーを買ってきてもらって車内で食べている様子をテレビで見て、過剰反応もここまでになったかと思った。女生徒達は「悲しいです」と言いながらハンバーガーを食べていたが、かわいそうだが何ともおかしかったし、教師の感覚がばかばかしかった。

 過剰反応と言えば、岡山のある企業は大阪のほうに出張して帰社した社員に発熱もしていないのに病院に行かせ、新型インフルエンザに罹っていない証明書をもらうように指示したようで、医療関係者が呆れたように批判しているのをこれもテレビで見た。どのあたりの地位の上司が指示したのか、その会社で決めた方針なのか知らないが、愚かとしか言いようがないと思った。

 私の長男が住んでいる滋賀県でも大学生が1人発症した。滋賀県では対策会議を開き、患者の出た大津市の小中学校や幼稚園、保育所に休校等の措置をし、県立高校は休校とした。長男の家に電話したら、県立高校生の孫娘が出てきたが手持ち無沙汰の様子だった。孫娘の通う高校は大津市からは離れたところにある。滋賀県は真ん中に琵琶湖がある南北に長い県だ。その南端にある大津市で感染者が1人出たからと言って、なぜ全県立高校を休校にしなければならなかったのだろうか。あらかじめそのような基準を決めていたのだろうが、全県を覆う規模の大型台風が襲来するわけでもあるまいし、少し大袈裟な感じがした。

 大阪府や兵庫県からの要請もあって、政府は措置の緩和を決めた。それによって兵庫でも大阪でも機制を緩めるようだが、これでこれまでのような過剰な反応は少しは収まり、人心は落ち着くのだろうか。政府の基準緩和の発表を受けて東京都知事は記者団に、「騒ぎすぎだよ」とコメントしていた。北朝鮮のミサイル発射の時と言い、このインフルエンザ騒ぎと言い、何かしら国民は実体以上に「怖い、怖い」と思わされているようにも思う。