最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

特別老齢年金はあくまでも救済策とした判決

2017-08-06 07:16:10 | 日記
平成28(行ヒ)14  特別支給の老齢厚生年金決定取消請求事件
平成29年4月21日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所


厚生年金保険法附則8条の規定による老齢厚生年金について厚生年金保険法(平成24年法律第63号による改正前のもの)43条3項の規定による年金の額の改定がされるためには,被保険者である当該年金の受給権者が,その被保険者の資格を喪失し,かつ,被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過した時点においても,当該年金の受給権者であることを要する。

あまり趣味ではありませんが日本共産党のHPで概要が出ています。ニュースサイトでは扱っていないようです。


さて概要です。
1 ある人が定年直前に11年間勤めた会社を辞めました。それから1か月後に65歳になりました。それまで保険料は支払っていたようです。
2 この人は、老齢年金の請求を行いましたが、支払い要件が整わないとのことで払って貰えませんでした。厚生労働大臣は,平成23年10月6日付けで,被上告人に対し,厚生年 金保険の被保険者の資格を喪失したことを理由として,特別支給の老齢厚生年金の 支給停止を解除し,同年9月分の特別支給の老齢厚生年金につき退職改定がされな いことを前提として,上記(1)の被保険者期間を計算の基礎とする額の年金を支給 する旨の決定(以下「本件処分」という。)をした。
3 それを不服として、裁判所に行政訴訟を起こしました。

まず、老齢年金はどんなものか、日本年金機構のHPでは以下の通りです。

60歳以上で、(1)老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たしていること、(2)厚生年金の被保険者期間が1年以上あることにより受給資格を満たしている方には、65歳になるまで、特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
特別支給の老齢年金は、昭和60年の法律改正により、厚生年金保険の支給開始年齢が60才から65才に引き上げられました。支給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げるために設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」の制度です。


まあ、この特別支給の老齢年金は救済策ですよね。裁判所も同じような趣旨を述べています。

特別支給の老齢厚生年金について退職改定がされるためには, 被保険者である当該年金の受給権者が,その被保険者の資格を喪失し,かつ,被保 険者となることなくして待期期間を経過した時点においても,当該年金の受給権者 であることを要すると解するのが相当である。
厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した後,同年9月17日 に65歳に達しており,同月30日を経過した時点では特別支給の老齢厚生年金の 受給権者でなかったというのであるから,同月分の当該年金の額については退職改定がされるものでないことは明らかである。


被上告人は、早く年金暮らしをしたかったのでしょうけど、勇み足でしたねとしか言いようがありません。年金を全くもらえないわけではなく、あくまでも特別支給厚生年金としての名目で支払われないだけなので、そこでもめる必要があったのか、私には良く分かりません。
少なくとも最高裁の主張は筋が通っているように見えます。

第二小法廷判決
裁判長裁判官 山本庸幸
裁判官 小貫芳信
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 菅野博之