中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

ヤジ

2009-05-29 09:30:19 | 身辺雑記
 自民党と民主党の党首会談が開かれた。私はテレビでは見なかったので新聞で概要を読んだが、もうひとつ切り結んだ論戦のように思えなかった。討論後にはそれぞれの党では自分達の党首の「勝ち」のように言っているが、自画自賛毎度のことだ。政治に関する識者の評価をある新聞で見たが、「問題設定力」「説得力」「柔軟性」について5段階評価の結果は、やや民主党首が高いという程度だ。限られた時間の1回だけのことでは評価も難しいだろうから、もっと回数を増やせばいいのではないかと思う。

 討論の中身はともかくとして、例によって会場での双方の「応援団」のヤジがひどかったようだ。目前に迫った次期衆院選を意識して白熱したためのようだが、両党首の発言が聴き取りにくいほどだったようで、委員長が「ご静粛に願います」と何度も呼びかけたがまさに馬耳東風だったらしい。自民党では幹部の「やかましいの一言だ」とか「ヤジ合戦は一切禁止した方がいい」という不快感の表明があったようで、民主党幹部も「ヤジがすごくて、ほとんど聞こえなかった」と言ったとのことだ。官房長官は「子どもに見せられないひどさ。政治家は行儀が悪いと言われる」などと言ったようだから、よほど目に余るものだったのだろう。ヤジと言うより罵詈雑言の類ではないか。

 事前に衆参両院の国家基本政策委員会合同幹事会で、討論中は「節度あるヤジ」を心がけることを申し合わせていたが、まったく守られなかった。実に情けないことだが、そもそもこのような品位の欠如した連中に「節度あるヤジ」などを求めるほうが、無いものねだりで無理というものだろう。およそ「選良」などという言葉からは程遠い連中なのだ。

 「節度あるヤジ」とは何か。「寸鉄人を刺す」の類なのだろうが、そのためには警句や警語を持ち合わせていなければならないから、このような連中には到底無理なことだろう。それに聞いていておもしろいと思うようなヤジは、ユーモアというものがなければできないものでもあるから、これは彼ら議員だけでなく、私たち日本人一般に苦手なことだろう。

 ヤジではないが、かつて英国の議会で当時野党だった労働党の1議員が、とかくゴシップの種になるような行動が多かった皇太子に関して「あの小僧が・・・」と発言して問題となった。発言の取り消しを要求され登壇したその議員は、「あの小僧がと発言したことを取り消します」と、わざわざ問題になった「あの小僧が」を繰り返したので、議場は大笑いになったということがあった。このあたりが与党にも余裕があるところで、仮に日本の議会で似たようなことが起こったら、たちまち「問責決議だ」とか何とか、「テンション民族」特有の輩がいきり立つことだろう。

 本会議にしても委員会にしても、相手の発言も聞かず、ただヤジマシーンのようにがなり散らす議員は淘汰できないものだろうか。ヤジを飛ばしたら退場、氏名公表くらいのことをしないと、効き目はないかも知れない。相手の言うことをよく聴いてから発言するという当たり前のことができない者は少なくないようで、テレビの討論会やトーク番組などでも、相手の発言をさえぎって大声で発言する者がいるのは見苦しい。

 たとえ無いものねだりではあっても、我々の税金で高額の歳費などを賄っているのだから議員には品位と教養を求めたいが、「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」と言うから、現実の政治家の姿はそれを選んだ有権者の姿を映しているのかも知れない。