悪事を繰り返す

新しい取引を開始するアパートの現調に出かけた。
募集をかける空き部屋を大家さんと確認している最中に見てほしい
部屋があるというので見ることにした。その部屋は入居者が、契約
違反で無断でネコを飼っていて手がつけられなくなったという。
・
部屋に入ると悪臭がただよい、壁のあちこちにネコがひっかいた跡
があり、フローリングにも爪でひっかいた傷が数カ所見かけられた。
「もうこの部屋は、募集はかけられない」と嘆いた。
「大丈夫ですよ。この部屋以外を満室にして家賃収入を回しながら
、当社が上手に直しますからまかして下さい」
私の言葉に、大家さんのホッとした様子が感じられた。
・
数日後、知人からネコを飼っていたＡ入居者の情報がひょんなとこ
から入ってきた。知人はある自動車会社の営業をしていて、Ａはあ
るサイクルの仲間同士だった。よくある話だが、知人はＡが車を買
い替える情報を得て車を販売することになった。
・
しばらくして代金の支払いが滞るようになったという。知人はＡに何
度も催促をするが、まったく支払う態度がみられない。知人は会社
に迷惑がかかるということで、ついにＡの不払いをかぶったという。
温和な知人は「あいつだけは、絶対にゆるさない」とこぼした。
・
悪人はひとつだけで、ことはおさまるものではないものです。
私が知っただけでＡの２つの悪事がわかったが、それだけでは決し
ておさまるものではないはず。いたるところで悪事を繰り返し、仕舞
いにはこの世で生きていけなくなるだろう。





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