最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

交通事故の治療費を後期高齢者医療給付で支払いは、給付が行われた日の翌日からの遅延損害金が発生する

2019-09-08 12:23:06 | 日記
平成30(受)1730  損害賠償請求事件
令和元年9月6日  最高裁判所第二小法廷  判決  その他  仙台高等裁判所

高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は,当該給付により代位取得した不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について,当該給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができる

ニュースでは見つからなかったので、判決文を読み解いていきます。

(1) Bは,平成22年8月25日,交差点において歩行中,被上告人運転の普通乗用自動車に衝突されて傷害を負った。本件事故における過失割合は,Bが5%,被上告人が95%である。

10:0にならないこともあるんですね。

(2) Bは,上記傷害に関して後期高齢者医療給付(以下「本件医療給付」という。)を受け,その価額の合計は302万8735円であった。

とりあえず自分の健康保険の一種で払ったようです。

(3) 上告人は,本件医療給付の価額の合計額からBの過失割合5%を減じた287万7298円(1円未満切り捨て)及び弁護士費用相当額57万5459円の合計額345万2757円の損害賠償金並びにこれに対する本件事故の日(平成22年8月25日)から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めて,本件訴訟を提起した。

賠償金が払われなかったわけですね。
ちなみに、10年ほど前に交通事故に遭った人に保険会社から支払いたくないから「健康保険でも払えますよ」という電話がありました。これに騙されてはいけませんよ。相手が分からない、ひき逃げのような場合は例外的に使えるのであって、相手が確定している場合は健康保険ではなく保険会社が払わなければなりません。一時期はやったデフォルト(支払い拒否)です。
そのときはさっそく電話をかけてきたトンデモな保険会社に紙で書かせて、それをコピーしてコンプライアンス部に通告しました。

話がずれたので戻しますが、相手側から支払いがなかったとなると保険に入っていなかったのでしょうか。強制保険でも少しは支払われるはずなんですけどね。
本来の支払いは、車を運転していた人が払うべき治療費だということで、仮払いした分を返しなさいと要求したようです。

原審は,上記事実関係等の下において,本件訴訟の主たる請求について上記2(3)の287万7298円及び弁護士費用相当額30万円の合計額317万7298円の支払を求める限度で認容すべきものとした上で,これに対する遅延損害金の起算日につき,上告人が被上告人に対して上記損害賠償金の支払を請求したことが明らかな訴状送達の日の翌日(平成30年1月27日)であると判断して,附帯請求について,同日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で認容すべきものとした。

要するに、治療費を建て替えた日なのか、早く返せよと訴状を送った日から遅延損害金を要求すべきかで裁判になりました。


後期高齢者医療広域連合は,後期高齢者医療給付の給付事由が第三者の行為によって生じた場合において,後期高齢者医療給付を行ったときは,法58条により,その価額の限度において,被保険者が当該第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得し,当該損害賠償請求権は,後期高齢者医療給付の都度,当然に当該後期高齢者医療広域連合に移転するものである(最高裁平成6年(オ)第651号同10年9月10日第一小法廷判決・裁判集民事189号819頁参照)。

裁判官全員一致の意見でした。
後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は,その給付事由が第三者の不法行為によって生じた場合,当該第三者に対し,当該後期高齢者医療給付により代位取得した当該不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について,当該後期高齢者医療給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができるというべきである。

 最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 山本庸幸  無難
裁判官 菅野博之  無難
裁判官 三浦 守  無難
裁判官 草野耕一 無難

一人だけ意見を言った人がいました。
裁判官草野耕一の意見

一般論としていえば,不法行為の被害者には不法行為がなされた直後から様々な損害が現実化するものであり,これらの損害に対する賠償請求権に関しては遅延損害金もまた(多数意見が言及するところの判例法理によって)不法行為がなされた直後から発生するものである。そのような状況においては法58条やこれに相当する保険法制度上の諸規定が定める代位取得の対象を損害金の元本に限定すると解釈することに積極的意義があり,多数意見が引用している最高裁平成24年2月20日第一小法廷判決はまさにそのような事案に関する法理を示したものである。

確かにその通りですね。交通事故に遭って、軽いけがならまだしも骨折やら内臓破裂がありえます。その後にリハビリや合併症の可能性を考えると、その日から換算するのはどうなんでしょう。という意見です。
法の不備がありますね。