敬老会の席上で一番年上のKさんへ、『お元気に、本日はご出席していただきましてありがとうございます』と、ビールを注ぎながら敬老会に出席していただいた感謝の挨拶をいたします。
「貴方の仕切り振る舞いはキチンとしていますね。昨年も感じましたが“長幼の序”を弁(わきま)えておられますね」とKさんがお話です。
Kさんは元中学校の校長先生で書道に長けておられます。
「漢書の中に、君臣の義を弁えない家臣が、君主に疎まれ遠ざけられた話の中で、“長幼の序”を著した物があります。書道で書いたことがありますよ」と、長幼の序について丁寧に解説されました。
本日の会場は公民館の大広間、床の間を背にして机をコの字型に並べます。
コの字の真ん中に、一番年長のKさんはじめ80才以上の4人が座り、左右の机に男性女性と年齢の上の方から順序に名札を並べます。
正面床の間から離れた入り口近くの最後の席に、私が座って挨拶します。
誰にも教えてもらったり、相談せずにいたします。
書道家のKさんがおっしゃることに、「以前の敬老会ではいつも私が座ってるこの席に、招待している区長さんが居たのです」、「招待する者は、お客様である先輩の我々よりもずっと下座で応接するのが普通でないの、席順にしても年の順が一番納まりいいですね」、
「去年から、なるほど今度の区長はキチンとしている、長幼の序をちゃんと分かってる、やっと落ち着く感じと思ったよ」、そんなお褒めを頂きました。
「孟子」の滕文公章句上・四の二に出てきます。
「・・・・・・聖人有憂之、使契爲司徒、教以人倫、父子有親、君臣有義、夫婦有別、長幼有敍、朋友有信・・・・・」の一文、五倫の教えです。
(舜(しゅん))契(せつ)をして司徒たらしめ、教ふるに人倫を以(もっ)てす。父子親有り、君臣義有り、夫婦別有り、長幼序有り、朋友信有り」と云う行(くだり)、
五つの倫理(五倫)の一つが、「長幼有敍(長幼序有り)」の言ですね。
長幼の序とは、年長者と年少者の間にある一定の秩序のことを言いますね。経験豊かな年長者を敬いなさい、知識を積んだ先輩・老人には敬いの心で接しなさい、敬いの振る舞いで礼儀を尽くしなさいと云う教えです。
本日は敬老会、敬う老人と書いて敬老会、そんな席こそ正(まさ)に、長幼の序を尽くし、長幼の意味をじっくりかみ締める、ほんとに貴重な日なのです、日になりました。
《敬老は、ちょっと先の わが身かな》