6月21日のある交流会に参加しての感想を書いて以来ですから、もう3週間近く更新が途切れたことになります。いままでなかなか更新ができず、ほんとうに申し訳ありません。
ですがこの間、なにもしていなかったわけではありません。確かに本業の大学や研究面での仕事や家事などに追われていた面もあるのですが、この間に、例えば大阪市内の旧青少年会館(青館)所在各地区の近隣小学校・中学校の教員に、最近の子どもたちの様子などを聴く機会を持つこともしました。また、かつて青館や解放子ども会の活動などにかかわった方から、昔の話を聴く機会を持ったりもしています。
このような次第で、ひきつづき今までどおり、大阪市内や大阪府内の解放子ども会や青少年拠点施設のこと、大阪市内の旧青館やその他地区内拠点施設で活動する人々のことなどに、私としては関心を持ち続けていることには変わりありません。ただ、あまりにもほかのことに追われすぎていて、ブログの更新にまで時間がまわらなかったという点。この点にはほんと、ただ反省するばかりです。もう少し、自分の時間の使い方がうまくならないかなぁ・・・・と思う今日この頃です。
それはさておき、このところあらためて昔、青館や解放子ども会などで活動してきた人々の話を聴くと、「やっぱり、当初は学校での取組みと、地域社会での保育所や子ども会~青年層~識字へと至る取組みと、二本柱で解放教育運動が構想されていたんだなぁ」と思うことがしばしばあります。そのことは、前にも書いたかもしれませんが、1970年代に出版された『講座解放教育(全5巻)』(明治図書)のシリーズを読むと、ほんとうにそう思えてきます。
また、1970年代当時であれば、まだ被差別の子どもたちに見られた「貧困」による「長欠・不就学」をようやく克服しつつある段階だったことから、憲法・教育基本法(当時)に定める「教育の機会均等」の実現に向けて、例えば教科書無償配布や就学援助、生活保護制度における教育扶助のことなどとあわせて、学校の教育内容の創造と「学力」保障のあり方が論じられていた面があります。
このような当時の議論は、今思えば、「貧困と差別の悪循環」を前にしての子どもの「教育と福祉の連携論」や「学校福祉論」というべきテーマでもあるし、より現代的な課題・テーマにひきつけていえば、「社会的排除」問題に関する「学校ソーシャルワーク(スクールソーシャルワーク)」の課題・テーマといってよいものかもしれません。そこには、被差別の子どもたちの課題を、「生活と教育」の両面からとらえる視点とともに、社会保障・社会福祉と教育の両面から就学の条件整備に関する取り組みを行っていく方向性が見られたのではないかと思われます。
しかしながら、最近の人権教育や解放教育に関する議論を見ると、「貧困と学力」を論じたものはあっても、「貧困と社会保障・社会福祉・教育」という結び付け方をする方向性からの議論は、まだまだ弱いような印象です。これでは、1970年代よりも「狭い」議論をしているのではないか、という風に私には思えてなりませんし、「学力向上策」でもって「貧困」はなんとかなるのだという前提に立ちすぎて、ほかの課題が見えなくなっているのではないか、という風にも思えるわけです。
ほんとうに今、生活困難な子どもの学ぶ権利を保障する学校づくりをすすめようと思えば、学校における「学力」保障のあり方だけでなく、例えば学校行事などを通じたクラスづくりや仲間づくりも必要だし、憲法や子どもの権利条約その他の国際人権条約、日本の社会保障や社会福祉制度における諸権利に関する学習、自らの意見表明や社会参加・参画のスキルを磨く学習も重要。
さらには、その学校に通いやすくするための学用品費や給食費、修学旅行費といった費用負担の軽減策、つまり就学援助や教育扶助のあり方についての議論も重要だし、教科書無償配布や学校給食・学校保健などの施策のあり方、さらには学校で手厚い教育活動と子どものケアを実施していくための人員配置や多様な職種のあり方などについても検討をしていくことが必要でしょう。
また、放課後の子どもの生活を支援するための社会教育・児童福祉両面からのアプローチとしての学童保育・子ども会のあり方や、就学前の子どもの教育と福祉の結合、すなわち保育論などが提起してきた諸課題の検討も必要でしょう。そして、学校外の取組みと学校内のそれとの連携、就学前の取り組みと就学後の取り組みとの接続関係などについても、議論を積み重ねていく必要があるでしょう。
ほんとうはこのくらい、今、被差別に暮らす・育つ子どもたちの教育課題について、1970年代の議論の水準に照らせば、論じるべき課題は多々あるはずなのです。それを単に「学力」保障の観点からのみ位置づけて論じているのだとすると・・・・、そのことに「意味がない」とまでは言わないものの、「あまりにも、ほかの課題の検討が抜け落ちすぎているのではないか?」と、やっぱり私には思えてなりません。
このことについては、今後も引き続き、このブログなどで指摘を続けていきたいと思います。とはいえ、どの程度の頻度で更新ができるのかわかりませんが・・・・。
<script type="text/javascript"></script> <script src="http://j1.ax.xrea.com/l.j?id=100541685" type="text/javascript"></script> <noscript> </noscript>