9月8日(火)に、沖縄県は大浦湾の軟弱地盤設計変更承認申請の公告縦覧を始めました。
要領は以下のとおり。
1 縦覧期間
令和2年9月8日(火曜日)から同年9月28日(月曜日)まで
※土曜日、日曜日及び祝日を除く。
2 縦覧場所
○沖縄県行政情報センター 那覇市泉崎1-2-2 本庁舎2階
○沖縄県土木建築部北部土木事務所維持管理班 名護市大南1-13-11
○沖縄県農林水産部北部農林水産振興センター農業水産整備課土地改良班 名護市大南1-13-11
○名護市役所1階総務課 名護市港1-1-1
○名護市役所羽地支所 名護市字仲尾次829番地
○名護市役所久志支所 名護市字瀬嵩7番地1
○名護市役所屋部支所 名護市字屋部44番地
○名護市役所屋我地支所 名護市字饒平名369番地
3 縦覧時間 :
午前8時30分から午後5時15分まで
※沖縄県行政情報センターは午前9時から午後5時まで
4 意見書の提出について
利害関係人の意見は、縦覧期間中に下記提出先にて受け付けております。
郵送、持参、ファクシミリ又は電子メールのいずれかの方法で御提出ください。
なお、ファクシミリ又は電子メールによる提出は海岸防災課で受け付けます。
郵送先:〒900-8570 那覇市泉崎1-2-2 沖縄県土木建築部海岸防災課
ファックス:098-860-3164
メール:umetateiken@pref.okinawa.lg.jp
今回はメールでも受け付けることになりました。
全国各地から4千件を上回る意見書を送りましょう。
安倍政権は沖縄県をはじめ各自治体の意見について無視をし、
裁判などで直接介入するなど地方自治法に反する行為を平然としています。
許してはなりません。
大浦湾の軟弱地盤設計変更承認申請反対の闘いは、
全国からの自治権回復運動としても意義ある闘いです
来春にわたる長期の闘いになります。
まず、大量の意見書を沖縄県海岸防災課に集中しましょう。
ジュゴン保護キャンペーンセンターとしてジュゴン保護を中心に意見書を提出します。
意見書の様式などを含めて参考にしてください。頑張りましょう。
公有水面埋め立て設計変更承認申請への意見
2020年9月8日
沖縄県知事 玉城デニー様
〒162-0815東京都新宿区筑土八幡町2-21
第1千代田ビル301 なかま共同事務所内
ジュゴン保護キャンペーンセンター
共同代表・蜷川義章 03-5228-1377
Email: info@sdcc.jp
(利害関係の内容)
2001年に団体を結成し、沖縄のジュゴン保護活動に取り組んできました。
沖縄ジュゴンの海を守るために、貴県との話し合いや環境省、防衛省、外務省など政府交渉、署名提出活動を取り組んできました。
また、2004年国際自然保護連合(IUCN)世界会議(バンコク)でIUCNメンバーとなり、沖縄ジュゴン保護などを求める4度にわたるIUCN勧告・決議の採択や、米国連邦裁判所でのジュゴン訴訟支援などを取り組んできました。
(意見)
今回の設計変更申請は環境影響予測などにおいて、
以下の問題があるので不承認にしてください。
2019年年12月国際自然保護連合(IUCN)種の保存委員会が沖縄ジュゴンは「絶滅一歩手前」(Critically Endangered)と規定しました。これは、同年9月24から26日、沖縄ジュゴン1頭死亡、2頭行方不明について、環境省やNGOを交えて今後の沖縄ジュゴンの広域調査計画の議論をふまえたものです。IUCNレッドリストの日本産ジュゴンについて、汚染(Pollution)項目では「なかでも沖縄島の辺野古周辺のジュゴン生息地における米軍基地の建設に伴い海草藻場の消滅がジュゴンにとって深刻な障害になる」と明記しています。辺野古大浦湾はジュゴンの餌場、海草藻場が最も密集しているエリアです。だから、防衛省も海草を移植する準備を進めています(移植の成功例はありませんが)。
