先週"Dortmunder U"を見学。ルール工業地帯散策第二段だ。実はこの街の近くにある街へ作品を届けに行った帰りについでに立ち寄ったのだ。
もともとこの建物はドルトムンダー ユニオンと言うビール会社の建物で現在はリサイクルされカルチャーセンターになっている。
なかなか面白い改装がここでもおこなわれている。
(写真のUの字の下部には映像作家の作品が常に流れている)
そこではフルクサスの展覧会、ジョン・ケージの4分33秒をテーマの映像や資料の展示を見た。
フルクサスの展示の方は取り立てて新たな興味ひかれることなく見終えたのだが、ジョン・ケージの「Sounds like Silence」は思ったよりも面白かった。
"4分33秒=273秒”という時間は"易"によって決めたのだそうだが、後にケージは摂氏-273度は絶対零度であり分子運動が静止する温度であることと4分33秒=273秒との関連を語っているようだ。
"4分33秒"を聞いている人たちのなかには、頭の中で勝手に音楽を流しているのか体をゆすり、拍子を取っている者もいた。
それでは本来のケージの目論見に反するように思うがどうなのだろう?
「無音の」音楽というが実際のところ無音ではない。"曲"の後ろに存在するすべての音が聞こえてくる。
どんな音が聞こえるだろう? 人々の動き、息遣い、外に吹く風の音、雨粒がガラス窓を微かにたたく音。
そういったものを意識的に聞いてみようと言う試みなのだ。
273秒に切り取られた”雑音”は、私たち聴者の意識によって”音楽”になり得るのだろうか?