最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

昼休み時間に対応した仕事は残業になるが、見做し残業で対応できる

2018-08-18 12:00:57 | 日記
平成29(受)842  未払賃金請求控訴,同附帯控訴事件
平成30年7月19日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

基本給と区別して支払われる定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例

事実確認から見ていきます。

1 保険調剤薬局と薬剤師に間での争いです。
2 業務内 容 薬剤師(調剤業務全般及び服薬指導等)
就業時 間 月曜日から水曜日まで及び金曜日は午前9時から午後7時30分
まで(休憩時間は午後1時から午後3時30分までの150分)
木曜日及び土曜日は午前9時から午後1時まで
休日及び休暇 日曜日,祝祭日,夏季3日,年末年始(12月31日から1月3
日まで)及び年次有給休暇
賃金(月額) 基本給46万1500円,業務手当10万1000円
支 払 時 期 毎月10日締め25日支払
3 薬剤師は、平成25年1月21日から同26年3月31日までの間,上告人が運営する薬局において,薬剤師として勤務し,上記(1)の基本給及び業務手当の支払を受けた。被上告人の1か月当たりの平均所定労働時間は157.3時間であり,この間の被上告人の時間外労働等の時間を賃金の計算期間である1か月間ごとにみると,全15回のうち30時間以上が3回,20時間未満が2回であり,その余の10回は20時間台であった。
4 契約書には,賃金について「月額562,500円(残業手当含む)」,「給与明細書表示(月額給与461,500円 業務手当101,000円)」との記載があった。
5 採用条件確認書には,「月額給与 461,500」,「業務手当 101,000 みなし時間外手当」,「時間外勤務手当の取り扱い年収に見込み残業代を含む」,「時間外手当は,みなし残業時間を超えた場合はこの限りではない」との記載があった。
6 確認書には,業務手当月額として確定金額の記載があり,また,「業務手当は,固定時間外労働賃金(時間外労働30時間分)として毎月支給します。一賃金計算期間における時間外労働がその時間に満たない場合であっても全額支給します。」等の記載があった。
7 タイムカードを用いて従業員の労働時間を管理していたが,タイムカードに打刻されるのは出勤時刻と退勤時刻のみであった。被上告人は,平成25年2月3日以降は,休憩時間に30分間業務に従事していたが,これについてはタイムカードによる管理がされていなかった。



これを見ると個人病院の門前薬局のようです。
門前薬局だと五月雨式に患者が来ますので、それに対応しなければならない、つまり昼休みを丸々1時間取れる状況になく、誰かが対応しなければならない状態だったようです。そこで、昼休みは30分に短縮で対応していたのでしょう。
薬局側は、タイムカードで出勤と退勤は管理していたけども、昼休みまでは管理していなかったようです。そういうこともあるということで、みなし残業代を支給していたのでしょう。

最高裁はこれについて次のように判断しました。

労働基準法37条
が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される。

薬局側の賃金体系においては,業務手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものと位置付けられていたということができる。さらに,被上告人に支払われた業務手当は,1か月当たりの平均所定労働時間(157.3時間)を基に算定すると,約28時間分の時間外労働に対する割増賃金に相当するものであり,被上告人の実際の時間外労働等の状況(前記2(2))と大きくかい離するものではない。

したがって,上記業務手当の支払により被上告人に対して労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断には,割増賃金に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。


裁判長裁判官 木澤克之 当然
裁判官 池上政幸 当然
裁判官 小池 裕 当然
裁判官 山口 厚 当然
裁判官 深山卓也 当然

全員一致で補足意見なしです。当然でしょう。
どのタイミングで時間外労働かなんていうのは、監視カメラでチェックでもしない限り出来ないわけで、ここまで細かく言うならばトイレに行く時間は休憩とカウントできるということにすらなりかねません。