このような中で、沖縄防衛局は大浦湾の工事区域内のK4地点でジュゴンの鳴音が今年2月に3日間、19回。3月に5日間、23回(うち2日は工事時間帯)。4月は7日間、74回(うち2日は工事時間帯)。5月は10日間、70回確認したことを明らかにしています。これらをふまえて、貴県は沖縄防衛局に再三「工事中止」「ジュゴンの生息範囲に変化があったことあったことを再確認すること」求めてきましたが、沖縄防衛局は未だに指導には従っていません。これは「環境影響評価書(補正)第7章環境保全措置7.1.9海域生物、海域生態系(1)環境保全措置の検討」では「工事中は、ジュゴンのその生息範囲に変化がみられないかを監視し、変化がみられた場合は工事との関連性を検討し、工事による影響と判断された場合は速やかに施工方法の見直し等を行うなどの対策を講じます(p.7-8)」に違反しています。また、公有水面埋め立て法第4条第1項2号「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」に反するものです。そして、処分庁である沖縄県の指導に従うべきとする「埋め立て承認の留意事項1」の「工事の実施設計について事前に県と協議すること」に反するものです。以上をふまえて、
1.工事を中止し、施工区域内K-4地点周辺の海草藻場の潜水調査を徹底して行うべきです。また、資料をすべて公開しIUCNの意見を求めるべきです。
第27回環境監視等委員会(7月28日)の資料5「工事実施状況」の「ジュゴンの生息状況について」では5月16日に潜水調査を行ったとしてします。水深20メートルのところにジュゴンの餌場ウミヒルモがあることが明らかになりました。しかし、「ジュゴンの鳴音ではなく人工物の音の可能性も排除できない」との見解を述べています。この事務局の見解について委員から「、ジュゴンの鳴き声の周波数特性と明確に 違うということを把握しておけば、他の音についてそれほど心配する必要はないと思います」(第27回委員会議事録p29)との提案を受けて、事務局から「準備に入っている」と回答しています。そこで、埋め立て工事を直ちに全面的に中止し、データ資料を公開するとともにIUCNの意見を求めるべきです。
2.土砂運搬作業船などの水中音を環境予測の対象にしたのかを説明すべきです。また、確認されているジュゴンの鳴音の資料についてIUCNの意見を求めるべきです。
ジュゴンBの死亡やジュゴンA,Cの行方不明は「工事の影響ではない」と沖縄防衛局は居直っていますが、東海岸の嘉陽に定住するジュゴンAが最後に確認された場所は西海岸でした。ジュゴンは餌場を中心に生息する生態であることを無視する態度です。がれきや土砂の海上輸送が影響(ストレス)を与えたに違いありません。輸送作業船の水中音とジュゴンの周波数とを調査し、ジュゴンの交信を妨げているか否かを議論すべきだと指摘してきました(19年4月19日防衛省交渉 SDCCブログよりhttps://blog.goo.ne.jp/sdcc/m/201904)。
防衛省は「環境保全措置に明記していないから必要ない」と居直りました。今回、土砂運搬作業船などあらゆる作業船の水中音が影響予測の対象にしていますが、なぜ今回影響予測の対象にしたのかを説明すべきだと思います。また、K4地点で確認されているジュゴンの鳴音に係る資料について国際自然保護連合(IUCN)に提出し、意見を求めるべきだと思います。
3.「土砂運搬作業船の夜間航行を中止する」など環境保全措置を遵守すべきです。
沖縄防衛局は「環境影響評価書(補正)第7章環境保全措置7.1.9海域生物、海域生態系(1)環境保全措置の検討」をふまえて、「事後調査及び環境保全措置の内容」(第1回環境監視等委員会H26年4月11日)において、「工事時間の規制」(ジュゴン)を「海上工事は、日の出1時間から日没1時間前」(p18)としています。また、「工事用船舶とジュゴン・ウミガメ類との衝突回避」を警戒し、「見張りを励行するほか、衝突が避けられるような速度で航行する」(p22)としています。また、「大浦湾の湾口域から施工区域に接近する場合は、施工区域に向かって直線的に進入する航路をとり…」(p22)と明記しています。
しかし、沖縄ジュゴンは夜間に餌場を求めて回遊するにもかかわらず、埋め立て土砂を運搬する作業船を夜間航行させていることは、自ら作成した「工事中に実施する環境保全措置」を守っていないことになります。公有水面埋め立て法違反です。
4.大浦湾をジュゴンの生息地として検討すべきです。
