中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

はやぶさ(2)

2010-06-16 10:56:57 | 身辺雑記
 私は高校生のころから物理学や工学は苦手で、その方面のニュースにはほとんど関心はなかったが、糸川英夫博士の名前は、博士が主導して開発した「ペンシルロケット」の名称とともによく記憶に残った。ペンシルロケットは将来のロケット旅客機の開発を視野に入れて、東京大学生産技術研究所が、ロケット推進の研究目的で1954年から開発、実験した戦後日本初の実験用ロケットで、鉛筆のような形状だということで愛称となった。予算上の制約から超小型の火薬式のもので合計150機余りが製造され実験されたが、その方針はその後、ロケット旅客機から観測ロケットへ変更された。

 1954年と言えば私が大学3年生の時で、映画館でのニュースか何かでその実験の様子を見たことがあるか、中には失敗の場面もあったし、打ち上げるのでなく水平に飛ばしていたように思う。何しろ20~30センチくらいの小さいもので、門外漢で無知な私には何かおもちゃのようなちゃちな感じがしたものだ。しかし、単体でロケットシステムとして成立しており、その後の研究のデータとしては役に立ったそうだから、今回のはやぶさを打ち上げた技術もその延長線上にあるもので、思えば日本のロケット技術はもちろん、観測機器の制御の技術もこの60年近くの間に長足の進歩を遂げたものだ。

 私はは7年前のやぶさの打ち上げのニュースはほとんど記憶にはないが、イトカワに着陸したことは覚えている。熱烈なファンでもない限り、大方の関心は私程度とは思うのだが帰ってくるとなると、ニュースの量が増え俄然関心が高まったようだ。そしてしだいに熱狂的になったようで、例によって情緒的な報道の仕方もあって、「健気なはやぶさの姿に涙が出ました」などと感情移入する人も多くなり、「はやぶさ君」というキャラクターが出てきたり、中には「はやぶさに国民栄誉賞を」などという提案も出ている。日本では日常接したり使っているものや生き物を擬人化することは昔から行われているが、これは外国人には奇妙に映るらしい。私は過度の感情移入には付いていけないところがあるし、まして国民栄誉賞などという提案には、まじめな提案者には悪いが、いささか辟易した。