中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

体罰

2010-06-01 10:43:40 | 身辺雑記
 昨年の12月のことだが、石川県の45才の県立高校の教師が課題を提出しなかった1年生の女子生徒の頬を平手で3回たたいた。体罰を知った校長がこの教師に謝罪するよう命じると、「謝るのは嫌だ」と学校を飛び出し、約8時間自宅にこもった。この教師がいない間、担当する理科の授業は別の教諭が穴埋めをしたという。1月下旬に石川県教委はこの教師を、減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にした。体罰禁止なのはもちろんだが、教師の職場放棄を重く受け止めたということだ。

 この教師、45歳と言えば小学校の教師をしている私の次男と同じ年齢だが、妻子もあるだろう分別のある年頃なのに、何とも理解できないような行動で、いったいどのような性格で、日ごろどのような言動があったのだろうか。幼稚とも愚かともどうとでも言えるが、何かため息が出る思いがした。

 発端は課題を出さなかった女子生徒を平手打ちしたことにあるのだが、もしその女生徒が反抗的な態度をとったとしてもやはりよくない。ところがこの記事を検索したついでに、これについてのネット掲示板もあったので拾い読みしてみると、体罰を容認する意見が意外に多い。もちろんこの教師の行動を愚かとする声は多いのだが、言うことを聞かない者には体罰は当然とか、この程度のことは体罰と言えないとかいうもので、気になったのはそういう書き込みをしている者の口調が何か傍観者的なことで、教師の体罰ということが本当に分かっているのだろうかと思ったし、実際に教師から体罰を受けた経験があって、そのときにそれを教師の自分に対する戒めと思って有難く受け止めたのだろうかということだ。

 私は教師から叩かれるような体罰を受けたことは、小学校のときに1回あっただけだ。東京から戦火を避けて宮城県の温泉町に学校集団疎開をした時のこと、ある日同室の者が10名くらい担任の先生に呼び出されて、風呂場の浴槽の縁に立たされて、理由も何も告げられずに片っ端から頬に往復びんたをくらわせられた。それが終わって同級生達は皆出て行ったが、私は1人残って頬を水で冷やした。先生も残って風呂の湯で手を洗っていたが終始無言だった。同室の者の中に生活がルーズなのがいて、どうやらそれを皆がいびったということらしかったが、先生はそれを諭すこともなかったから、結局理由はよく分からなかった。今でもそのときの様子、とりわけ私の前に立って私を叩いた先生の無表情な顔を何か暗い印象で思い出すことができるが、65年もたった今でも嫌な思い出として残っている。 (続)