しかし、沖縄防衛局は環境影響評価書(2012年12月補正)において、ジュゴンの主な生息地について「個体Cは個体Bとともに古宇利島を主たる生息地」「嘉陽沖周辺」(p.6-16-170)としています。第26回環境監視等委員会で沖縄防衛局が「個体Cが大浦湾内に回遊してくることも環境保全図書で予測評価している」(議事録p33)との発言について、環境監視委員(元評価書作成委員)から「古宇利島で確認されていて、時折大浦湾にも回遊してくるという前提で環境保全措置の助言を行った」(p34)と発言しています。ジュゴンCの環境保全措置が不十分であったことが明らかになっています。前項3を含むジュゴンの環境保全措置を見直すべきです。
なぜ、このような問題が生じた原因は「ジュゴンの生息場所及び移動範囲」(6章16ジュゴン)では、「ジュゴンの出現状況の推移」(表6.16.1.45 p.6-16-220)の「確認場所」の分類が「古宇利島沖周辺」、「辺戸岬沖」、「嘉陽沖周辺」としかなされていなかったからです。個体Cが大浦湾で確認(H21,22年)されていても「嘉陽沖周辺」に分類されているのです。基地建設がジュゴンに影響を及ぼさないとするための意図的な分類なのです。
5.護岸工事をしないで、海面下7メートルの汚濁防止膜で、大量の土砂投入をすることは、大浦湾の海草藻場やサンゴを壊滅させることになります。
移植したオキナワハマサンゴは9群体のうち3群体が死亡・消失、残り6群体のうち3群体が縮小、全体として白化が進んでいます。その原因を解明しなければ「移植は成功した」とは言えません。また、7万群のサンゴは微妙な環境バランスの中で生成しているので移植しても成功する可能性がないと専門家は指摘しています。移植を中止して、サンゴ生態系の保護について再検討を求めます。
6.埋め立て土砂の採取先や採取量などの具体的な資料を提出させるべきです。
また、土砂採取先の環境アセスもするべきです。
防衛局は埋め立てや地盤改良工事に使用する膨大な土砂を沖縄県内で調達可能だとしています。しかし、土砂を採取している琉球セメント安和鉱山は、山が無くなるまで削られています。新たに沖縄島南部の地区も名前が上がっていますが、沖縄の山の破壊、海の汚濁を防ぐためにも、採取地の環境アセスメントは必ずやるべきです。
7.工事区域内にある活断層(2か所)の調査資料と、
水深90メートルまで軟弱地盤があるB27地点の調査資料を求めるべきです。
防衛局は最深部の海底地盤(B27地点)で強度計算に使った入力データを添付せずに、「建築可能」としています。まず、そのデータを提出すべきです。
B27地点は、水深90mまで軟弱地盤が広がっていますが、世界では水深70mまでの工事実績と設備、技術しかありません。防衛局は、その事実を分かっていたにも関わらず、約750メートル先の地点調査から「固い粘土層」と類推することで、再調査をしようとしません。新潟大学の立石名誉教授など専門家は「このままでは崩壊する恐れがある」と指摘しています。また、建設工区内には2か所の活断層が存在すると指摘していますが、変更申請書はこの点には何も触れていません。防衛局は、B27地点の再調査、及び埋立て区域全体の環境影響調査をやり直すべきです。
8.長い工期と莫大な工事費用は問題です。
新基地建設資金をコロナ対策(医療体制の充実)に使うべきです。
当初5年と想定していた工期が8年、飛行場認証などで3年かかり、新基地供用まで12年かかるとしています。
また、総工費は当初資金計画の2,400億円の約3.5倍、9,300億円です。
しかし、工期は県が変更申請を承認した日を起点としており、費用でも県の試算では2兆550億円となっています。辺野古新基地建設計画は、「1日も早い普天間基地基地の危険性の除去」という基地建設の目的から大きく外れた無謀な計画です。
新型コロナウイルスの第2波が始まっています。これまでの政府の対策では全く不十分であり、辺野古新基地建設という税金の無駄使いを直ちに止めて、コロナ対策に回すべきです。
9.美謝川の切り替えなどの整備工事について、2014年12月の変更承認申請では「承認願書(2013年12月)では効率的かつ着実に工事が進められない」としていたにもかかわらず、当初願書に再変更承認申請しています。その理由を明らかにすべきです。