ナチュラルな暮らし

穏やかな日常の一コマ

西天竜用水路を辿る~頭首工と水路と円筒分水槽~

2021-08-31 | ドライブと散策

伊那谷は天竜川で潤っていますが、それは天竜川に近い部分で、河岸段丘の上の台地は灌漑用水が不足していました。昔はほとんど桑畑で、この地の人々の願いは水田を開いて米を自給することだったそうです。この灌漑用水路の計画は明治に始まったのですが、工事に取り掛かったのは大正8年で、昭和4年に完成しました。水田が完成したのは昭和11年です。

身近にありながら実態を知らなかったこの全長25㎞の「西天竜用水路」を巡ってみました。きっかけは花華さんのブログ記事にあった「水路橋」ですが、今回は用水路の始まりから終わりまでを辿ってみました。まず始まりは、取水場所である地元の天竜川です。大雨の後、まだ増水しています。

 

その天竜川が始まった諏訪湖の釜口水門から3~4㎞の所にある水門…ここが「西天竜用水路」の始まりです。この水門の左端に取り入れ施設(頭首工)があります。右の水門は天竜川の水量調整用です。

 

 

 

 

この水は灌漑用水と共に発電用にも使われています。取り入れ口の門扉は三井造船が造っていました。

 

 

取り入れ口からすぐに地下にもぐってしまいます。左の建物は頭首工管理事務所です。

 

この後、1㎞位下流で天竜川を横切って山裾を行きます。標高750mの等高線に沿って流れていきます。辰野町までは地下に潜って流れます。天竜川のその向こうの林の中に水路は走っています。

 

 

 

 

近くの水田の一角には毎年蓮の花がきれいに咲きます。この日もまだ名残の花が咲いていました。

 

 

その水路が地上に出る場所です。辰野高校近くです。

 

しばらく進んで、トンネルの中に入ります。

 

 

そしてトンネルから出るのが実家の林のすぐそばです。出てすぐにまた潜ってしまいます。

 

この西天竜用水路には80もの支線水路があって、そのところどころには円筒分水槽が設置されています。これは水田の面積に応じた穴の数によって公平な水の分配をするものです。あちらこちらに様々な形の円筒分水槽が設置されていました。

 

 

    

 

 

 

 

円筒分水槽で配分された水は、こうした水路によって田を潤しています。

 

西天竜水路からの支線水路によって、夫の実家の田んぼも潤って稲作をしていました。ここはその水路で小学生の頃、夫が流された!場所だそうです。今ではここの田んぼだった土地は会社に貸してあって、社屋が建っています。その脇の支線水路は今は頑丈な蓋がしてありますが、当時は蓋もなく、勢いよく流れていた水路に落ちて流されたのだそうです。

    

 

助かったのはこの国道153号線の地下に潜る所…そこに流れ込む草木を取り除く柵が設置されていて、そこに留まって助けられたのだそうです。傾斜のある水路で流れの勢いもあって、この日、蓋の上からその水音を聞いただけで身がすくむ思いでした。

 

この国道のすぐ下の円筒分水槽の水流の強さにも、水の恩恵と共に恐れも感じました。

 

ここから箕輪町の「深沢川横断水路橋」に向かいました。後半は後ほど…

 

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