中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

車内でのある風景

2010-06-05 10:50:15 | 身辺雑記
 昼過ぎにJRに乗っていると、30歳前後のサラリーマン風の男性が途中の駅から乗ってきた。席に腰掛けるとすぐ鞄の中から菓子パンを取り出して食べ始めた。車内はかなり空いていたが、それでも他にも乗客はいる。しかしその男性は別に隠すような様子もなく、パクパクという感じで食べていた。よほど空腹だったのだろう。外回りか何かで飲食店に入って昼食をとる余裕もなくて、駅の売店かどこかでパンを買ったのではないか。最近では電車内で飲食する高校生など若い者は多く、特に目新しくも珍しくもない光景だが、それでもちゃんとした身なりのサラリーマンらしいのがパンを頬張る姿は何かうら寂しく感じられるものだった。

 かつては電車の中で物を食べたりする姿は見られなかった。われわれ日本人には食事する場所でないところで飲食するのは、はしたない、行儀が悪いという気持ちがあったのかも知れない。もうだいぶ前のことだが、ある母子が電車の中で何かを食べている白人を珍しそうに見ていたら、いかがですかと勧められて慌てて断ったという話を聞いたことがある。妹だったかが、やはり白人の数人連れが、アイスクリームの大きなカップを抱え、歩きながら食べていたと珍しそうに言ったこともあった。どうも所かまわずに物を食べることは米国人あたりが持ち込んだのではないかと思う。そんなことで外人のやることは何でも格好がいいと、真似したがる若者がやりだしたのではないだろうかと勝手に想像している。今では格好がいいとか何とかいうのではなく、空腹になったり口が寂しくなったりすると、電車の中であろうと歩きながらであろうとかまわずに食べることが普通になりかけているのではないか。こらえ性が乏しいのだろうし、体裁などはおかまいなしと思っているのかも知れない。家の中、家の外という区別がなくなったのだろうが、見ていてあまり感じのいいものではない。

 最近も私学の低学年の学校帰りの小学生らしいのが、電車の中で煎餅のようなものを食べているのを見た。あれは家から持ってきたのか、駅の売店ででも買ったのかと思いながら見ていたが、きちんとした制服姿には似つかわしくないように思ったのは年寄りの感想か。高校生あたりになるともう普通のことになっているようで、大きなハンバーガーにかじりついていたりする。夕方のかなり混み合った電車の座席に座って弁当箱を開いて箸を使っている中学生もあった。皆クラブ活動帰りで、家に帰るまでもたないのだろう。しかし今40代後半から50に近くなった私の息子達の頃はそんなことはなかったから、やはりこれは最近の「風俗」なのだろう。

 飲食ではないが、電車の中でいい年をしたサラリーマンがコミック誌を読んでいる姿も多く見られるようになった。昔、高校生あたりに人気の『少年ジャンプ』というコミック誌があったが、電車内の吊り広告を見ると、それが今では『ビジネスジャンプ』とやらに「進化」したようで40代と思われるのが熱心に読んでいて、彼らはおそらくは『少年ジャンプ』時代からの愛読者で、いつまでたってもこのようなコミック誌から抜け出せないのだろう。もう少したったら彼らが年取った50代のオジサンや、60代のジイサンがコミック誌にのめりこむ姿が見られるようになるかも知れない。実際最近、駅のホームで60代の、車内では50代の男性が週刊コミック誌を手にしているのを見た。

 コミック誌と同じように近頃では、電車内で飲食する者の年代がだんだん上がってきているようだ。やはり中高生あたりの習慣から抜け出せない世代が増えているように思う。これもまたそのうちに、40代、50代、60代と上がっていくかも知れないと思うとちょっと情けなくなる。
   

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