最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

酒気帯び物損事故の先生、退職金0は権利の濫用ではない

2023-10-07 22:12:35 | 日記
令和4(行ヒ)274  懲戒免職処分取消、退職手当支給制限処分取消請求事件
令和5年6月27日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  仙台高等裁判所
 1 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和元年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分の適否に関する裁判所の審査
2 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和元年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により公立学校教員を退職した者に対してされた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分に係る県の教育委員会の判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないとされた事例


意外とマスコミで取り上げられていないようです。これは当然ワイドショーネタになるような話なので、取り上げられると思うのですが。

事実認定から見ていきます。
1 公立学校教員であった被上告人が、酒気帯び運転を理由とする懲戒免職処分を受けた。一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分を受けたため、上告人を相手に、上記各処分の取消しを求める事案である。

退職金なしとした根拠条文は、昭和28年宮城県条例第70号

(2)ア昭和62年4月に上告人の公立学校教員に採用され、以後、教諭として勤務した。被上告人につき、本件懲戒免職処分以外の懲戒処分歴はなく、その勤務状況にも特段の問題は見られなかった。
イ同僚の歓迎会に参加するため、本件高校から自家用車を運転し、その会場付近の駐車場に駐車した。被上告人は、同日午後6時20分頃から午後10時20分頃まで、上記歓迎会に参加し、ビールを中ジョッキとグラスで各1杯程度、日本酒を3合程度飲んだ。20㎞以上離れた自宅に帰るため、上記自家用車の運転を開始しで物損事故を起こしている。


これは悪質ですね。こんなに飲んでしかも20㎞も離れているところにこれで運転?

被上告人は、呼気1Lにつき0.35㎎のアルコールが検出されたことから、道路交通法違反の罪(酒気帯び運転)で現行犯逮捕された。
ウ酒気帯び運転を理由として本件懲戒免職処分をするとともに、本件規定により、一般の退職手当等(1724万6467円)の全部を支給しないこととする本件全部支給制限処分をした。
エ罰金35万円の略式命令を受けた。


有罪判決が出ました。

(3)平成28年5月16日付け及び同年7月14日付けで、各教育機関の長等に宛てて、今後飲酒運転に対する懲戒処分についてはより厳格に運用していくといった方針を示すなどして、服務規律の確保を求める旨の通知等を発出していた。

警告が出ていたようです。原審では、退職金の3割以上を払わないというのはやりすぎと判断しました。

4⑴ 本件条例の規定により支給される一般の退職手当等は、勤続報償的な性格を中心としつつ、給与の後払的な性格や生活保障的な性格も有するものと解される。・・・退職者の功績の度合いや非違行為の内容及び程度等に関する諸般の事情を総合的に勘案し・・・

退職金は生活保障であるのと同時に、これまでの功労金でもあると認めています。そうなんですかね。最近は、退職金をなくして年俸制にしているところもかなり増えています。あまり意味はないのではないかという気もします。

懲戒免職処分を受けた退職者の一般の退職手当等につき、退職手当支給制限処分をするか否か、これをするとした場合にどの程度支給しないこととするかの判断を、退職手当管理機関の裁量に委ねているものと解すべきである。・・・退職手当支給制限処分が退職手当管理機関の裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、当該処分に係る判断が社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に違法であると判断すべきである。

若干逃げ口上にも読めますが、退職金は支払う事業所ごとに趣旨が違うのだから、その事業所で定めた趣旨で考えると言ってます。

本件規定は、退職手当支給制限処分に係る判断に当たり勘案すべき事情を列挙するのみであり、そのうち公務に対する信頼に及ぼす影響の程度等、公務員に固有の事情を他の事情に比して重視すべきでないとする趣旨を含むものとは解されない・・・本件規定からは、一般の退職手当等の全部を支給しないこととする場合を含め、退職手当支給制限処分をする場合を例外的なものに限定する趣旨を読み取ることはできない。

全額不支給もあり得ますよと書いています。

運転開始から間もなく、過失により走行中の車両と衝突するという本件事故を起こしていることからも、本件非違行為の態様は重大な危険を伴う悪質
公立学校の教諭の立場にありながら、酒気帯び運転という犯罪行為に及んだものであり、その生徒への影響も相応に大きかった
本件高校は、本件非違行為の後、生徒やその保護者への説明のため、集会を開くなどの対応も余儀なくされた
複数回にわたり服務規律の確保を求める旨の通知等を発出するなどし、飲酒運転に対する懲戒処分につきより厳格に対応するなどといった注意喚起をしていた


充分悪質ですよ。代行運転であってあったでしょうに。小銭惜しさに自分で素面のときから運転して帰るつもりだったわけですよね。

結論
反省の情を示していること等を勘案しても、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとはいえない。

裁判官宇賀克也の反対意見
県教委が制定した「一般の退職手当等の支給制限処分等の運用について」では、停職以下の処分にとどめる余地がある場合に、特に厳しい措置として懲戒免職処分とされたときには、一般の退職手当等の一部を支給しないこととする処分にとどめることを検討することとし、その場合であっても、公務に対する信頼に及ぼす影響に留意して、慎重な検討を行うこととしている。

逆に言えば全部不支給はしないとも読めると言ってます。

「教職員に対する懲戒処分原案の基準」では、飲酒運転を行った場合は、免職又は5月以上の停職とされており、平成27年に3名の高校教員が酒気帯び運転で停職処分とされた例があるほか、上告人の職員の飲酒運転による非違行為で停職処分にとどめられた例は少なくない。

この規定は随分大甘ですね。酒気帯び運転でこれまで何人殺されてます?

教職員以上に飲酒運転を自制すべき立場にあるともいい得る警察官が、被上告人による本件非違行為より後の平成30年に酒気帯び運転を行った事案では、停職3月の懲戒処分にとどめられている。

そもそもこの判断自体がおかしいでしょう。取り締まる立場の人が飲酒運転だから、懲戒免職にあるべきです。

私見によれば、原審の判断は是認することができるから、本件上告は棄却されるべきである。

大甘ですな、宇賀克也裁判官は。
まず、他の事件の判断がおかしいのであって、この判断が厳しい訳ではありません。
警察官の処分を判断材料としていますが、こういう事件が続いたから処分を重くするって言ってるわけでしょう。

第三小法廷判決
裁判長裁判官 長嶺安政
裁判官 宇賀克也   裁判官やめろ!
裁判官 林 道晴
裁判官 渡 惠理子
裁判官 今崎幸彦