脚でリズムを取る

私が一歩近づこうとすると、リリーは一歩さがる。
手綱を持っていないので、これではいつ逃げ出すかわからない。
言葉をかけて、落ち着かせて安心させることが一番いいだろう。
「リリー、大丈夫だよ。おっちゃんは怒らないから逃げなくていいよ」
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私の言葉を聞くと、三角の目は幾分丸みを帯びてきたように見えた。
「さっ、大丈夫だから、楽しく乗馬をしようよ・・・」
言葉をかけながら少しずつ近づくと、リリーの逃げる体勢はな
くなり、ようやく手綱を取ることができた。
・
踏台に戻って、鞍に乗るとリリーもようやく本来に戻った。
「さっ、今日も頑張ろう」と首をなぜながら常歩から始めた。
軽速歩は前回なかなか加速しなかったので、初めから加速させ
ようと脚を使うと以外と早くに思い通りのスピードが出せた。
・
駈足に移行する時がきたので声扶助をかけ「りりー駈足」、そし
て足扶助をするが駈足が出ない。前回の二の足を踏むまいと早
めにムチを使うことにした。「バシッ」、リリーは覚醒して駈足
を始めるが、いつ止まってもおかしくないスピードだったので
すぐに脚で「ドン」。これを２～３回繰り返すと、徐々にでは
あるが加速して満足の走りに近づいた。
・
ちょっと油断をするとサボろうとするので、ブレーキをかけて
ふたたびムチを入れなおして初めから。駈足の途中に脚でリズ
ムをつけながらドンと繰り返すと、もうスピードは衰えない。
だがこれを繰り返すと私の方が疲れてくる。だがよく走ってく
れたので、私としたら満足だ。次回も色々と試そう・・・





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